見出し画像

言えば楽になれるかもしれないけど

「この日大丈夫ですか?」

 今日の天気を聞くかのごとく、なんでもないことのように、尋ねられる。
 そのたびに、私はどきりとした。
 本音を言えば、「無職なので、だいたい暇です」なのだが、「その日は休みなので大丈夫ですよ~」という返事でやり過ごす。
 一応嘘ではない。毎日がお休みなのだ。でもやはり、少しだけ、嘘かもしれないと、後ろめたい気持ちにもなる。

 初めて会う人ならいい。
 私のことなどどうでもよくて、私のことを何も知らない人だ。話したところで「ふーん」という感じだろう。
 実際これを読んでいる人も、「ふーん」という人が大半だと思う。

 問題は、すでに知り合っていて、それなりに交流のある人だ。
 中でも、SNSの知り合い。具体的に言えば、Twitterで繋がっている相手。個人的には、一番言いづらい。
 Twitterを始めたのが、もう何年も前なので、初期から現在まで繋がっている人とは、もう、幼馴染のレベルである。
 おそらくだいたいの人が働いていて、中には、「しんどい」「疲れた」と言いながら仕事に言っているひともいる。職場の「仕事ができない人」のせいで自分の仕事が増えると憤っているのを見かける。
 そんな中で、「実は無職なのだ」とバレるのは……親しい相手に軽蔑されるのではないかと、不安になる。
 怪我とか病気とか理由があるわけではなく、ただ再就職していないだけの状態だから。

 もしかしたら、私の普段の投稿頻度から、察している人もいるかもしれない。言ってしまってもいいのかもしれない。
 もしも、「無職だ」と言えたら、「だからお仕事ください」と言える。それで、仕事がもらえることも、もしかしたらあるのかもしれない。

 だから、本当は言ってしまいたい。

 私は、みんなが思うほど、すごい人じゃない、って。
 「普通」をがんばれるみんなはすごいんだよ、って。

 ……いままで隠しててごめんね、って。

 一言を、伝える勇気がなくて。
 今日もまた言えなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?