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「映画かよ。」の解説かよ。 Ep56 バックトゥーザフューチャー|広がるワールド

(写真は全て駒谷揚さんから提供)
 駒谷揚制作・監督によるYouTube短編映画シリーズ、「映画かよ。」、シーズン3の最終話となる、Ep56「バックトゥーザ・フューチャー」が配信されている。

 後輩の潤(うるみ/木下朝実)から、自分の見た夢を正夢にするために、週末に開催されるコミコンに行ってくれ、と訳の分からない依頼を受ける亜美(森衣里)。さらに、未来からやってきた自分の息子、カイル(山下タクロウ)にも、「ママとパパが出会う」からコミコンに行くようにと念を押される。そう聞いて余計に緊張して悩む亜美だが、映画オタクの友人、ミノル(伊藤武雄)に一緒に行ってもらう約束を取り付け、ようやく行く気になる。しかし、直前になってミノルから、別の用事があって行けないと連絡が。亜美は仕方なく、一人会場に赴くが、そこにはミノルの姿が。しかし、どうも様子がおかしい…。

 タイトルの通り、「バックトゥーザフューチャー」のように、過去に戻って両親の恋愛をサポートするという筋書き。そして、「映画かよ。」ではシーズン最終話でおなじみ、謎を残して、次のシーズンに繋げる、いわゆる「クリフハンガー」の手法が使われている。

 シーズン3、これまで全56話。2020年に「映画かよ。」が始まって丸4年。エピソード数も単純に考えて、すごい分量だ。

 映画オタク、というテーマで、映画へのオマージュやパロディという手法を使って、よくこれだけ作ったなあ、と感心する。シリーズ開始当初、「今の時代だからこそ自分一人で映画を作る」ということを切り口に、日本のメディア向けに記事を書いた。そのとき、映画オタクを主人公にする、つまり自分を投影させるから、ネタは尽きないと、駒谷監督は言っていたが、正直ここまで長く続くとは思っていなかった。すごいよ、本当に。

 俳優以外はすべて自分でやるというのは、自分がやらなければ簡単に止まってしまうということ。ネタももちろんそうだし、時間もそう、自主制作だから当然予算もそうだし、体調、天気、一つでも思い通りにならなければ続けられない要因になる。さらに言えば、キャストもそう。俳優だけでなく、知り合い、知り合いの知り合いを総動員したって、人を集めるのは容易なことではない。言うなれば、いくらでも簡単に吹き飛んでしまうものでもある。

 実際、シーズン3ではメインキャラクターの一人、オトを演じる俳優が都合により出演できなくなった。彼の不在で、2シーズンにわたり築かれてきた3人主役体制のバランスが崩れた。自分ではどうしようもない事態、この変化は駒谷監督にとっても大きかっただろう。だが、それまでゲスト的な出演だった役をさらに肉付けし、主役のミノル、亜美をサポート的な立場に置くエピソードを増やすことで、伏線が生まれ、さらにその伏線を回収するといった具合に、「映画かよ。」ワールドは逆に広がりを見せた。より魅力的な役柄、エピソードが増えたといっていい。

 同時に、今回のエピソードのように、亜美、ミノルが物語を進める話は、彼らの知られざる面が見られたり、二人のキャラクターの肉付けがされる要素も色濃くなっていて、シーズン1、2に比べて、より感情移入がしやすいキャラになっているのではないかと思う。

 シーズン4はどうなるのか。3で新たな可能性が示されただけに、さらに新たなチャレンジをして、世界を広げていくことに期待したい。

「映画かよ。」のリファレンス

【「映画かよ。」公式YouTubeサイト

「映画かよ。」ウィキペディア

【「映画かよ。」note】

駒谷監督はこんな人↓

駒谷揚監督インタビュー(Danro)

「映画かよ。」に関するレビュー↓

トリッチさんによる
カナリアクロニクル」でのレビュー

Hasecchoさんによる
「映画かよ。批評家Hasecchoが斬る。」
YouTube「映画かよ。」のコミュニティーページで展開

おりょうSNKさんによる
ポッドキャスト「旦那さんとお前さん」


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