少林寺拳法と僕(前編)
別に隠している話ではないが、僕は少林寺拳法弐段である。
小さいころよりしていたのではない。
高校時代に部活動ではじめたのである。
絶望の高校生活スタート
高校入学、多くの人がこれからの毎日に心を躍らせる中、僕はそうではなかった。
男女共学で、彼女と登校。
そんな甘いことを考えていた高校生活は、男子校という思春期男子を絶望に叩き落すには十分なルートに僕はいた。
そうなった原因は当然勉強しなかった僕にある。
周りを見て男しかいない。
それまで神戸の比較的「ええところの子」しかいない場所で温室育ちだった僕にとって、ガラのよろしくなさそうな同級生もいる異次元を感じた。
ブリーフ事件
その差を感じたのが「ブリーフ事件」だった。
今の高校生には考えられないだろうが、高校入学当時僕は白ブリーフをまだはいていた。
世の中にはパンツといえば「白ブリーフしかない」と何の疑いも持ってなかった。
しかし、その現実は身体測定という、イベントで一瞬で崩れ去る。
「みんなが履いているのは、なんや?」
高校1年生の身体測定で、僕はある「物の名前」を覚えた。
その日の帰宅後、僕はオカンにその物をねだった。
「オカン!すぐ『トランクス』買ってきて!!
僕は、少し大人になった気がした。
しかし、高校は好きになれなかった。
やる気がない
当然、そんなことだからやる気がない。
やる気もないけど、やめるほど度胸もない。
結局は学校にいくけど、勉強はしない。
当然、ついていけなくなる。
そのうち僕は、400人弱いた同学年の中で、下から数えて20位以内くらいの成績になっていた。
先生が何言ってるか分からん。
何が分からんか分からん。
そんなレベルになっていた。
部活動紹介で見た演武
そんな生活のなか、どこの高校でもあるが部活動紹介の日があった。
いろんな部活が各部の特色や活動を報告し、1年生である僕たちに「ぜひ〇〇部に入部してください!」というやつだ。
僕のいった高校は当時スポーツで進学する子もいた学校なので、クラスには入学と同時、いやその前くらいから部活に取り組んでいる子も多くいた。
僕は、高校に入るとバンドをするつもりしかなかったので、まったく興味がない状態で部活紹介を見ていた。
そんな中、少林寺拳法部の部活紹介がはじまった。
カンフー映画やん!!
少林寺拳法部がしたのは、演武というものだ。
通常「演武」ではなく「演(舞)」と書くが、少林寺拳法は「武道」であるから「演武」という。
二人一組で、決められた型をする。
しかし、うまい人がやると「決められたもののはずが、本当に戦うような迫力と気迫」がある。
実は、僕が入った高校の少林寺拳法部は、インターハイ常連の少林寺拳法部だった。
当然、その部活紹介に出てくる先輩は「インターハイ上位入賞」レベル。
「うわ!カンフー映画やん!」
決められた型をしているとは当然知らない僕は、一気に引き込まれた。
そして、その瞬間運命的なものを感じてしまった。
僕は、少林寺拳法がやりたい!
高校でやさぐれ、やる気をなくしていた毎日の中で、初めて見つけた「ここでやりたいこと」
僕はすぐに体験入部することにしたのだが、ここでまさかの人物から少林寺拳法をすることについて「反対」されたのだ。
→中編につづく
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