Bar Leaves
地下に降りていく階段。
ジャズが低く流れている。
ここがどこかは知らない。
私は何者かもよくわからない。
オーナーが気まぐれで作ったアバターの私は正式な名前がまだない。
白いブラウスに黒いスカート、裸足で下駄を履いている。
着たきり雀とは私のことだ。
時々出番があって、歌をワンフレーズ歌う以外の仕事はない。
そのワンフレーズは古い和歌ということと、
オーナーがポチポチと画面を押して音を作っているということは
知っている。
今日はリアルなお客はいない。
楽屋とは名ばかりの小さな部屋で鏡を覗くことにする。
アバターだから鏡に自分の姿を映すのは至難の業。
画面から顔を出して反射させてみる。
オーナーがタブレットをうまく設定していたときだけ
可能になる芸当だ。
鏡に上手く反射しないでもどかしく思っていると、
何かが小さく光って突然転がりだしてきた輩がいる。
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