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フェルミ推定 例題~5年後の代用肉の市場規模~

本記事について

フェルミ推定の私の解説と回答例を記載しています。

今回のお題は「5年後の代用肉の日本の市場規模(10分)」です。

簡単な自己紹介

本記事を記載している私は、現在戦略ファームへの転職活動中です。1社内定をいただいたのですが、第一志望ではないこともあり、内定を辞退して転職活動を続けています。

20社近くの戦略ファームを受けている中で、フェルミ推定が全くできない状態から、現在はほぼ確実に面接を突破できる状態にまで至りました。

このように実践経験を経て身に着けたノウハウですので、ある程度信頼のおける内容になっているかと思います。

今回のお題について

noteクリエイターであるTKさんがご自身の練習用とのことで、回答を作成し記事を投稿されていました!
とてもおもしろいお題だと思ったので、TKさんの回答に対する私なりの解説と、私なりの回答例をまとめてみました!

なお、TKさんの記事は下記です。
私の解説を読む前に、TKさんの記事を読んで、自分ならどうするか考えた方がより身になると思います。

※本記事の記載について、TKさんご本人から許可をいただいております

本記事を活用した面接の練習方法

1.指定した時間で回答を考えてみる
※わからなくてもとりあえず答えを出すことが、上達の上でも、実際の面接対策の上でも重要です
2.TKさんの回答例と比較する
3.私の解説・回答例と比較する
4.俺/私の方が良い回答だ!解説のこの箇所、わかりにくい!などがあればどんどんコメントに書き込む。※可能な限り早くリプライします

では、TKさんの回答について、私なりの解説をした上で、私なりの回答を説明します。

TKさんの回答の良いなと思ったところ

下記3点に絞って説明します。

①設定したセグメントの消費行動を、非常に具体的にイメージできている
②数値設定の根拠を、身の回りの経験を基に説明できている
③(説明順序)結論を最初に述べている

①設定したセグメントの消費行動を、非常に具体的にイメージできている

TKさんは、セグメントの具体例を、「ダイエットを意識した20代女性」、「健康を意識した30-40代世帯」、「給食」、「老人ホーム」としており、それぞれどんなニーズがあるか具体的に記載されています。

今回はフェルミだけなのでそこまで関係はないのですが、
実際の面接においては、「代用肉の売上を伸ばすためには?」みたいなケース問題につながることが多いです。

TKさんのように、フェルミの段階で、ある程度具体的に考えておくと、
ケース問題における仮説が立てやすくなると思います。


②数値設定の根拠を、身の回りの経験を基に説明できている

TKさんは、「ダイエットを意識した20代女性の比率」「健康を意識した30-40代の比率」の数値設定において、「サラダチキン」、「グルテンフリー」などを消費する人の比率から考えています。

自分の身の周りの消費行動からうまく説明できているので、納得感があります。

③(説明順序)結論を最初に述べている

面接における説明順序は、結論(計算結果)⇒計算方法です。

結論を最初に述べていないと、説明途中で「で、結局いくらなの?」と突っ込まることがあるそうです。

こちらの説明のペースが乱れますし、結論から話すというビジネスにおける説明の基本ができていないとみなされ、評価が下がる可能性があると思います。

TKさんは、最初に計算結果を書いているので、良いなと思いました。
(私の解説では、手順に従って解説していくので、計算結果は最後に記載しています)

