総務FMの仕事を俯瞰し、業務の定義や必要なスキルが分かる『総務ジョブディクショナリー』について
はじめに
『総務ジョブディクショナリー』の作成を少しお手伝いさせていただいたご縁のもと、このnoteを書いています。有意義な取り組みだと思いますので、告知的な内容であることをご容赦ください。なお、このnoteがきっかけで申し込みされた場合でも、僕にお金が流れる仕組みはありません。
総務ジョブディクショナリーってなに?
仕事の範囲が広く、「なんでも屋」と形容されがちな総務。担当領域の広さや実務の分かりづらさから、客観的には専門職として認知がされにくいのが実情です。仕事に取り組む当事者的には、会社全体の枠組みとして業務の重要性や位置付けを掴みにくいといった課題もあります。
上記のような現実は、総務FM業界としての魅力が伝わりづらく人が集まらない、個人として仕事のモチベーションを上げづらいといった状況につながります。これは、もったいないことだなと僕は思います。
根本的な原因のひとつである「総務FMの仕事の全体感を掴むのが難しく、数ある業務の具体的な定義や必要なスキルが分かりづらい」という状況。これを解決するきっかけになってくれるのが『総務ジョブディクショナリー』と呼ばれるエクセル形式のデータです。
『総務ジョブディクショナリー』は、大企業の総務を経て経営まで携わった理事メンバーを中心に構成する総務プロの集団であるFOSCからリリースされました。以下のリンクから確認することができます。
ざっくりどんな内容なの?
以下の内容がパッケージされたエクセルデータです。無料で入手できるものと、有料のものがあるので、そちらの情報も併記しています。
① 総務業務ージョブ標準MAP(無料)
経営機能や社員向けサービス機能といった大きなカテゴリをベースに、総務業務の全体感が分かる図。会社の経営層や株主、自社の社員といった関係者と総務業務のつながりをイメージすることができます。
② 総務ジョブディクショナリー(ここから有料)
ジョブ標準MAPからさらに細分化された各業務について、業務の定義や具体的な実務内容が一覧化された表。組織ベースでは、自社総務の担当領域の確認や目標づくりの精度を上げることができます。個人ベースでは、総務の仕事の解像度が上がり、興味のある業務に出会えたり専門性を深めたい業務を考えることにつながります。
③ Human Skill(有料)
総務業務に適しているスキルやスタンスが、「初級者 〜 一人前 〜 業界でもトップクラス」といったレベル軸とあわせて一覧化された表。組織としては、チームメンバーのアサインや総務人材の採用の参考になります。個人としては、具体的な実務面ではなく自分の特性や価値観をもとに、伸ばしたいスキルを考えたり現時点での立ち位置を確認することができます。
④ JD例(有料)
ジョブディスクリプション例。日本における求人票の枠に収まらず、海外では一般的な「募集しているポジションが行う具体的な業務、それに求められる職能が具体的に言語化される」形式で、採用や人事評価の軸になるもの。組織としては、文字どおり採用や人事評価の実務に活かせます。個人としては、現在の実務や将来いきたいポジションを想定して作成することで、自身の現状や未来のキャリアを棚卸しすることができます。
この例では、①〜③の資料をふまえて、「主に業務支援サービスを担当する人材を採用したい、そのポジションの理想像のひとつを言語化してみるとこうなるよね」というものを示しています。
おわりに
歩くときは地図があると結構助かる。ということが多くの場面であると思います。地図は世界の広さと現在地が分かるからです。
例えば何かを勉強するときは、学びたい学問の分類や系譜、現時点での自分の知識量が分かっていると勉強を進めやすくなります。一冊の本をさらに深く読みたいときは、本が書かれた時代や社会を知り、今この本に惹かれた自分について考察すると、予想もできなかった世界が見えることがあります。
『総務ジョブディクショナリー』もまた、総務の世界で歩みやすくなったり予期せぬ場所にたどり着いたりと、助け船になれば良いなと思います。これが、誰かの幸せな仕事につながりますように!