Take Me Out to the Ball Park F🌟VILLAGE

（2023/3/29  3809字）

エスコンフィールド開業！

　いよいよシーズンインが近づいて参りました。
今季、パリーグは３月30日に新球場エスコンフィールド北海道で行われる日本ハムvs楽天イーグルスで開幕します。
2018年に北広島市が建設候補地として決定されましたが、日ハムが札幌ドームを去ることになったいきさつはこちらです。
　北広島総合運動公園内に「HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE（北海道ボールパークFビレッジ）」を建設し、その中核施設が「ES CON FIELD HOKKAIDO（エスコン フィールド HOKKAIDO）」になります。

F🌟ビレッジってなあに

　新球場プロジェクト立ち上げ期から使用している「北海道ボールパーク」という名称に、複数の意味を持つ頭文字「F」、北海道を象徴する「七光星」、街づくりを表す「VILLAGE （ビレッジ）」を加えることで、北海道の新たなデスティネーションにしたいという想いを表現。
アルファベット「F」には様々な意味が込められており、事業パートナーやファン、道民の皆様と共に新たな意味や価値を創造していきます。

F🌟VILLAGE公式サイトより

　道民以外には「七光星」はあまり馴染みがないかもしれませんが、北海道開拓使の「北辰旗（五稜星）」をもとにした「七稜星」がモチーフになってオリ、北海道章や北海道旗に取り入れられています。

サッポロビール博物館HPより

もちろんサッポロビールの「赤星」も五稜星がモチーフです。
ちなみにF🌟ビレッジオフィシャルサイトによるとテキストでの表記は「北海道ボールパークFビレッジ」になってオリます。
七光星どこいっちゃったのかな？

　めちゃくちゃ脱線しました。
ちなみに北広島総合運動公園は36.7ヘクタール。
運動公園自体が2000haを超える広大な「野幌原生林」の中にあります。
そこに約20ヘクタールのFビレッジを建設し、その中核施設がエスコンフィールドになります。
20ヘクタールというとなんと東京ドーム4個分！

もはや日本人にとってメートルやキログラムに近い「単位」認定されている東京ドームですが、その東京ドーム自体の大きさはイメージ出来ますか？
東京ドームの大きさも知らないのに「東京ドーム三個分かー」とか言ってるあなた、チコちゃんに叱られますよ。
東京ドーム本体の広さは46755㎡。
それでもイメージしにくいですよね。
サッカーグラウンドに例えると約6.5個分です。
サッカーグラウンド（7140㎡）は25mプール(312.5㎡）に例えると5.7個分。
つまり東京ドームは25mプール150個分ということになります。
関西人に馴染みの深い「甲子園何個分」ですが、甲子園は38500㎡なので「東京ドームを甲子園に例えると約1.2個分」になります。
※東京ドームシティの面積は13.3haですので、Fビレッジ自体は東京：北海道のイメージほど広大ではないです

エスコンフィールドの魅力

こちらにも七光星が

　　エスコンフィールドは2009年のズムスタ以来のプロ野球本拠地球場の新設となります。
エスコンフィールドの経済効果は初年度1635億円、10年で6788億円（8000億円とも）と見込まれています。（初年度は球場建設費用が含まれるので大きくなります）
まさに「札ド（札幌市）さん‥金の卵を産む鶏を失いましたね」なのですが、北海道自体に大きな経済効果をもたらすことが期待されてオリます。
　大きく報道された「球場一望のサウナ」はじめ「球場一望のブルーパブ」などユニークで魅力的な施設が数多く盛り込まれた、意欲的な設計ですね。
ブルーパブ（地ビール醸造所併設レストラン）は安定のよなよなプロデュース。
個人的には、道内に素晴らしいブルワリーがいくつもあるのですから地元ブルワリーのビールが飲みたかったように思います。