TKさんの回答に対する面接官の突っ込みポイント

下記3点について説明します。

①”5年後”をどう解釈するか
②なぜ「自分で選択」と「他者に提供」で分けたか
③セグメントごとの単価や消費量は同一でよいのか

①”5年後”をどう解釈するか

今回のお題が面接で出たとするならば、
面接官は、5年後をどう考えるかについての意見を知りたいのだと思います。

TKさんの記事上においては、5年後の代用肉の状況がどのような状態なのか説明がありませんでした。

省略しただけかもしれませんが、
実際の面接においては突っ込まれると思うので、ちゃんと説明が必要かと思います。


②なぜ「自分で選択」と「他者に提供」で分けたか

TKさんは、消費行動を軸に「自分で選択して消費する場合」「他者に提供されて消費する場合」の2パターンに分けていますが、その理由については触れられていません。

なぜこのセグメントに分けたのかは、まず聞かれるので、説明の段階でちゃんと伝えておいた方が良いと思います。

あと、個人的には、「自分で選択」と「他社に提供される」だと境界線が曖昧なように思います。

例えば、「自分で選択」をさらに、「自炊」と「外食」で分けていますが、
「”お母さんが自炊で作った料理を食べる子供やお父さん”は自分で選択に入るのか?」と思いますし、
「他社に提供される」で、「給食」などを挙げていますが、
「給食が選択制の場合は、自分の意思で選択することになるが、他社に提供に入るのか?」と思ってしまいます。
※今はわかりませんが、私が学生の時は、「給食/弁当は選択性&給食も毎日2種類あり」で、自分で好きなのを選んでいたと記憶しています


③セグメントごとの単価や消費量は同一でよいのか

TKさんは、単価や1食分の肉の消費量を同一として計算しています。

ざっくりの計算であれば、同一で問題ないと思うのですが、具体的に20代女性や、給食などをイメージされていたので、単価や消費量もセグメントに合わせて変えた方が良かったかなと思いました。

今回のように、先に考えやすい項目から数値を設定してしまうと、セグメントが具体的になった時に、最初に考えた数値の根拠が弱くなってしまいます。
ですので、全体の手順として、セグメント分けが完了した後に数値設定をした方が良いと思います。
今回で言うなら、20代女性や給食などのセグメント分けが完了した後です。

ちなみに私は、フェルミ推定を解くときは下記手順で解いています。

1.前提確認
2.基本式の設定
3.セグメンテーション
4.数値の設定・計算
5.現実性検証

詳細が気になった方は、以下の記事を確認してください。

私の回答例

では最後に私の回答例を記載します。

私の方法が最も良いわけではないので、皆さんも自分なりの計算方法を考えてみてください。

以下の手順で解説していきます。

1.前提確認
2.基本式の設定
3.セグメンテーション
4.数値の設定・計算
5.現実性検証

1.前提確認

他の記事では、前提確認はそこまで重要ではないと説明していますが、今回のようなちょっとひねった記事だと前提確認が重要になってきます

今回のひねりポイントは、”5年後”のところ

代用肉についてほぼ知識がないのですが、限られる知識の中から以下のように考えました。

<代用肉について私の知っていること>
・ビーガンなどの、お肉を食べられない人向けの食品
・お肉に非常に近い味、匂い、食感だが、中身はお肉ではない
<5年後の考え方>
・現状、たぶん、割と新しいジャンルなので、あまり浸透していない
・ビーガンとか、宗教が理由で食べられない人は、現状でもけっこーいると思う。なので、現状は、需要に供給が追い付いていない。
5年間のうちに、代用肉が普及し、5年後は食べたい人が食べれる状態とする

要は、「現状:需要>供給」⇒「5年後:需要=供給」の状態になる、ということです。

需要>供給の状態だと、市場規模は供給量に依存してしまいますが、
需要=供給であれば、需要サイドから求める式も使うことができます。

詳しくは、2.基本式の設定で説明しますが、今回は需要サイドから求めたいと思います。
そこで、5年後がどういう状態か考えた上で、式を作ってますよ、というのをアピールするために、面接であれば、面接官に以下の内容を説明すると思います。

(5年後の定義を説明したうえで)
5年後だと需要=供給になっているので、今回は需要サイドから計算します


2.基本式の設定

続いて、基本式の設定です。

今回はフェルミ推定のパターン①消耗品型に該当しますので、以下の式をベースとします。

ベース×購入率×購入数×購入頻度×単価

今回のお題に合わせると以下の通りになります。

日本人口×代用肉食べる率×食べる量×食べる頻度×単価

フェルミ推定のパターンについては以下の記事で解説していますので、気になった方はリンクからご確認ください。

3.セグメンテーション

今回は、「ビーガン・宗教上の理由・(あるのかわからないがアレルギー)などでお肉が食べられない人(嫌いな人などは含まず)」と「お肉を食べることができる人」で分けたいと思います。

設定理由には、表の理由と裏の理由があります。

表の理由は、「お肉を食べられない人」は、お肉を食べる時は全て代用肉になるので、「食べられる人」と比べると、代用肉を食べる率食べる頻度が大きく異なると想定されるためです。

