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【がたふぇすvol.14】「アニメキャラクターデザインワークショップ」体験レポート~”スキ”を形にできる場所【NAFCA企画協力】

2024年3月16日・17日に新潟市で「がたふぇす」(正式名「にいがたアニメ・マンガフェスティバル」)vol.14」が開催、街の至る所で行われたマンガ・アニメのイベントで市内はにぎわった。

その1つ「アニメキャラクターデザインワークショップ」は、アニメ業界で活躍するプロのアニメーター達から地方にいながら直接学べる貴重なイベントだった。
参加者達の各々が紙に向かって自分のスキを形にしていき達成感と充実感に包まれた模様を、筆者体験を交えてレポートする。

1.ルールとテーマはシンプル!

ワークショップは16日・17日と両日1回ずづ開催され、筆者は17日開催回に参加。地方では珍しいイベントのためか事前予約の参加者40名が集まり会場はほぼ満席で埋まった。参加者は男女関わらず保護者同伴の小中学生から大人まで、イラスト作成に興味がある人々が集まる。

担当講師は西位 輝実先生とNaSka先生の2名。正面のホワイトボードに立ち笑顔で挨拶し、自己紹介とワークショップの説明をはじめた。
プロフィールは下記を参照。

◆西位 輝実氏 プロフィール◆
アニメーター、キャラクターデザイナー。
【主な参加作品】
『呪術廻戦』(総作画監督)、『輪るピングドラム』(キャラクターデザイン、総作画監督)、『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(2023年版)(キャラクターデザイン)など
◆NaSka氏 プロフィール◆
衣装デザイナー・ぬいぐるみ作家
【主な参加作品】
『わんだふるぷりきゅあ!』(衣装・プロップデザイン)、『輪るピングドラム』(ペンギン帽/ペンギンぬいぐるみ製作)、『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(2023年版)(衣装監修)など


ワークショップは1時間半で実施されルールとテーマはいたってシンプルなものだった。ルールは「時間内で用意された1枚の紙に筆記用具を使ってキャラデザインすること」、テーマは「新潟県の名産をモチーフにすること」。

スタートの掛け声とともに、参加者達は用意されたキャラクター三面図(正面・横・うしろの3方向)に思い思いの絵を描いていった。先生達はその姿を温かい目で見守る。

2.活発に行われた質疑応答

開始しばらくして、なかなかイメージ化できない参加者にヒントを出すため先生達がホワイトボードに参考例を示す。
西位先生は新潟のお酒をイメージしたキャラを描き、NaSka先生は昨日食べた新潟産イチゴをイメージしたキャラを描く。
当然ながらプロが描く絵はとても早く、線に迷いがない。

講師両名が描いた参考例

先生達はただ見守るだけでなく順番に声をかけ様子をうかがう。先生の声掛けをきっかけに参加者達は徐々に質問を挙げていく。
「フリルってどう描けばいい?」、「髪型ってどう描けばいいの?」、「カッコイイキャラを描く方法は?」など色々な発言から、いくつか似た質問についてホワイトボードを活用して説明する。

まず、NaSka先生がフリルの描き方説明をはじめる。「フリルは四角形の布が放射状に形を変えていく、元々の布が縮む感じ。」と原理を伝えたり、「上手なイラストレーターから平仮名の「ん」を並べるとそれらしく見えると教えられた。」と分かりやすい事例も交える。
小さな声ながら会場全体から「おぉ」っという感心の声が上がる。

「フリルってどう描けばいいの?」の質問にNaSka先生がフリルを描き実演説明

続いて西位先生がカッコイイキャラの描き方を説明する。「カッコイイは色々なタイプがあってカワイイより難しい、棒立ちではあまりカッコよさは出ない。切り取った動きの一部でカッコよく映る。」と話し、胸を反る、半身で構えるなどのパターンを描き違いを示す。
この例示に「なるほど!」と何人も頷く。

「カッコイイキャラの描き方は?」の質問に西位先生がカッコイイポーズを描き実演説明

質問はイラスト技術に関することだけではない。同伴した保護者が現役プロである先生にイラスト好きなわが子についての質問を投げかける。
「子どもはイラストの話をする際に「絵師」という言葉を使うけど、私には理解出来ていない。どういう意味なのか?」、「イラストが好きなら専門学校に通わせるべきか?」、「イラスト好きはどんな職業に就けるのか?」など。先生達は保護者目線に立ち、自分の経験を踏まえて優しくも真剣に1つ1つ質問に答えていた。

3.達成感と充実感。”スキ”を形にできる場所

参加者達が真剣に取り組んでいく中、あっという間に時間は過ぎる。西位先生が「はい終了です」と終わりの合図を告げ周囲を見渡すと参加者達みんなが完成している様子。
そして終わったと同時に、会場は「やったー」という声を出す人や笑顔でイラストを見つめる人など達成感と充実感に包まれた光景だった。

達成感だけでなく充実感が得られたことは「なぜだろう?」と筆者は不思議に思った。黙々と一人でイラストを描く日常と違い、ワークショップに参加することで仲間がいる喜びを知り、先生達に見守られアドバイスを貰えたことで自己肯定感を得たことが充実感に繋がったことではないかと考えた。
「なるほど」このワークショップでしか得られない感情や体験があったのだと気付かされる。

最後に西位先生が参加者達に向けての言葉を話す。
「今はインターネット、SNSが発達して周囲が気になる環境です。自分の”スキ”を大事にして下さい。自分の”スキ”に向き合うことが一番大事です。」

”スキ”を肯定する場があったこと、現役プロからも一番大事なことだと言ってくれることが印象的であった。
これからも”スキ”を形にし、大人になり”スキ”を仕事にしていく人が生まれる未来があるかもと期待を抱かせる体験だった。

4.最後に(NAFCA活動紹介)

ワークショップ後、今回のイベント企画協力をした「NAFCA」(正式名:一般社団法人 日本アニメフィルム文化連盟)代表理事・植田益朗氏が登場。NAFCAパンフレットを配布し、設立経緯と活動紹介を話した。

配布されたNAFCAパンフレット

「NAFCA」では日本アニメの明るい未来をつくるため様々な活動をしておりワークショップはその一環だと説明する。キャラクターデザインワークショップだけでなくキャラクターボイスワークショップ、クリエイティブセミナーなど様々なイベントを実施している。

今後も、全国展開を目指し学校・地方自治体などにイベント提案しており、
本記事を読んで気になった団体の方々は相談することをオススメする。西位先生曰く「誰かしらアニメーターや声優が行きます」とのこと。

詳しくはNAFCA公式HPの問い合わせフォームまで。


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