「雑感 J1リーグ」~第33節~ 2023.11.24-11.26

タイトルがパクリの掛け合わせですみません。ざっくりJ1のお勉強します。見た試合は随時追記します。


川崎F【9位】vs 鹿島【6位】

Attack Momentum by Sofascore

鹿島の観察に成功した川崎

立ち上がりに主導権を握っていたのはアントラーズか。フリーマン鈴木優磨の振る舞いをフロンターレが様子見する時間帯とも言えたのではないか。ライン間や中盤に降りてボールを受ける鈴木。そしてその後の展開を受け止める川崎の構図に見えた。フロンターレのブロック守備は4-4-2または4-5-1で構えていた。レアンドロ ダミアン+逆サイドのアタッカーの居座りは効果は薄かったが、アントラーズ守備陣は無視することはできない。見えない駆け引きも試合展開を変える一助になっていたのではないだろうか。

フロンターレは序盤のボール保持ではわりと縦パスを入れるのだなという印象を持った。アントラーズが前プレを仕掛けてきたときのプレス回避と陣地回復にまずはリスクをかけない。セカンドボールを拾えるか、そこから早く縦に刺せるか。鹿島がミドル位置でセットしたときにどこで喰いつくか、絞り具合とサイドチェンジは有効か。などの確認に近い振る舞いをしていたと思える。

一方、アントラーズのビルドアップはヤバい。センターバックがボール保持で水準に達していない…のだけど、ビルドアップの出口にいる佐野海舟が強引に前に運ぶのがエグい。一度突破された川崎が立て直すのに時間を要し、鹿島にはセンターバックのスキル不足が目立たなくなったり、18分頃からディエゴ ピトゥカがゲームを作れるようになっていた。そしてサイドへの展開から安西幸輝の仕掛けとクロスに対する攻防とその後のコーナーキック連打で川崎ゴールを襲う。結果的には川崎がここを守り切れたのが勝負のポイントとなった。

前半の中頃からのフロンターレのボール保持での4-4-2攻略は見事だった。とりわけ4人ユニット+1でのビルドアップが巧みで、必然的に菱形の構造が生まれ、その空間で鹿島のプレッシングにハマることは無い。ボール前進では相手のセンターハーフの前や脇でボールを受けることをベースにしつつ、キャンセル、サイドチェンジと2v2コンビネーション、レイオフと速攻、ポケット狙いなどバリエーションがありキープの水準がやはり高い。

4-4-2ブロックを絞って守るのが得意そうなアントラーズではあるが、撤退守備から攻撃への切り替えが困難で跳ね返した後も川崎に即時奪回されてしまう。鹿島の失点は時間の問題だった。30分に勇気を持ったアンカー狙いのハイプレスを試みるも、異次元レベルの足裏トラップ+ターンで剥がして絶望を与える瀬古樹がいた。川崎は上述したアタックを繰り返すことで、結果的に逆サイドのセンターバックからのボール前進が有効となった。34分のフロンターレの先制点は見事だった。山村和也の前進で迷う鹿島守備陣。大外起点から絶妙なポケット爆撃のパスを繰り出す登里享平。マルシーニョからのマイナスクロスを叩き込むレアンドロ ダミアンの動きだしは普通じゃない。守る側の一瞬の迷いが致命的な結果を生んでしまう恐ろしさはJ2の比ではない。

失点後のアントラーズの振る舞いに注目してみると、戦術ベースは変えずに強度面のギアを上げてくるようだ。非保持では個々のプレッシングの距離や強さが増し、保持ではサイドバックの追い越しからのクロス攻撃が目立つ。ビルドアップの改善は見られない。恒久的な課題だろう。鹿島は最後まで川崎に対して脅威を与えられなかった。1点目と同じような川崎のパターンに対しての修正もしきれていない様子だった。2,3失点目に関しては疲弊やメンタル消耗の度合いが大きそうだ。チームビルディングで足りていない何かがピッチに答えとして出ている気がしてならない。

所感

どうして川崎が9位に停滞していて鹿島が6位にいれるんだ?とまずは思った。フロンターレは試合序盤に相手を観察しきれたら、その後に無双する実力は健在。それができず立ち上がりに失点するケースが多かったシーズンなのか?とにかくこのチームに4-4-2で守るなら相当の勇気と覚悟が必要になる。

一方、アントラーズは最初から鈴木優磨を使い過ぎて、通用しなくなったら詰んでいた。我が軍のような先行逃げ切りの勝ち上がり方が得意なのだろう。とにかく鈴木優磨が脅威だ。ボール保持にも頼りながらでないと封殺は難しそう。

試合結果

明治安田生命J1リーグ 第33節
2023年11月24日(金)19:03KO 等々力陸上競技場
川崎フロンターレ 3-0 鹿島アントラーズ
34'レアンドロ ダミアン
63'レアンドロ ダミアン
84'脇坂 泰斗 (PK)


横浜FM【2位】vs 新潟【10位】

Attack Momentum by Sofascore

オープンバトルの応戦に驚く

「速い」イメージがある両者の対決。立ち上がり、アルビレックスのファーストディフェンスは外誘導からのマンマーク奪取の意図が見える。マリノスも似たプレスの仕方に見えたが、新潟がプレッシングにいく際は、ボールホルダーを自由にさせないようにボディコンタクトを伴う接近を振る舞う。マリノスが何度かファウルをもらいセットプレーを仕掛ける展開でゲームが進んだ。

