詩作1 「補色」

「補色」
 
ローマ時代からの神殿を支える深緑の柱を裂けるチーズのように割っていく。その割れ目から2000年間のかくれんぼを終えた戦奴隷たちが次々と、次々と終ることなく現れる。
奥を覗くと、カメラのフラッシュ残光一色の絵が飾ってある。僕はそちら側へ行きたいのだが邪魔で行けない。奴隷の一人に話しかけるが、しかし... 彼らは平板なのだ。会話は成立するのだが意義の無い会話にしかならない。そのうちに割れ目は、全ての奴隷たちを出し切ることはせずに、まるで初めから存在しなかったかのように、閉ざされた。

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