若手技術者の「電気」学習には、電験3種より技術士1次試験をお勧めしたい

始めに

 私は現在社会人6年目で、社会人になってから立て続けにタイトルの2資格を取得しています。その経験からか、たまに「電気について学習したい」という方に電験三種受験の相談を受けることがあります。
私は、本当に”学習”が目的であれば、(二次試験を受ける予定がなくとも)技術士一次(電気電子部門,以下部門は省略)をお勧めしています。

電験三種と技術士一次

 受験人数が多いのは圧倒的に電験三種です。令和3年度に37,765が受験しました。
出展:https://www.shiken.or.jp/situation/s-chief03.html

一方で技術士一次試験は令和三年度の受験数が1,548人でした。独立した資格と資格の中の一部門なので単純比較はできませんが、優に20倍を超えています。ちなみに技術士一次全体でも16,977人なので、それでもダブルスコアを付けられています。
出展:https://www.engineer.or.jp/c_topics/001/001012.html

恐らく、業務独占資格か名称独占資格かで人気度合いが異なるのでしょう。
電験は近年新エネルギー移行気運の高まりから需要が高まっているとも聞いています。

以下に、私の考える両者の特徴を示します。
■電験三種の特徴
l  業務独占資格である
l  内容が強電寄り
l  受験費用が安い(7,700円)
l  科目合格がある

■技術士1次(電気電子分野)の特徴
l  名称独占資格である(しかも名称表示には制限あり)
l  内容が弱電寄り(情報分野を含む)
l  受験費用が高い(11,000円)
l  科目合格がない

それでも技術士一次をお勧めする理由

こう書くと電験を推したくなりますが、私が技術士補を推す理由は2点あります。
※繰り返しになりますが、あくまで”学習目的”であるならば、です。
1. 科目試験で扱う内容が普遍的であること
2. 適性試験で技術者倫理に関する問があること

1.について、電験三種は強電分野が厚めとなっています。そのため、クリティカルな対象は高圧を扱う電力業界や電気設備(工事)業界となります。一方、技術士一次は弱電分野(情報含む)が厚めになっているため、主に低圧を扱う電気電子機器メーカーやシステム業界の一部が対象になります。自分のやりたい事に具体的なイメージをお持ちであればより有用な方を優先すればよいのですが、どちらが汎用的かというと、恐らく後者なのではないでしょうか。
2.について、これを私は重視しているのですが、技術士号は単純な能力だけではなく倫理や心のあり様を問う資格になっています(気候変動などの社会的課題に関する知識も含みます)。
 若手でも自分の意見を求められる場、言うべき場が存在します。このとき刺さる意見を述べられるかどうかには、”何を知っているか”と、”何故を知っているか”が重要です。5年ほど若手技術者として働いている経験から、そのバックボーンとなりうるのが技術士一次の適正科目範囲だと考えます。

終わりに

 電験三種と技術士一次は両者とも非常に有用な資格です。ぜひ両者取得を目指していただきたいと思いますが、二兎を追う者は一兎をも得ず。まずは、技術士一次を学んでみるのはいかがでしょうか。
そして、私と一緒に技術士二次合格を目指しましょう!
手書き論文に一緒に苦しむ仲間を熱烈募集中です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?