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丹後リビングラボ×COS KYOTO 京丹後シルク旅モニターツアー

2022年3月1日~3月3日の3日間、「丹後リビングラボ×COS KYOTO 京丹後シルク旅モニターツアー」が行われました。
このモニターツアーは、丹後リビングラボと COS KYOTO 株式会社が連携して丹後の織物業やものづくりの現場を訪ねるファクトリーツアーです。
モニターには、都市部からシルクに関心が高い個人や企業の方々を対象に計7人に参加していただきました!

主催:丹後リビングラボ
共催:COS KYOTO株式会社
協力:一般社団法人 Tangonian

【丹後リビングラボについて】
京丹後市を訪れる方にこれまでの観光よりさらに深く地域を知り、継続的につながるきっかけとしての都市部企業向け研修プログラムやワーケーションでの体験プランづくりに向け、さまざまな事業者や団体で構成されるコンソーシアムが立ち上がりました。 丹後リビングラボは、このコンソーシアムのメンバーとともに、新たなつながりから、 よりゆたかな「働き方」や「暮らし方」ができるまちづくりを目指すとともに、地域内に必要なしくみを整え、活動をサポートしていきます。

【スケジュール】

1日目

京丹後市新シルク産業創造館(ながすな繭株式会社

ここでは廃校となった小学校の校舎を活用して、養蚕や新たな製品開発を行っています。

養蚕室や研究室を見学させていただいたり、絹糸に含まれる成分を利用して開発された化粧品やスキンケア用品の紹介などをしていただきました。

2日目

田勇機業株式会社

田勇機業株式会社では、「八丁撚糸」という、水を落としながら緯糸(よこいと)に1mあたり3,000〜4,000回の強い“撚り(より)”をかける技術により、”シボ”と呼ばれる独自の立体感を生み出しています。

ツアーでは、実際に田勇機業株式会社で織られた生地や工房の織機を見せていただきました。

染織工房 山象舎

山象舎では、植物から抽出した色で生地の上にその植物を描いた作品や、採集した植物の繊維を使った手織り作品を制作されています。

和気あいあいとした雰囲気の中、堤さんご夫妻が東京からこの自然豊かな京丹後に移住され工房を建てられたお話や、京丹後の変わりやすい天候をデザインするといった斬新な作品などを紹介をしていただきました。

まちまち案内所

まちまち案内所は、移住者支援を行う一般社団法人丹後暮らし探求舎に併設する施設で、地域の方が集えるイベントを行ったり、皆が気軽にお仕事をしたり遊びに来たりできるコミュニティースペースやカフェがあります。

地域の事業者とコラボして、京丹後に住む方ならだれでも知っている「ヒラヤミルク」ポーチも制作されています

この時間は、オンラインでの打ち合わせなどがある参加者のためにフリータイムとして使っていただきました。
また、丹後ちりめん織元の臼井織物株式会社臼井さんに来ていただき、臼井織物株式会社と、織物・印刷業を行う大善株式会社株式会社二条丸八でデザインを担当されている森山さんで連携した「たてつなぎ」というグループが手掛ける、お客さんオリジナルの図案や写真から丹後ちりめんの生地に印刷をする最新技術を使ったオーダーメイド商品についてご紹介をしていただきました。

ランチ

この日のランチはプラザホテル吉翠苑で丹後の郷土料理である丹後ばら寿司をいただきました。

パッケージには丹後ちりめんとゆかりの深い狛猫があしらわれています。
また、食事中のひざ掛けも丹後ちりめんという何とも贅沢なセットでした。

金刀比羅神社

昼食後は、全国でも珍しい狛猫を祀っている金刀比羅神社を参拝しました。
その昔飼い猫が丹後ちりめんの生地や蚕をネズミの被害から守ったということで、丹後では今でも猫が崇められています。

脇阪宮司に丹後ちりめんと共に栄えた峰山町の歴史などを解説してもらいながら、境内を参拝しました。

丹後織物工業組合

ここでは、「きぬもよふ」という絹糸から出るセリシンという成分を利用した化粧品やスキンケア用品を紹介していただきました。
参加者の皆さんには実際に手に付けて試させていただきました。
シルクから化粧品やスキンケア用品、シャンプー・リンス、入浴剤など様々な商品が出来ることを知り、ますますシルクの可能性を感じました!

「より多くの方にこれらの商品を普及させるにはどうしたら良いか?」という開発担当者の問いに対し、シルクに精通した参加者の皆さんからは様々なアイデアや意見が出されていました。

株式会社二条丸八

株式会社二条丸八は、和装婚礼衣装を中心に制作されています。

ここでは、工場の中を見学させていただいたり、先進的なハイテク技術を取り入れた作品作りのプロセスを見せていただきました。
「社員一人一人の熟練の技術があってこその会社」だという事を所長の坪倉さんは仰っておられました。そこで株式会社二条丸八では、社員の研修制度や若手が企画に携われるような機会を積極的に設けています。また、工場内の至る所に社員の皆さんが快適に働けるような心遣いが見られました。

3日目

谷勝織物工場

谷勝織物工場はシルクの無地着物生地のみを織られています。シンプルな生地だからこそ、わずかな傷さえごまかせない高い技術が要求されます。
丹後で唯一となった伝統的な織り方を貫き、丹後ちりめんの特徴である「水撚り八丁撚糸機」で糸に撚(より)をかけるところから自社で行っています。

ここでは、工場見学に加え伝統的な織りが施された生地の復元を見せていただいたり、シボによって微妙に異なる生地の質感や色の違いを説明していただきました。

網野神社(蠶織神社)