エスコンバックネットは改修すべきだったか

　さてエスコンフィールドというと少し前に話題になったのが「バックネットまでの距離が規定違反」ですね。
スタジアムがほぼ完成した昨年11月にNPBの指摘で違反が発覚するという前代未聞の事件でした。
日本の公認野球規則では本塁からバックネットスタンドまでの距離を60フィート以上を「必要とする」となってオリ、50フィートで設計されたエスコンフィールドは「規約違反」となります。
何故こんなことが完成直前まで発覚しなかったのか？
それは米国の設計会社HKS社はアメリカ公認野球規約に基づいて設計したことが原因でした。
日本の公認野球規約は米国規約の「直訳」と評されてオリ、HKS社は日本規約の確認をしなかったのだと思われます。
米規約の原文では“推奨（recommend)”とされていて、満たさなくても問題がない規定が「必要とする」となっていたために問題となりました。
ぶっちゃけこれは「誤訳」と言って差し支えないレベルだと思います。
紆余曲折を経て、日ハムが「野球振興協力金」をNPBに対して支払うことで改修せずに解決することが決定されました。金額は３億円超と言われています。
　これに対して「カネで解決するのか」という批判も多く見られました。
個人的には、野球振興協力金という「ペナルティー」の額が大きすぎるのでは、と考えています。
法律のように精査に精査を重ね、慎重すぎる程の手続き（法律の制定・改正には必ず衆参両院での議決が必要です）を経て成立するものと同様にしてはいけないと思うのです。
元来、ベースボールの公平性はフィールドの形状によって担保されません。
アメリカの野球場は意味不明なレベルで変形したものも多いです。
正尚さんが移籍されたボストンレッドソックスのホーム、フェンウェイパークも左翼が極端に狭いためにホームランが出すぎないように有名な「グリーンモンスター」という高さ１１メートルの壁が設置されています。
これは野球が元来空き地などで楽しむ球技として普及し、また球場も街中にあるべきものとして状況に合わせて柔軟に設計されたことによるようです。
実際、今でもMLBのスタジアムの多くは「左右非対称」です。

バックネットへの距離をルール化する目的はまず「観客の安全確保」、そして野手（捕手）の安全だと思います。
日本の球場はバックネットなど安全対策を重視してオリ、ルール上の数字にこだわる意味はないと思います。なにしろもともとが「誤訳」ですからね‥
　これを機に日本の公認野球規約のほうが改訂されるという報道もありました。
非常に建設的なことだと思います。

　アメリカ人は「こういうこと」にむちゃくちゃ無頓着なだけでは？という気もしないではないです。
サッカーのアメリカW杯の時、人気が無く消滅していた米国内プロリーグを復興させようという動きがありましたが、「得点シーンが少なすぎてアメリカでは人気が出ない」という批判があり、対策として大真面目に「ゴールをちょっとデカくする」という「いやそれサッカーの戦術大きく変わっちゃいません？大丈夫？」というやつを議論してました。
さすがに冷静な方がおられて却下されたようですね。
FIFAの事情もあり、このアメリカW杯では実際にアメリカに配慮した得点シーンが増えるルール変更もされました。

アクセス

　エスコンフィールドは札幌からは遠くなりますが、千歳空港からは近くなります。
新千歳空港駅から最寄りの北広島駅までは２０分程度。
デーゲームなら楽々日帰りビジター観戦も可能です。（お財布は楽々ではないかもしれません）
北広島駅からエスコンフィールドまでは1.5km、徒歩２０分程度とのことです。
試合開催時にはシャトルバスも運行されるようですね。
徒歩ルートに設置された歩道橋は「ビッグボスブリッジ」だそうです。
大きなお世話だと思いますが数年後「ビッグボスって誰？」にならないことを祈らずにおれません。
北海道らしく、観客の1/3程度は車での来場を想定されているようです。
とはいえJR千歳線の一線しかないので相当な混雑が予想されます。
四線（四駅）徒歩接続のセラドと同じようにはいきませんよね。
　なお、Fビレッジ直結の新駅（仮称「北海道ボールパーク駅」）建設が予定（2028年完成予定）されてオリますが、建設費を巡って紛糾しているようです。
この駅は北広島市からの請願に基づき設置される、いわゆる「請願駅」で駅の建設費用は原則地元自治体や受益者が負担します。
ところが資材や人件費高騰などで当初予定より建築費が４割ほどアップすることが確実となり、費用負担する北広島市長が「現時点で合意するのは難しい状況」と事実上のストップをかけました。
JR北海道は駅の設置場所をずらす（ボールパーク前はカーブや高低差が大きく建設費用が膨らむため）ことも提案していますが、それなら北広島駅の駅舎やボールパークへのアクセスを改善した方がいいのでは？とも感じますね。

セラド、メラド、ペイド、ほもフィー、さて

　さて長々と話してきましたが、結論として
「エスコンフィールドの略称は何か問題」が残りました。
エコフィー（環境配慮型スタジアム）
コンフィー（おいしそう）
　のどちらが定着するでしょうか。
あ、普通に「エスコン」だろうなって思ってます。ほんとは。

　このネタを言いたいだけで長々書いてきたのですが、念のため検索したら２年前に言われてました‥くやしい