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台湾ひとり研究室:台所編「義母ごはんレシピ:紅燒肉(豚バラ肉の紅麹揚げ)」

今回ご紹介するのは、「紅燒肉」と呼ばれる紅麹を使った豚バラ肉の塊りを使ったから揚げだ。台北の下町・迪化街に立ち並ぶ小吃店にも、このメニューを掲げているお店は少なくない。豚肉を使った揚げ物だから、言ってみれば台湾式のトンカツ。

だが、紅燒肉とトンカツには大きな違いがある。

まずは紅麹だ。麹といえば、日本で塩麹が爆発的な人気を得たあと、この何年かで台湾にも波及してきた。白くトロリとタレ状になった塩麹は使い勝手よく、何より手軽。とはいえ、台湾で用いられる麹の主流は紅麹のよう。今回取り上げるのは肉だけれど、同じようにこの紅麹を使って揚げる魚料理に「紅燒魚」もある。

紅麴はこんな感じ。

この紅麹を好んで調理に使う地域が、中国大陸のすぐ向かいにある台湾の離島・馬祖島だ。2013年に片倉佳史さんが案内するという超贅沢なツアーで訪ねた際、紅麹が用いられる汁物やチャーハンをいただいた。下の写真はそのツアーで撮影した料理。まぶしいくらいの赤い色に、ちょっと狼狽えるほどだったが、口に運ぶと存外に軽い味。色と味を合致させるには、それなりの間合いが必要だなと思った。

ピンボケですが、紅麹を使ったチャーハンです。
こっちは紅麹で赤くなった鍋。味は普通に美味。

もう一つの紅燒肉とトンカツの違いは衣だ。トンカツの場合は小麦粉とパン粉がその材料になる。だが、義母が揚げ物料理の際によく使うのは、さつまいも粉(地瓜粉)である。小麦粉や片栗粉と違って、小さなダマ状になっている。ただ、揚げてみると、小麦粉と片栗粉の間くらいの揚がり方でクセはない。

わが家で時折、友人をお招きしてご飯を一緒に食べる。その時、大哥が義母にこの紅燒肉をオーダーする。ビールによく合う品で、大抵、あっという間になくなる。ホームパーティーには欠かせない。あ、もし「もうちょっと味を足したい」と思えば、お好み焼きソースをほんの少し付けるのがおすすめ。

材料
豚バラ肉 ふた塊り。厳密に計ってないけど今回使用したのはひと塊りが 300g くらい。
ニンニク ふたかけ
粉コショウ 適量
ミックススパイス 適量。いわゆる「五香粉」。
紹興酒 大さじ2
紅麹  小さじ2
みりん 大さじ1
片栗粉 適量
さつまいも粉 適量
揚げ油 適量

作り方
1 豚肉はよく洗い、キッチンペーパーで水気を除いておく。
2 深めの器に、刻んだニンニク、粉コショウ、紅麹、紹興酒、ミックススパイス、紅麹、みりんを入れる。順不同。

3 2 の器にぶた肉を入れ、調味料をもみ込んで、しばらく置く。この時間は実に適当でよい。間に別の品を作るほどで可。

4 片栗粉をまぶし、もう一度、全体にもみ込む。
5 器から出し、全体にさつまいも粉をまぶす。やや厚め。写真参照。

ええい!とばかりに、どっさりかける。

6 下の写真が揚げる直前の状態。

紅麹の赤が肌色になってまう。

7 適量の油で揚げ、切って皿に盛る。

でも、揚げるとちゃーんと赤い。
  • 日本で作るならこうアレンジ
    ・ ミックススパイスはオールスパイスなどで代用できそう。
    ・ 紅麹じゃなく塩麹でやってみるのも一案。
    ・ 片栗粉とさつまいも粉はから揚げ粉や天ぷら粉でまとめるとぐっと簡単……って書きながら(え、それってトンカツのパン粉なしじゃね?)とツッコミましたがな。

勝手口から見た台湾の姿を、さまざまにお届けすべく活動しています。2023〜24年にかけては日本で刊行予定の翻訳作業が中心ですが、24年には同書の関連イベントを開催したいと考えています。応援団、サポーターとしてご協力いただけたらうれしいです。2023.8.15