網野神社の境内にある蠶織神社は、大正14年(1925年)に、地元のちりめんと養蚕の関係者が織物と養蚕の神を奉祀し、毎年4月に祈願祭を行い、丹後ちりめんを奉納しています。

蠶織神社には、毎年4月に織物業者の中の有志が極寒の初春の日本海に入り身体を清める禊(みそぎ)という儀式により、白生地の反物が捧げられるしきたりがあります。ツアー中その反物によって作られたおみくじが参加者の皆さんに宮司の方からプレゼントされるという嬉しいサプライズがありました。

有限会社 京丹後ふるさと農園(桑畑)

有限会社京丹後ふるさと農園では、農薬不使用で桑を育てられています。
また、桑の葉粉末を使用したお茶や麺などの加工品も取り扱っています。

参加者の中にも将来完全オーガニックの桑を育てたいという方がいらっしゃったこともあり、桑畑や桑を使用した商品に関して様々な質問がされていました。
桑の葉茶は後ほど皆で味見をしましたが、独特の舌触りと桑の葉の優しい香りがしてとても美味しかったです。

ランチ(Organic Cafe てんとうむしばたけ

2日目は、梅本農場で作られた有機野菜を使用したランチをいただきました。

右:看板犬のハナちゃんに参加者皆メロメロでした

梅本さんご自身から農場で作られているお野菜のことや、食と健康に関すること、また有機農業を始められたきっかけなどお話もしていただきました。

KYOTO YOOSAN 合同会社安田織物株式会社

KYOTO YOOSAN 合同会社は、代表の安田さんの「養蚕が福祉施設で働く、障害のある利用者さんたちの新たな収入源になるのではないか?」「そこから地域貢献につなげることができるのではないか?」という思いから、福祉施設で養蚕という農福連携による事業化を目指されています。

また安田織物株式会社の工場の見学もさせていただきました。
安田織物株式会社では、糸と糸の間に空間をつくる「からみ織り」の伝統技法で透明感のある生地を織られています。

ATARIYA Tango Innovation Hub(ツアー振り返り)

「ATARIYA」は、与謝野町で親しまれた元料亭をリノベーションした
丹後地域の交流・融合拠点となるイノベーションハブとなるようオープンされた施設です。

ツアーの最後やツアー後に行ったアンケートで、参加者の皆さんからツアーに参加されてみての感想や改善点などをお聞きしました。

やはり、職人の工房は気にはなっていても突然関係性がない中で訪れるのはなかなか難しいものです。
このモニターツアーによって職人さんから直接お話をお伺いしたり、工房や作品を見せてもらうといった機会を得られたことにに対して多くの参加者が評価されていました。

オンライントークイベント

2022年3月10日、モニターツアー運営に携わっていただいた北林さん、モニターとして参加していただいた小森さん、村上さんをゲストスピーカーにお迎えし、「モニターツアーでの新たな発見や気付き」「丹後ちりめんの産地としての魅力や今後の可能性について」をテーマに、オンライントークイベントを開催しました。

【ゲストスピーカー】

北林 功(Isao Kitabayashi)
COS KYOTO株式会社 代表取締役/コーディネーター、エドノミー®研究家
一般社団法人Design Week Kyoto実行委員会 代表理事
一般社団法人サステナブル・ビジネス・ハブ 理事/リサーチャー
同志社大学・京都女子大学嘱託講師

地域で培われてきた叡智をベースに「自律・循環・持続する心豊かな社会を構築する」をビジョンとして活動を展開。
江戸時代の循環型社会の仕組みを「エドノミー®」と名付け、研究を深めている。
2013年にCOS KYOTO株式会社を設立し、「文化ビジネス」を具現化するためのコーディネート、国内外との文化交流イベントの企画・運営、人材育成・研修、体験ツアーなどの事業を展開。
2016年より京都府内のモノづくり現場をオープンし、多種多様な交流を通じて創造的な地域としていくことを目的に「DESIGN WEEK KYOTO」をスタート。

小森 優美(Yumi Komori)
社会起業家/エシカルファッションデザイナー
株式会社HighLogic代表取締役
一般社団法人TSUNAGU代表理事

草木染めシルクランジェリーブランド"Liv:ra(リブラ)”のデザイナーとして自身の自己表現を探求すると同時に、一般社団法人TSUNAGUでは「心の変容から起こる社会変革」をコンセプトに個人の心の変容から起こっていく本質的な社会変革を目指す実践的なラボを運営中。
幸せな感覚から生まれる直感的なインスピレーションに従って、プロダクトデザイン、システムデザイン、講義・講演など、エシカルファッションを軸に多分野で活動する。

村上 采(Aya Murakami)
株式会社Ay代表取締役
慶應義塾大学SFC4年休学中

1998年群馬県伊勢崎市生まれ。慶應義塾大学SFC4年
中学で地元の伝統工芸品「銘仙」に惹かれ活動を開始。15歳米国留学で日本人・地方のアイデンティティを認識。大学では教育・コミュニケーション学を専攻。2019年アフリカコンゴ民主共和国へ二度渡航、現地NGOと服作りを始めアパレルブランドAyを創業。2020年6月伊勢崎銘仙をアップサイクルした服を展開。

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このオンライントークイベントでは「ツアーでの工房見学や職人との出会いでの気付きについて」「丹後ちりめんの産地としての魅力や可能性について」「今後、丹後地域と連携して取り組んでみたいことやアイディアについて」などをテーマに会話が繰り広げられました。

このツアーにより、ツアー参加者の皆さんと丹後地域の織物産業とのコラボレーションが生まれたり、関係人口が増えるきっかけが作られたのではないかと感じます。

丹後リビングラボでは、このようなきっかけを今後も作っていきたいと思います。

Writer:丹後リビングラボ|岸 あやか


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