チャンピオンズリーグ22-23 ナポリ 考察

大事なものは 勇気 誠実さ 家族

(更新:2022/10/16)
ワールドカップの影響でCLの試合日程も早まっていて一気に見ることができるので気になるチームを整理する。基本的にはトーナメントに進出しそうなチームを追ってみる。まずはナポリ。

サマリー

基本フォーメーションは4-3-3。また4-2-3-1を使い分ける。

[UEFA.COM]
MD1 MD2 MD3 MD4 MD5 MD6
[Sofascore]
MD1 MD2 MD3 MD4 MD5 MD6

考察

1.相手ビルドアップの妨害について

ベースはブロック形成を優先させるようだ。4-5-1を形成してからプレッシングを開始する。相手に詰めるのは牽制目的だ。逆サイドに揺さぶられないよう前方・手前サイドにパスを誘導させている。

戦略として序盤またはスコアを追う展開で強度増しのプレッシングを振る舞う。

ハイプレスもマンマーク気味になるが牽制目的は同様だ。インサイドハーフが第1プレッシャーラインに加わる4-4-2でのパターンもあるがプレッシング目的は変わらない。

ゴールキックからのビルドアップなどに対して仕掛ける超攻撃プレッシングも、マーク交換しながらのマンツーではあるものの、奪取でなく相手に不正確なプレーをさせることが目的と思われる。

3節のアヤックス戦ではスコアを先に動かされるもののプレッシングでロングボールを出させてセカンドボールを回収し得意のアタックに繋げ大勝している。

2.第2ライン防御について

サイドに誘導した相手との狭いフィールドでマンマーク勝負。こぼれ球をセンターバックが回収し攻撃に転じたい守り方を見せる。

逆サイドのウイングは相手のサイドチェンジに対するカバーまたはカウンターポジションを取る傾向がある。なので実質的には相手の逆サイドを無効化させつつコンパクトネスな4-4ブロックを敷いていると言えるかもしれない。

ただし中盤の守備能力は高いとは言えない。基本的には狭いフィールドに相手を封じ込めるが、前プレでボールに行って数的不利になったり、相手の効き足を意識しない立ち位置も見られ突破される懸念も残している。しかしDF陣のカバー能力は高い。

他にはプレッシングからの流れでボール非保持の時間が多いチームではあるが、攻守にフレキシブルさがあるため体力ゲージの減りは早いように見える。

3.ブロック守備について

ペナルティエリアの直前あたりで4-5ブロックを形成する。強力な相手ウイングがいると5-4となる場合も見られる。

興味深い特徴として、相手の中盤のボール保持の高さ次第ではアンカー以外のMFがラインを上げて4-1-4ブロックとなることがある。なので押し込まれた状況でMFラインの手前でボールを回されると、結果的に後ろ向きで守る状況が起こる。

さらにアンカーのカバーはあまりDFラインに入らない構造のため、上記との組み合わせでMF-DF間の間延びやハーフスペースが空く欠点構造を持つ。

ただ安直なシュートに対しては残念そこはメレットとなる。かっこいい。

4.ゲーゲンプレスの回避について

カットに合わせて横や前のターゲットを探していて素早く縦に供給することが多く、相手に即時奪取の機会を与えないことが多い。

5.ビルドアップについて

2-1ビルドアップが基本。片方のサイドバックがサポートに入ることもある。GK参加は一応ある。出口役のインサイドハーフとサイドバックは相手の第2ラインの目の前で受ける形を持っている。

アンカーのロボツカに対してマンマークをする相手にはセンターバックがボールを前へ運びマークを外させる振る舞いを見せる。

2-1に対してマンマークする相手にはインサイドハーフ(主にアンギサ)がボランチ位置に降りて2-2の形で数的同数を回避する。

それでも強度を増してプレッシングを仕掛ける相手に対しては不正確なプレーを晒してしまう傾向も見られたが、キーパーに蹴らせて結果的に捻じ伏せている。

ゴールキックではビルドアップをキャンセルしてロングボールと見せかけてサイドバックに渡すパターンがあった。

6.相手中盤の突破について

ナポリの最大の特徴は数的同数(+フリーマン)で相手を崩す振る舞いにある。ワンツーを軸とした縦突破がえぐい。そのままフィニッシュワークまで連動する振る舞いも多く、チームの狙いが詰まっている。

マークを外し相手の第2ラインを引き付けた出口役と平行ダイレからトップ当て。またはアンカーに落としてボールを運びライン突破し相手を攪乱させる。トップのポストワーク。など、ハイラインの相手を後ろ向きにさせる縦のアタックは魅力だ。縦を刺す起点となるロボツカの動きが秀逸。

チーム全体でマークを外す動きと平行サポートの意識が高い。そしてワンの出し手が相手のずらし方を分かっててやっているので中盤から相手組織を破壊できている。

7.フィニッシュワークについて

ベクトルが後ろとなっている相手に対しウイング+サイドバックで大外アタックを仕掛ける。縦突破によるチャンスメイクとカットイン+コンビネーションが高いレベルにある。表記ブレがすごそうなクヴァラツヘリアの突破は無理が効きナポリの攻撃チャンスを増やしている。

前述にもあるが、特にワンツーでのライン・ブロック破壊は目を見張るものがある。相手を外から内へ連れてマークチェンジさせないようにしてからのパス交換による縦突破は強力だ。アタックを始める前に味方がスペースを作る動きも秀逸で、バス停め戦術をする相手にも強さを見せそうである。

8.トランジションについて

高い位置でのロストはそのままゲーゲンプレスに移行する。逆サイドのサイドバックは予防マーキングでボランチ位置に移動する傾向があり、相手に速攻の時間を与えない。

中盤からの縦パスロストはロングキックを誘発させセカンド回収を狙う。その際4-3ブロックを維持するための予防マーキングは整理されている。

自陣ポジトラではトップ当て→平行パス→速攻は仕込まれている。

9.セットプレーについて

キックオフは2-8→4-3-3となり大外ダイレで試合が始まる。

コーナーキックはボール周辺はショートでクヴァラツヘリアの突破力を活かすため2枚。エリア内5枚、うちファーに2+1枚置きつつ中央にパスを送るのが基本か。サイドバックのディ・ロレンツォはアタッカーとして優秀。後方は3枚。

コーナーキック守備は全員戻る。ペナルティエリア内はゾーン。相手キッカーが2枚いても1枚+ストーンで対応する。

相手陣内の被スローイン守備はマンマーク。センバ1枚のみ余る構造。スコアを追うとき限定かもしれない。

おわりに

ナポリ面白い。フットボールで最も破壊力のある攻撃はカウンター。そこはクヴァラツヘリアという新たな武器が猛威を振るいそう。

さらにボール保持でカウンターに近いアタックを実現させるため、中盤やゴール前で相手を剥がしながら縦に攻めて背後を狙う。そのための逆算として平行サポートやワンツーをベースとしていてかなり好みである。突破できるワンツーのお手本と思うので、コンビネーションが上手く決まらないチームを応援する人は参考にしてほしい。

この中盤で剥がして速攻に繋げるプレーモデルはどのような系譜のなかで出現しているのか分からないので知りたい。サッリとかデ・ゼルビですか?

ただ守備に欠点がありそうで、トップクラスの相手にワンツーアタックを封じられたら何もできなくなるイメージもある。

という感じでどこまでやれるのかトーナメントも楽しみにしています。今後も何かあればこちらを更新します。それでは。

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