新潟はボール保持ではポゼッションとロングボールを使い分けていた。マリノスの前プレに対して追い込まれる前に鈴木孝司に当てる。そこからのサポートでサイドに展開してから速攻を行うのが上手い印象を受けた。ただし地上戦も水準は高い。背負える小見洋太、爆速の太田修介、追い越す動きを見せる高宇洋を活かす鈴木と高木善朗のサポート。シーズン終盤なのもあり練度は非常に高い。

高水準の振る舞いを見せる新潟だったが良い時間は続かない。体力リソースの関係でファーストディフェンスが外誘導を行わないとマリノスが攻勢に出る。ビルドアップユニットからヤン マテウスやエウベルへのロングボールでチャンスを作り出せるのが実に強引かつ脅威的だった。定位置攻撃ではマテウスがエウベル側まで寄りコンビネーションを試みる振る舞いが面白かった。

ただ、マリノスはビルドアップとアタックのユニットが攻守問わず分断することがある。その結果、互いにオープンな殴り合いになったり、4-2ブロック守備でアルビレックスの攻撃を受け止めたりする傾向もあったりと、不安な一面を覗かせていた。順位表を見ると得点がリーグ最多で失点が試合平均1点を超えているのは納得するものがある。後半もボール保持の狭間でこの特性が表れ、互いに決定機を決めることができずスコアレスドローで終結した。

所感

小島亨介がエグい。アルビレックスは良いチームだった。組織力も実力のある選手も揃っているのにボトムハーフとかJ1やべえ。ファウルでセットプレーを与えることが多いのは気になるところ。

マリノスと戦うとオープンバトルになりがちなのだろうか?前線4枚が外国籍選手だしJ1らしく前残りもしているけど、ファーストディフェンスは仕掛けている。連動する形でバックラインもかなり高い。中盤とサイドバックの球際に課題があるのかもしれない。次節はもう少し注目する。怪我人が戻ったら解決するのかは分からない。

試合結果

明治安田生命J1リーグ 第33節
2023年11月24日(金)19:03KO 日産スタジアム
横浜F・マリノス 0-0 アルビレックス新潟


浦和 【3位】vs 福岡 【8位】

Attack Momentum by Sofascore

センターハーフの隙が致命的な結果に繋がる

ルヴァン決勝と同じカード。あの試合は見ていない。立ち上がりから強度を見せつけるアビスパ。レッズはボール保持でゴールキーパーへのキャンセルを利用してプレス回避を試みていた。

レッズのボール保持は、前進や定位置攻撃においての主なグループアタックが2人グループとなっている気がする。良い意味では2v2でコンビネーション。特に中島翔哉が現れてはもう1名とワンツーの形を作る振る舞いは良かった。突破するのも受けてはたくのも上手い。PKを得た明本考浩の突破もワンツーからだった。ただ、悪い意味では3人目の動きが物足りない。2人目と被るような動き出しもあって、決定機を逃す場面も少なくなかった。

アビスパのボール非保持はボールホルダー付近の守備では3人グループを形成する意図があるように見えた。いや厳密には浦和のスモールグループに対してのマンマークによるチャレンジとカバーでもう1人という関係性なのかもしれない。PKを与える守備エラーもあったが、基本的には強度とハードワークでレッズの攻撃を摘み取っていた。

32分、この試合でのレッズの懸念点が表出して同点となる。浦和ゴールキックの跳ね返り処理を柴戸海が誤り、ショートカウンターの形で紺野和也がフィニッシュを決めた。セカンドボール回収の判断とセンターハーフの強度面。アビスパは原則レベルの勝負でレッズを上回っていた。

さらにボール非保持で中に絞って守るレッズの対応は、逆サイドも大外に張るアビスパの振る舞いと相性が悪かった。58分、浦和の守備ラインを通り越す縦パスを連打する福岡のアタックに対して、アレクサンダー ショルツのクリアボールは福岡に拾われてショートカウンター。左サイドで金森健志がカットインからクロスを仕掛け、後半から出場していた小田逸稀が右サイドから駆け上がりボレーシュートを決めてアビスパが逆転する。

決着は62分。レッズの4-2ビルドアップに対して何度も見せていたアビスパの3人グループでのプレッシング。浦和のセンターハーフ2枚を見ながら奪いに行ける前寛之は流石だった。紺野が流し込んで3点目を決めた。

その後はアレックス シャルクとブライアン リンセンを投入しインサイドと縦のアタックを強化した浦和の総攻撃に1点返されるものの、アビスパが逃げ切って勝利した。

所感

お互いの特長が分かる良いゲームだと思う。高強度かつバランスが整っている長谷部茂利監督のチームビルディングは流石だった。

レッズはおそらくACLの関係でセンターハーフがローテしてたのだろう(追記:負傷と累積の模様)。J1水準に達していない2人を並べると致命的な結果が生まれるのが分かった。来シーズンの我が軍が二の舞とならないことを願うばかり。

それは置いておいて、ワンツーなどの2v2からチャンスメイクしようとするレッズに興味が湧いた。3人目の動きがフィットするともっと面白くなると思った。しかしそこまでの練度に達していなくて、フィニッシュに繋がらない現象となっているのではなかろうか。また、ホセ カンテが上下左右に動いた場合に代わりにフィニッシャータスクを担う選手がいなくて得点が少ないと推測した。もっと良くなりそうなのにマチェイ スコルジャ監督が退任してしまいスタイル継続できないのが残念でならない。

試合結果

明治安田生命J1リーグ 第33節
2023年11月25日(土)14:04KO 埼玉スタジアム2002
浦和レッズ 2-3 アビスパ福岡
18'アレクサンダー ショルツ
32'紺野 和也
54'小田 逸稀
62'紺野 和也
75'アレックス シャルク

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