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身近な旅、本と

えごのきと人をめぐる絵巻を2019年の夏に町田で共同で作り終えて、少し肌寒くなった秋のこと、頭の中に浮かんで離れないイメージがあった。

木が人に出会うずっと昔、どんな生き物と木は関わっていたのだろう?

今から約4億年前の古生代デボン紀。シダなどの植物が繁殖し、成長して高くなり、初めて森が形成されたと言われる。時を同じくして、この時代に現れ、現在までほとんど形が変わっていない生物に、イシノミがいることを知った。

この生物を見つけることで、その時代の木や森の時(とき)に触れられるのではないかと思い、身近な森を歩き、樹皮の中や岩陰を何度も覗き込んだ。実際に見つけたイシノミは2匹で、その他の興味深い生物や景色にたくさん遭遇した。その場でノートにスケッチし、アトリエで木版画にした。

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100点ほどできたところで、ハンドブック型の本を実験的に作った。出版はイシノミブックスという名前をつけた。この本は移動することがテーマになっていて、一緒に持ち歩くことを前提としている。身近な旅を扱ったシリーズを、今年はあと3冊作ってみたい。


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