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「出世払い」 奨学金(ローン)の延滞リスク

 奨学金がローンで、返済が延滞するとブラックリストにぶち込まれて信用情報に傷がついてしまうリスクについて、国の制度でどうにかならないのかなと思うところがあります。

 実際、ほとんどの人が返済をしているとはいえ、卒業後から多額のローンを一括返済できる人は少ないと思われるので、数年から数十年に渡ってローンを返済していくことになるというのは、人生のレールから転落した際への不安材料になっているのではないでしょうか。

 大学とうへの進学は今の世の中では必須であり、親が学費を工面できなければ、奨学金制度を活用して高等教育課程へ進んでいく人が多い現実があります。

 2022年4月1日から18歳が成年年齢となり、一人の大人として奨学金を自身の意思で活用しているのだから、ローンを返済していくのは当然の責務であるといえばそれまでですが、18歳という年齢でローンへのリスクを認識できるのかどうか疑問を感じます。

 一定の年齢までは奨学金返済の延滞によって、信用情報へ傷がつかないような制度設計にすることで、社会へ出てからのリスクを軽減できるのではないでしょうか。

 教育費だけではうまくいかないでしょう。全員が高等教育に進学する時代になったら、あそこは裕福だから親が出すけれど、うちは金がないから本人がローンというのも不公平です。だったらみんなローンにして、自分の分は自分で払う、というのが、この「出世払い」型奨学金が目指すところだと言ったら、言い過ぎですかね。

【第22回】出世払い型奨学金は日本をどう変えるか(国立教育政策研究所総括研究官 濱中義隆氏)2023年01月25日

 今と同じく、口座を登録して、そこから振替。三カ月以上延滞したら、個人信用情報機関に登録されることも同じです。

【第22回】出世払い型奨学金は日本をどう変えるか(国立教育政策研究所総括研究官 濱中義隆氏)2023年01月25日

 例えば、薬局に就職した24歳の時、何らかの事情で奨学金の返済を3カ月滞納してしまった。しかし、その後は滞納分も直ぐに返済し、20年後の44歳で無事完済したとしても、そこから更に5年間登録が続くことになります。

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 卒業後に出世払いとして現行制度と同じく、一定の収入以下であれば月額2000円の返済にするというのは、制度を理解していれば問題がないように思いますが、制度を理解していないからこそ延滞が起きるので金額の問題ではありません。

返済は、卒業後の年収が三〇〇万円となるまでは全額猶予ですか。
 二つの案が出されています。一案は、現行の所得連動返還方式と全く同じで、前年の収入から各種の控除額を引いた課税対象所得の九%を一年間の返還額とするものです。課税対象所得の九%が二万四〇〇〇円を超えない場合には月額二〇〇〇円を返還します。ただし、これまでと同様に年収が三〇〇万円未満の場合は、申請することで返還を猶予することもできます。

【第22回】出世払い型奨学金は日本をどう変えるか(国立教育政策研究所総括研究官 濱中義隆氏)2023年01月25日

 これだと現行制度と何も変わらないということで、所得が低いときの負担をより軽減したものが第二案です。年収三〇〇万円までは最低月額の二〇〇〇円を返す。ただ、返還のスピードが遅くなる分だけ、財源の手当てが必要です。

【第22回】出世払い型奨学金は日本をどう変えるか(国立教育政策研究所総括研究官 濱中義隆氏)2023年01月25日

 10代~20代を謳歌する若者が、怪しげな勧誘にひっかかって残念なことになってしまうように、自信が背負っている借金がどういったリスクを内包しているか認識しないまま社会へ出るケースがあります。

 住民税や健康保険料などの税金や、電気代や水道代といった公共料金に係わる延滞は信用情報に傷がつかないように、奨学金に関しても一定の年齢までは傷がつかないようにしたほうがよいでのはないでしょうか。

 2009年3月までは、JASSO(日本学生支援機構)が信用情報機関に加盟していなかったため、延滞があっても信用情報に傷がつくことはありませんでした。

 2009年3月以前から、奨学金を利用していた人については、信用情報に記録が残らないケースもあります。
 なぜなら、2009年3月以前は、奨学金の貸し手であるJASSO(日本学生支援機構)が信用情報機関に加盟しておらず、加盟前に契約した利用者に関する情報を登録できないという理由があるからです。

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 文部下科学省の検討会議でも手続き上の延滞可能性について言及があり、原資を確保するための制度的課題がある部分は理解できますが、奨学金制度を見直すのに合わせてこの辺りも検討してほしく感じます。

源泉徴収ではなく口座振替であることや、当年ではなく前年の所得に連動すること等 から、現実的な手続の中で納付が滞ることも予想される

大学院段階における「授業料後払い」制度 (在学中は授業料を徴収せず、卒業後の所得に応じて納付する新たな制度) の創設について(報告) 令和4年 12 月


参考資料

日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関

https://www.jicc.co.jp




AIが生成した「奨学金を延滞していることに気付いた人」

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