不連続面
突然、嫌いな臭いが鼻をつく。
駅前を通り過ぎていた時、やめていたタバコに火をつける君の姿を思い出した。
やめておけばよかったと悔やんでも、それは後の祭り。
あの日からずっと始まらない。
今日も雨。
目の前を流れて行ってしまう。
時間に追いつかずに歳をとってしまう。
汚れたシミは黒く腐って、古くなった姿を見て流れずにとどまった。
体が重くて元気がない。
目が覚めても横になって、乾かない心をぶら下げたまま、いつまでもうらめしい。
癖になるかい、この生乾き臭。
鏡に映った自分を今日も見てみる。
かつて君が好きだった僕の姿。
惨めな顔。
苦しくて眠れずに目はさえる。
汗をかき泣いて、布団は水びたし。
湿った過去に生えたカビ。嫌な臭い。
とっくに君の心はカラカラに乾いて、真新しいにおいを纏う。
斜めに傾き、上から下へと、
上手に流れて。海へと。
泣き顔と笑顔 。
停滞したままの不連続面。
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