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JULA出版の金子みすゞ全集酷い『ころんだ所』編

JULA出版による金子みすゞ全集は、新旧・最新と3種類出ているのですが…

仕事の杜撰さから、同じ作品なのに表記が違うという、とんでもない状況になっています!

タイトルバックの画像としてアップした旧全集にはない【モモタロウ】というルビが、新・最新の全集にはふられているのです。

新全集


2022年7月に出た最新の全集

ではこのルビは…

①みすゞが命を絶つ前に清書した遺稿にはないのに、JULAが新・最新全集発行時にふったものなのか?

②遺稿にもルビはあったのに、旧全集出版時には見落としていたのか?

人間のやることですから誤字・誤植、ミスの可能性はおおいにある。

金子みすゞの生れ故郷・山口県長門市仙崎にある記念館で確かめてきました…

もとい、山口へ旅行したみすゞ塾の塾生に、記念館で遺稿を確認してきてもらいました(記念館に行かなければ、一次資料である遺稿を確認できないなんて!!!)。

【オンラインみすゞ塾】小諸クラスのチラシ

そしたら何と、遺稿手帳には、ルビはないのです。

ということは、旧全集にルビがないのは遺稿の通りで、JULA出版の見落としではないということ。

そして【モモタロウ】というルビは、新・最新全集出版時、JULA出版が(勝手にというか自主的に)ふったということになります。

「このルビの有無って、そんなに目くじら立てることなの?」と思った方も少なからずあるでしょう。

言葉は詩人の命です。

たとえルビの一字といえども、疎かにはできません。

筆者は、みすゞは声に出しながら詩作していたと考えています。その根拠は長くなるのでまたの機会に。そうした時…

A:モモタロ【ウ】さん、モモタロ【ウ】さん

なのか

B:モモタロさん、モモタロさん

なのかでは全く違います。

音の数とリズム的に、みすゞは【B】のつもりであったと思われます。

その論拠を補強するのが、「モーモタロさん、モーモタロさん、お腰に付けた黍団子~~~」の歌です。
歌詞は「モモタロ」さんで、「モモタロウ」さん、ではありません。

この尋常小学唱歌第一学年用は、明治44年発行。明治36年生まれのみすゞも当然知っていたでしょう。

であればなおのこと、これはもう断然みすゞは【B】のつもりだったと確信するものであります。

して、

JULA出版が(勝手にもしくは自主的に)ふったルビがもし【モモタロ】と【ウ】がないものであれば、ここまで深追いはしませんでした。きちんと検討したと類推できるので。

しかし、【モモタロウ】とふってあっては、反証せずにはおけません。

みすゞがふっていないルビをふるならば、信頼に足る仕事をしていただきたいです。



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