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FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 Group.G オランダ vs モンテネグロ マッチレビュー

やあみんな!フットボールライフ楽しんでいるかな?

今ごろ他の書き手の方々が意気揚々と第6節を書き終えていたとしても、アタクシはようやくグループG 第5節。みな我慢して付いてこられたし。

今回の記事は、第4節にトルコが引き分けたためオランダは予選グループ首位通過の可能性が見えてきた、という状況でのホームゲーム モンテネグロ戦だ。

オランダにとっては確実に勝ち点3を得たい試合となる。ファン・ハールはどのようなプランで試合に臨むか?という見方も考えられるが、ノルウェー戦でポジショナルプレー志向が強めだったことから、下位チーム相手にも同様のことを仕込んでくることは想像がつく。

サマリー

読み取れる狙い

(〇上手くいった △半々 ×上手くいかなかった -無し)

【オランダ】

ゲームメイク戦略(ポジショナルプレー志向):〇
ゲームメイク戦略(非ポジショナルプレー志向):ー
カウンター戦略:△ 

【モンテネグロ】

ゲームメイク戦略(ポジショナルプレー志向):-
ゲームメイク戦略(非ポジショナルプレー志向):△
カウンター戦略:×

上記の状況になった考えられる理由

キックオフ直後はモンテネグロのペースだった。攻撃では蹴っ飛ばし&スローインから押し込み定位置攻撃を見せ、守備ではノルウェーのようにコンパクトな[4-4-2]ブロックを敷き、オランダの嫌がる展開で15分ほど経過する。

しかしオランダは中盤攻略にデ・ヨングが参加し始めると以降は主導権を握る。モンテネグロには次の矢が用意されていなかった。両チームの戦術的な差は大きかった。

気になった選手とその理由

【オランダ】

デ・ヨング (MF バルセロナ)

基本的には2CBと共にビルドアップのタスクをこなすアンカーだが、チームが敵陣でのゲームメイクに詰まると攻撃に参加する。その際の立ち位置は相手を攪乱させるだけではなくオランダに主導権をもたらす。その流れを変える能力はまさに脅威だった。

【モンテネグロ】

サヴィッチ (DF アトレティコ・マドリード)

モンテネグロの全体的な守備力を思うと流石に質が違うCB。なのだがこの日のコンディションは良くなかったのか精彩を欠くプレーを見せた。そして負傷なのか前半のみの出場となった。

サヴィッチ不在でモンテネグロは後半に3失点をしてしまう。更に第6節はラトビア戦(H)で引き分けに終わり、W杯出場は望み薄となってしまう。

考察 (オランダ主観)

1.相手ビルドアップの妨害について

ここで注目している観点について、オランダはノルウェー戦と同じ振る舞いをベースにしていた。

プレッシングスイッチの開始位置は特に固定にしておらず、ボール非保持の際は[4-5-1]を敷き、セットしてからプレッシャーを仕掛ける。メンフィス・デパイの遮断は相手に縦ポンをさせるような振る舞いをする。ボール奪取を目的としたハイプレスの際に囲めないため、グループ守備として物足りない振る舞いに見える。

2.第2ライン防御について

モンテネグロはスローインからの縦攻撃とセカンドボール回収を利用して前進を図った。[4-3-3]となっているオランダの中盤が乱れ、スペースが空くとモンテネグロにチャンスを作られた。ワイナルドゥムのスローインから続く対応力はそれほど高くないのかもしれない。

また、中盤でのワンツーにも脆さを見せていた。

3.ブロック守備について

この日のモンテネグロは幾度かダイレクト志向な定位置攻撃を見せた。並行パスとワンツーでオランダ守備陣の裏を狙いフィニッシュまで運ぶ形を見せた。

第2ライン防御と同じく、オランダのグループ守備はボールウォッチャーになる傾向があり、ワンツーの可能性を踏まえていなかったため対応が遅れていた。自陣でのグループ守備が2人での形成に留まっており、今のままでは高いレベルでは脆さを見せるのではないだろうか。

SBのマラシアはムラがあった。ファン・ハールが覚醒させることが出来るかしばらく見てみよう。

4.ゲーゲンプレスの回避について

右サイドで相手の縦志向からのゲーゲンプレスを回避しきれない場面があった。ボックストゥボックス役に適任と思われるワイナルドゥムだがちょっと違うのか?

