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「映画かよ。」の解説かよ。 Ep47 ミレニアムマンボ/千禧曼波|ライブ感が全て

(写真は全て駒谷揚さんから提供)

 3シーズン目に入っている、駒谷揚制作・監督によるYouTube短編映画シリーズ、「映画かよ。」。台湾で撮影された、Ep47「ミレニアムマンボ/ 千禧曼波」が配信されている。

Ep47「ミレニアムマンボ」

 映画に関するものならどんなグッズも調達する謎の情報屋、スズカ(佐々木しほ)は、台湾を訪れ、依頼人のライアン(ロニー・チュウ/ 邱任庭 )に取引のブツを渡して仕事を早々に片付ける。その日の便で発つ前に、「ミレニアムマンボ/ 千禧曼波」のポスターを買おうと、紹介されたポスター屋を訪れたが閉まっていた。ライアンから情報屋、ヴィッキー(JC/ 雷婕熙)を紹介され、彼女に促されるままポスターを探して台北中を歩き回るが、なぜか毎回一足先にポスターが売られてしまって手に入らない。スズカは、ヴィッキーが自分を騙しているのではないかと問い詰めるが、疑われたヴィッキーは怒って取引を中止しようとする。謝罪して再びヴィッキーの言う通り、次の取引に向かうのだが…。

ライブ感が全て

 仕事で台湾を訪れた駒谷揚監督が、キャストに「誰か台北に来れる人はいないか」とアナウンスして、スズカ役の佐々木しほが手を挙げたそうで、彼女をメインにした脚本を急ぎ書き上げ、台北の仕事先で知り合った俳優やスタッフも動員して撮影した「映画かよ。」。韓国版に続く、海外版第二弾を作り上げた。日本だろうが、海外だろうが、どこでもエピソードを作ってしまう、相変わらずなフットワークの軽さにはつくづく感心させられる。

 監督の機動力だけではく、韓国版同様、あらためて驚かされたのが、俳優陣の層の厚さ。韓国版では、美帆役の竹内里紗が韓国語のセリフをすらすらと話していたことに驚いた。今回は佐々木の英語力、その会話のライブ感の高さに驚かされた。

ヴィッキーとスズカの会話劇がメインのエピソード

 日本人の俳優がアメリカ映画に出て、話題になるが、英語がどうしても脚本を読んでいるようにしか聞こえないことが多い。発音や訛りのことを言っているのではない。世界中から人が集まって暮らしているアメリカでは、訛りがあるのなんて当たり前。要は、会話にライブ感がなく、リアリティを感じないことが多いのだ。それに比べて、佐々木のセリフ運びには、ライブ感がある。ヴィッキー役のJCのセリフ運びも、少々なまりのある英語だが、やはりライブ感がある。台北の街中で、外国人であるスズカと台湾人であるヴィッキー、ともに裏の世界での稼業を生業として生きる二人が駆け引きを英語で繰り広げる会話劇がメインとなる今回のエピソード。絶妙なやりとりのセリフもよくできているが、その脚本も、この二人の持つ会話のリアリティがあってこそだと言っていい。

二人の会話のライブ感がこのエピソードの肝

 スズカという名前が呼びにくいというヴィッキーが、「エイリアン」の主人公、リプリーに似ている、「マトリックス」のトリニティーはどうか、と勝手に名前をつけて呼ぼうとする。それに対して「映画のために作られたくだらない名前で呼ばないで」と冷静に英語でつっぱねるスズカは、やはり台北でもスズカである。日本にいるパートナーの樹里(枝ちなみ)との日本語での電話での会話でも、ヴィッキーとの英語での会話でも、スズカというキャラクターがまったくぶれない。このキャラ立ちしているスズカ、佐々木しほを見た日本国外の監督やプロデューサーがぜひ自分の作品に出てほしいと思うのは、全然あり得るように思う。

街の何気ない街の風景が映し出されるのが「映画かよ。」の魅力でもある

「映画かよ。」のリファレンス

【「映画かよ。」公式YouTubeサイト

「映画かよ。」ウィキペディア

駒谷監督はこんな人↓

駒谷揚監督インタビュー(Danro)

「映画かよ。」に関するレビュー↓

トリッチさんによる
カナリアクロニクル」でのレビュー

Hasecchoさんによる
「映画かよ。批評家Hasecchoが斬る。」
YouTube「映画かよ。」のコミュニティーページで展開

おりょうSNKさんによる
ポッドキャスト「旦那さんとお前さん」






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