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いのちの花

  この白い花はアジサイ。友人からもらった切り花を挿し木にしたら幸運にも根っこが生えて翌年には可憐な花が咲きました。この写真はそれから二年後に咲いた花です。今では庭植した株が大きく育ちつつあります。蕾はまだ青く小さいのですが、5月末にはこのように咲いてくれることでしょう。

  アジサイが初めて咲いたのは2021年の5月末。癌の手術入院から帰宅した私を待っていたように蕾がほころび始め、毎日一輪また一輪と咲いていきました。衰弱した私の心身に花の命が伝わってきました。

  ありがたかった。このアジサイと私の命が繋がっていること、私たちは分けることなど不可能な一つのいのちなのだと言うことを実感した瞬間でした。私たちの形は儚く終わる日が来るけれども、終わらない永遠のいのちを私たちは分かちあっているはず。そのことをただ信じることにしました。

病から多くの事を学びました。
この花から多くの事を学びました。

  どんなに私が世間的なことにまみれても、また還ってこられる場所があることを。私ではなく「私たちの世界」という場所。

  でも、いつもはこの大切なことを私は忘れ、世間の沼に沈んでしまいます。「忘れないで」とアジサイは語りかけてくれ、そのたび私ははっとするのです。その繰り返し。

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