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黒い蝶・・雨にうたれ・・そして

  前夜から断続的に強い雨が降り続いた昨日朝の事でした。モクレンに何か黒いものが着いていました。黒いアゲハ蝶でした。まだ細い木蓮の葉の下に雨を避けるように留まっています。留まっていると言うよりぶら下がっている感じ。こんな細い木の葉が雨除けになるのでしょうか?

  雨が止んで少し風が吹いた時、ふるふると羽をゆらし乾かしているようなしぐさ。そのうち飛んでいくと思っていたらまた雨が激しく降ってきました。昨日は体調が良くなかった私は、蝶が見える部屋でうとうと眠っていました。かなり時間が経ったころモクレンを見ると、まだ黒いアゲハ蝶は留まったままです。日暮れになってもまだ蝶はいます。夕方まで雨は降ったりやんだり。飛んでいけなかったのです。

  我が家には山椒の木がありお隣の夏ミカンの木ともども、アゲハ蝶たちに人気です。お隣には肉桂の木もあり、こちらはアオスジアゲハのお気に入りのようです。どちらも蝶の幼虫の食草。産卵の時期には蝶がやってきます。成虫の食事は花の蜜なのですが、我が家にはノースポール以外の花はまだ咲いていません。ちょっと立ち寄ったモクレンの木で一晩眠ったのは良かったけれど目覚めたら大雨!ここで雨宿りするしかない。しかし雨宿りするには小さすぎる葉です。クロアゲハはずぶずぶに雨に濡れてしまって身動きができなくなってしまったのでしょうか?

  そのまま夜が来て、動かないクロアゲハ。
朝には雨が止んで飛んでいけるでしょうか? 心配です。

今年も香り高い山椒の新芽が沢山出てきました。アゲハ、クロアゲハの食草。

  蝶は成虫になるまでたくさんの試練が待ち構えています。身近なアゲハ蝶の一生は夏の場合、卵一週間→幼虫三週間→蛹一週間→成虫二週間くらいだそうです。春先はこのサイクルは遅くなるようです。クロアゲハはもう少し長いサイクルなのだとか。そうして春から夏の間に何回も世代交代して繁殖していきます。春先に出てくる蝶は蛹の姿で越冬します。
  
  卵から成虫になるまでの苦労。まず、ライバルと競り合って食草に卵を産みつける。孵化して幼虫になると鳥などに食べられる。または人間に捕殺される。蛹になる適当な場所を探す(一生懸命這って場所をさがしている幼虫を見たことがあります。食草で蛹になるとばかり思っていた私はびっくり。何らかの事情で他の場所を探す必要があったのでしょうね。)蛹になる場所が悪いと人間にごみのように捨てられてしまう。

  成虫になると鳥に狙われます。子供はきれいな蝶を網で捕えます。私も子供の時、蝶やトンボを捕まえるのが好きでした。
今回のクロアゲハのように大雨に打たれてしまうこともあります。

右の白い花がノースポールです。左はキンセンカ。ともに蝶が好む春の蜜源です。

  さて、クロアゲハはどうなったのでしょう?今朝、モクレンを見るとまだ枝に留まったままです。7時半ごろ風が出てきて、クロアゲハは広げた羽を震わせています。濡れた羽を乾かしているのかな?なんだか羽は雨で傷ついているようにも見えます。外の気温はまだ低い。飛びません。「飛んでくれ~。」と心で祈るしかないです。

  私はゴミ出しや朝食作り、掃除などにとりかかりなるべくクロアゲハの事を考えないようにしました。そうしているうちに気温も上がってきたので思い切って庭に出てみました。モクレンの木を見上げると
「いない!クロアゲハがいない!」。もしかして力尽きて地面に落ちてしまったかもしれないとモクレンの木の下を探しました。「落ちていない!」

 あのこは飛んで行ったんだ!!
嬉しかった。またうちの庭に飛んできてよ。山椒の木に卵産んでかまわないからね。あなたが男の子だったらパートナーにうちの山椒の木の事を教えてあげて。戻ってくる前に、山椒の葉で私は山椒味噌を作ろう。

参考図書:「花と蝶を楽しむバタフライガーデン」 海野和夫編著 農文協

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