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台湾ひとり研究室:本屋編「新刊告知祭り:スタッフからのコメント編6」

台湾では清明節の4連休が明け、書籍『「神農生活」のある暮らし』の発売までいよいよあと3日となりました。大阪店のオープンは翌9日。各方面へのリリースも進んでいるようです。

さて、今日ご紹介するのは、本書の担当カメラマン、簡子鑫さんからのコメントです。まずはこちら。

——どんな人に読んでほしいですか。
ものにも命と温もりがあり、ずっとずっと付き合うものだと考える、そんな暮らしに対する感性をもつ方に読んでいただきたいです。

——特に注目してほしいポイントや個人的なおすすめを教えてください。
おすすめしたいのは「馬告」です。台湾先住民が使っていた特有の香料で、レモンとショウガの爽やかな香りがします。私自身、スープや野菜の煮込みによく使うスパイスのひとつです。

子鑫に初めて会ったのは、本書で8カ所伺った産地取材の初回でした。神農生活の写真のほとんどは彼が撮影しているとあって、スタッフとのコミュニケーションはすでにしっかり確立されていました。

取材先は、新竹でつくられている雑貨を手づくりする作業場でした。客家語、日本語、中国語の混じった取材はなかなかの緊張感。何しろ初めて組むスタッフとの最初の取材は何かと手探りです。とはいえ、その取材が以降の産地取材の原稿のベースになることもあって、気が抜けませんでした。

取材を終えた数日後、子鑫の撮影した写真がクラウドでシェアされ、モニターを通して見せていただきました。

心を揺り動かす写真が並んでいました。見開きで大きく見せたいと強く思う写真がありました。誌面をどう構成するかがバババッと脳裏に浮かぶ、そんな写真たちでした。(ああ、この本はきっと素敵な1冊になる!)と緊張感がほぐれました。

神農生活のポスターやニュースなど、そのデザイン力の高さは広く知られているところです。今回の取材には、神農生活のデザイン担当のスタッフさんたちが同行していました。取材を重ねるうちに、写真の指示を任せておいても大丈夫だ、とも思い、ほとんど口出しをしませんでした。

ちなみに、わたし自身は取材しながら、どうしても押さえておいてほしいカットがあれば伝えるものの、あとはカメラマンへの指示はほとんど出しません。カメラマンにはカメラマンのプロとしての目線があり、それを発揮するのが仕事だと考えるからです。まあ、自分の取材で必死、ともいえるのですが。

原稿には原稿の、写真には写真の、それにしかできない仕事があります。本書の中では、どうしても皆さんに見ていただきたい!と考える写真たちをできるだけたくさん盛り込むようにしました。原稿で多くを語らずとも、写真が語る物語がある。それを大事にしたい、と考えたからです。

さて、今日の冒頭の写真は、その新竹の取材で生産者の方が乗っていた作業用の改造バイクです。エンジンをかけるのは大変そうでしたが、使い込まれたものにしか出せない色合いが、なんとも素敵な1台でした。本書の中にもしっかり登場しますので、ぜひ探してみてください。

勝手口から見た台湾の姿を、さまざまにお届けすべく活動しています。2023〜24年にかけては日本で刊行予定の翻訳作業が中心ですが、24年には同書の関連イベントを開催したいと考えています。応援団、サポーターとしてご協力いただけたらうれしいです。2023.8.15