裏の理由は、ほんとは年齢軸で分けたかったのですが、前提確認で時間がかかってしまい(3分くらい経過)、セグメントを2,3個くらいにしたかったからです。(結局8分くらいで算出し終わったので、できなくはなかった気がしましたが笑)

ですので、面接においては以下のように説明すると思います。

(「お肉食べれる」「食べれない」で分けた理由を説明した後で、)
この軸に加えて、年齢軸も加えたかったのですが、5年後をどう考えるかの方が計算結果により影響を与えると考えて、優先度を上げて検討したので、セグメントは「肉食べれる/食べれない」のみとしました。


4.数値の設定・計算

あとは、数値を置くだけです!

■日本人口

人口は減少しているが、そこまで急激に減らないと思うので、
12,000万人とする。

・お肉食べられない人:
ビーガンや宗教関係の人が該当するが、日本にはほぼいないと思う。5年後においても同様。1,000人に1人として、12万人

・お肉食べられる人:
「お肉食べられない人」を引いて算出するが、「お肉食べられない人」はごく僅かなので、計算結果にほぼ影響がないと考え、もとのまま、12,000万人

■代用肉食べる率

・お肉食べられない人:
味や食感などが、全て通常のお肉と同様と考え、
「お肉食べられる人」のうち、「お肉を食べる人の比率」と同じと仮定。

お肉が嫌いな人などを除いて、ほぼ全ての人がお肉を食べていると思うので、90%と設定

・お肉食べられる人:
主に健康ニーズで食べると想定。
40,50代の男女(0-80歳の1/4)のうち、生活習慣病の人や健康に気を遣う人が10人に1人程度と想定し、2.5%(1/4×1/10)と設定。

食べる量(1回あたり)

お肉を食べられない人、お肉食べられる人で違いはないとし、平均1食100gと設定

食べる頻度

・お肉食べられない人:
「お肉食べられる人」がお肉を食べる頻度と同じと仮定し、
2日に1回は代用肉を食べるとし、180回/年

・お肉食べられる人:
普通のお肉と併用すると想定。(なんだかんだ普通の肉も食べたくなる)
1週間に1回は代用肉を食べると仮定し、約50回/年

■単価

通常のお肉と同じくらいの価格帯になると仮定し、
お肉を食べられない人、お肉食べられる人ともに、100gあたり200円(2円/g)と設定

以上を計算すると、約340億円になりました!

表にすると以下の通りです。

200404_5年後の代用肉の市場規模

5.現実性検証

今回の現実性検証は、簡易的に他の計算式で計算することで試してみましょう。

代用肉は、お肉の一種類と考えることができますので、他の考え方として以下の式が考えられます。

日本人口×お肉食べる率×食べる量×頻度×代用肉シェア×単価

ざっくりですが、4.数値設定・計算で使った数値も参考にしつつ計算すると次のようになります。

日本人口×お肉食べる率×食べる量×頻度×代用肉シェア×単価=
12,000万×90%×100g×180×2.5%×2=1,000億円

今回の推定結果と3倍くらいの差になりましたね。
二つの計算方法から、数百億円くらいのオーダーな気がします。

実際の数値と振り返り

食品産業新聞のこちらの記事に、2022年で254億円との記載がありました。

2016年から市場が年率1.3~1.7倍で伸びる想定みたいですので、
そのままの比率で伸びたとすると、5年後(2025年)の市場規模としては悪くない数値に思います。

また、日本のお肉の消費量ですが、こちらの記事によると2013年で一人当たり1年で30kgとのこと。
日本人口12,000万人とすると、36億kgとなりますが、現実性検証のところで求めたお肉の消費量は20億kgとなりますので、代用肉のシェア次第ですが、ここもそこまで悪くない数値かなと。


以上、いかがでしたでしょうか?

今回はTKさんとのコラボ気味で解説いたしました!

なお、私のメールアドレスまでご連絡いただけましたら、今回のような解説+私ならではの解説を個別にフィードバックいたします!

無料で実施しますので、少しでも悩むことがあれば是非下記アドレスまでご連絡ください!

karakuri.consultant@gmail.com

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