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「テレビ番組が進めるDX化とXR対応」 テレビ番組は生き残れるのか

 テレビ東京が営放システムなどの業務基幹システムなどを含めたDX化を進めると同時に、リモートワークへの対応、ペーパレス、データの一元管理、メタバースなどに対応するため、DX化に向けた社内整備を進めた流れで、テレビ制作にも大きなテコ入れをしていたのですが、今回の 「バーチャルプロダクション(VP)宣言」したようです。

テレビ東京 「バーチャルプロダクション(VP)宣言」
最先端 3DCG 制作の D・A・G 社と資本業務提携
WBS は来春から・6割の番組を VP 化  2023 年 11 月 9 日
https://www.tv-tokyo.co.jp/kaisha/pdf/231109.pdf

最先端テクノロジーがもたらす テレ東イノベーション 2022年冬
https://www.txhd.co.jp/ir/library/business/pdf/txhd/13m_02.pdf?0704

 XRが普及するなかで、XRに対応出来るDX化を進めて行くにあたって、今まで通りのテレビ番組では持続的に提供できるコンテンツが二次元的なため、XRに順応できるように舵を切って先へ先へ進んでいるように感じます。

XR(クロスリアリティ)
※以下を統合的に説明する時に使われるのがXR
 ・AR(拡張現実)
 ・VR(仮想現実)
 ・MR(複合現実)

DX(デジタルトランスフォーメーション)
企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

デジタル・トランスフォーメーションの定義

 テレビ番組では、縦長ディスプレイでリモート出演がコロナ禍で流行し、一部で定着していますがあのまま続ける気なのかなと感じ部分があっただけに、テレビ番組のDX化による出演者のリモート出演が、縦長でスプレイでなく、自宅にちょっとしたカメラや機材を設置することで、自然な形で出演できるようになることに期待感があります。

 メタバースの方はというと、メタバース参入を目指して作られた「池袋ミラーワールド」は2023年5月31日にサービスを終了しちゃっております。今のVRが一時期盛り上がったタイミングでメタバース商法が水面下で魑魅魍魎のごとくうごめいていたのを覚えています。

 Facebook社がメタバース本気で作るとか言い出して、社名もMetaに買えたことが決定打だったと思うんですよね。けど、あれはMeta社だから挑戦出来ることであって、中小企業だけでなく大企業でもそうそうメタバースなんていう仮想空間を作るには知見が足りなさ過ぎているんじゃないでしょうか。

 今のメタバースを凄く簡単に説明するなら、「セカンドライフと同じですよ」ですむ話だと思うんですよね。

 私の所見ですが、メタバースはまだ土台が整っておらず定義も一元化していないうえに、出てくるメタバース空間がこぞってクオリティの低い物ばかりなため、今作るなら社運を賭けて大金をぶっこんで頭のおかしいクオリティの物でも作らないと人が流入してこないんじゃないでしょうか。

 VR機器やスマホ、パソコンを使い、貴重な時間を割いて面白くもないメタバース空間へ日常的にログインする理由が存在しませんし。

 企業で活用しているメタバースの一部では成功例はありますが、これらは一般的な庶民がイメージするメタバースとは性質が異なっており、業務特化したものや、適性のあった職場などに限られていると思われます。

 なにより、メタバースには消費電力問題があり、この点をクリア出来るようにならないと本格的なメタバース空間の構築は難しく思います。(この点については、コスト意識が消費電力を抑えるとの意見もある)

 とはいえ、将来的にクオリティの高いメタバース空間は普及し出すと考えています。今の時点では厳しいというのが私の意見になります。

 メタバースに関しては、Meta社がそれなりのものを作ってくれているとおもわれるため、Meta社の続報を追いかけつつ、基準にしておくのが良いと思われます。

 注意点としては、オンラインゲームとメタバースを混同している人がたまにいますが、しいてあげるなら「VRchat」というゲームがメタバースと呼ばれることがあるくらいです。(メタバースの定義が一律ではないため他にもあるかもしれません)

 メタバースの一例としてVRchatが出されることが多いのですが、おそらく企業が抱くメタバースとVRchatは性質が異なるため、VRchat型メタバースが増殖することはないんですよね。

メタバースのシステム構成論
メタバースプラットフォーム実装に関する資料はないが、 インフラ系技術者視点で仮想世界の裏側を推測してみる 佐藤一郎氏https://www.soumu.go.jp/main_content/000822521.pdf

 難しい話を抜きにするなら、Microsoft社がマインクラフトのメタバースバージョンでリリースして、「これがメタバースだドンッ!」とかやってくれたら面白そうなんですけどね。

 一方で、VRアーティストの「せきぐちあいみ氏」がVR空間へ三次元アートをリアルタイムで制作する姿をテレビ番組で紹介している映像をみたことがあるのですが、いつもの番組セットを背景にデジタル三次元アートだけが重ねられて、もったいないなと思ったのを覚えています。

 こういった三次元アートを表現するには、デジタル空間で見せた方が映えるのは間違いなく、今の古き良きテレビ番組セットでは映えさせるのは難しいんじゃないでしょうか。

 長い目で見れば、今の二次元的なクオリティのままテレビ番組を続けて行っても伸び代が薄く、そこに合わせてテレビ番組がネット配信へ参入し続けても、既にネット空間には膨大なコンプラを順守しない過激コンテンツや、世界から提供されているハイクオリティなコンテンツで溢れており、勝負していくことを視野にいれると、テレビ番組を自社でXRへ順応させクオリティを上げて行こうとする上昇志向は良い手だと感じます。

 「TBSとして初のXRにトライ その裏側をチョイ見せ!」で見せている映像は単に番組セットにデジタル映像を重ねているだけですが、テレビ東京 「バーチャルプロダクション(VP)宣言」にある写真と説明では上記手法以外にも、ハリウッド映画にも使われている「インカメラVFX」と呼ばれる手法が取り入れられています。

【XRステージ】TBSとして初のXRにトライ その裏側をチョイ見せ!【北京オリンピック】 2022/02/07

映像制作の未来が変わる。次世代の撮影技法バーチャルプロダクション「インカメラVFX」の強みと制作事例|Hibino VFX Studio 2022/03/25


 この「インカメラVFX」はガチです。日本のテレビ番組でここままでするのかと驚きを隠せません。これはクオリティもそうですが、グリーンスクリーンなどでは演者がそこない物に対して演技やリアクションをしなくてはならない反面、インカメラVFXでは巨大スクリーンでスタジオを囲むことで没入感が向上し、演技やリアクションのクオリティをあげるための手法だったと認識しています。

 今後どういった番組で「インカメラVFX」を使っていくのかわかりませんが、ニュースとうなら地面に配置する実物の小道具を動かす必要がないとはいえ、番組ごとに小道具が必要になるとは思いますし、表現のクオリティを向上させるのが主目的なんですかね。それとも、金銭面でコスパがよくなる予定なんでしょうか。

 

AIが生成した「テレビ番組がXRに対応し、三次元のデジタル空間をスタジオにしてる様子」


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