5.ビルドアップについて

ノルウェー戦と同様、ベースは2CB+アンカー(デ・ヨング)でのボール保持であり、インサイドハーフのどちらかがサポートに入る。
その間にサイドバックを押し上げたいのだが、モンテネグロの守備ブロックがコンパクトだったため、ウイングの低いポジショニングに影響しなかなか上がることができなかった。

モンテネグロの1stディフェンスはノルウェーと同様、守備的プレッシングの振る舞いだ。センターサークル付近に1stディフェンダーをセットし、オランダのボール進行を制限させようとしていてコレクティブだった。
また、逆サイドのサイドハーフはU字パスやダイアゴナルなロングフィードを想定し、中に絞らない位置取りをしていた。

試合後コメントでファン・ハールは序盤の展開について不満を述べていた。それだけモンテネグロの守備ブロックが良かったのだが、相手の裏を狙う攻撃で押し込みウイング位置を高くする展開があっても良かったかもしれない。
しかし時間が経つにつれ、低い位置からのビルドアップや、デ・ヨングが中央レーンでボールを運び相手を引き付ける動きなどを見せ、モンテネグロを攪乱させはじめた。その後は危ないミスもありなんが安定したビルドアップを続ける。

6.相手中盤の突破について

序盤からモンテネグロのブロックが固いため、オランダは綻びを探りながらゲームを進める。

・ビルドアップ隊の持ち運び
・インサイドハーフやサイド選手が中間ポジションで相手を固める位置移動
・メンフィス・デパイが受けに降りる形
などを組み合わせてサイドに展開していた。

そしてデ・ヨングが高い位置で絡むとやはりモンテネグロの動きは固まる。序盤を終える頃にはオランダが主導権を握っていた。サイドバックがボール保持に絡み、トライアングルを軸としたローテーションでモンテネグロのスペースを引き出し続けた。
そうなるとモンテネグロはオランダのサイドバックの押し上げに吸収され、ボランチとの間にスペースが生じるようになった。

7.フィニッシュワークについて

この日は逆足配置のウイングが効果的な活躍を見せた。ライン間でカットイン、並行クロスや裏抜けパスを仕掛ける機会が多かった。
その攻撃を起点にクラーセンやワイナルドゥムのゴールエリア侵入やミドルシュート。そしてメンフィス・デパイのキープ力やシュート力が活きて大量得点を生んだ。

ガクポは見事なミドルシュートで代表初ゴールを挙げる。更なる飛躍が楽しみだ。

8.トランジションについて

ポジショナルプレーによるボール保持に伴う即時奪取の設計はこのゲームでも素晴らしいものを見せた。この試合ではSB裏をカウンターで狙われるような展開もほぼ無かった。

オランダ側のカウンターは今回も特筆すべきものは無く、ボール保持の流れに行きついていた。

試合を総じてみると、モンテネグロがノルウェーと似たオランダ対策を行うものの、カウンターを持っていないことが致命的でねじ伏せられるという印象だった。
ボール回収後に陣地回復できず、オランダの猛攻を喰らうことに繋がっていた。また、後半は耐えきれずサイドがケアできない構造となることもあり、守備のバランスが乱れていた。

ファン・ハールのオランダはポジショナルプレー志向を高めつつ2試合を1勝1分けで終え、次はいよいよグループ首位のトルコと対峙する。いや勝つのだけど。その前に第5節の他のゲームをお届けするのでそちらもお楽しみに。

それではご一読ありがとうございました。TanaLifeでした。あなたの心(ハート)に平戸に祈る🙏

試合結果

2021.09.05
FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 Group.G 
第5/10節 オランダ 4-0 モンテネグロ

【得点者】
オランダ:38'(P) 62' メンフィス・デパイ
70' ワイナルドゥム 76' ガクポ

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