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台湾ひとり研究室:本屋編「新刊告知祭り:スタッフからのコメント編3」

書籍『「神農生活」のある暮らし』、発売まであと10日となりました。今日も引き続き、制作にかかわったスタッフからのコメントをご紹介していきます。今回は、本書のデザインを担当された、デザイナーの村手景子さんからのコメントです。

——どんな人に読んでほしいですか。
コロナのこともあり、なかなか自由気ままに出歩きづらい日々の中ですが、そのぶん家にいる時間も増え、自分自身の生活を改めて振り返り「どう暮らしていこうかな」と考える方も増えたように思います。自分の暮らしを支えるモノをどう選ぶか、それを考えるほどに、帯にもある「よりシンプルに、よりローカルに。」になっていくのかなと私自身も思いました。なので、この言葉に目が止まったという方にはぜひ本を手に取っていただきたいなぁと思います。

——特に注目してほしいポイントや個人的なおすすめを教えてください。
神農生活さんがセレクト、別注、またはプライベートブランドとして販売している製品の産地(8箇所)とその生産者を訪ねたページには、今この台湾を生きている方々のお話が丹念に綴られています。土地の歴史や風土、家族のエピソードにも触れることができますし、現場の空気を感じられる素敵な写真の数々も合わせてぜひ堪能していただきたいポイントです。

本にとって、デザインは服みたいな存在です。「人は見た目が9割」なんていわれたりしますが、本にとってのデザインは、まさにその見た目の肝心要になるもの。着こなしによっては、粋にも野暮にも見えます。

村手さんのデザインし終わったページを見るのは、制作過程でとてもドキドキワクワクする瞬間でした。

制作プロセスとして、取材が終わると、まずカメラマンさんが撮ったすべての写真から原稿の軸に合わせてセレクトしながら「ページラフ」といわれる仮デザインをつくります。(こんなページになるといいな)(ここにはこの写真が来るといいな)と思いながらラフを書くわけですが、デザイナーではないので、見た目にはだいぶ野暮ったさが残ってしまう。そこを、きちんと人様に出せるよう料理してくださるのが村手さんでした。

こちらから出すページラフはどうしても、目が粗い。それをきちんと編み上げて、ビシッと整える。しかも、伝えたいと思っていたことをきちんと汲み取ってくださっているのが伝わるデザインでした。

本書は、文章と写真素材とで成り立っています。神農生活というブランドの魅力をいろいろな角度から切り取っているため、全体でのストーリーの組み立てはもちろん、デザインによる組み立ても必須です。そこを、章ごとにどんなふうに見せるか、きちんとデザイン構想があって組んでいるかは、実は見えるもの。ぜひとも、その細やかさを本書で感じていただきたいです。

神農生活というブランドは、プロダクトの見せ方や整え方をとても大事にしています。ある時、村手さんに一度組み上がったデザインに対して、リクエストが出たことがあります。村手さんはすぐさま「あ、こういうことですね。わかりました」と答え、ブラッシュアップされた案が出てきました。これは、エディトリアルデザインという、ページ編集のノウハウをもった人だからこそできる対応。それに、内容への深い理解があるからこそ、リクエストの理由を踏まえてブラッシュアップが可能になる。こういう方がデザインを担当してくださって、本当によかったな、と思ったのでした。

さて今日の冒頭の写真は、村手さんがおっしゃった産地取材の1枚。竹製のビーフン掛けです。ビーフンの麺は、この上で干されて、ゆるーいカーブを描く形に干し上がります。中央の青々とした1本は、修理を頼まれて差し替えた部分。こういう技術を持った竹職人は、台湾でも少ないのだそう。どんな商品が紹介されたのかは、本書でご覧いただけたらうれしいです。

勝手口から見た台湾の姿を、さまざまにお届けすべく活動しています。2023〜24年にかけては日本で刊行予定の翻訳作業が中心ですが、24年には同書の関連イベントを開催したいと考えています。応援団、サポーターとしてご協力いただけたらうれしいです。2023.8.15