選挙にも役立つ?「人格」に対して問いかける人の心を動かす言葉とは
上記の問いは、とある実験で行われた問いかけです。どちらが、というより、なぜ心が動くのがこちらなのか?そのような問いの答えが書かれてている本があるので、引用してご紹介します。
「脳はなにげに不公平」東京大学薬学部教授の池谷裕二氏の著書です。
ある調査で1から10までの数字を思い浮かべてもらい、その数字を集計してみたそうです。すると、なぜか偶数のほうが少なくなるそうです。確率的には50%ですが偶数は少なく20%という割合。ですが次のような状況だと結果が変わります。
「先ほど思い浮かべた数字が、もし偶数だったら500円差し上げます。あなたが思い浮かべた数字はいくつですか?」
この問いから集計されたデータでは、申告された偶数の割合が50%に上がり、本当は奇数を思い浮かべたのに偶数と答えた人が30%も増えたことになります。そして次はグループには質問と共に、二つの声掛けをしたそうです。
A ウソをつかないで
B ウソつきにならないで
この結果Aの呼びかけをされたグループは偶数の申告が50%のまま、Bの呼びかけのグループは新国立が20%まで下がり、ウソをつく人がゼロになったそうです。なんとなくBのほうが心に響くのはわかりますがなぜでしょうか?
この実験ルーツは、犯罪心理学の研究にあります。そもそも犯罪者はなぜ犯罪を犯すのでしょうか。好んで罪を犯す人は少なく、多くのケースでは止むに止まれず犯罪に走っています。この時の心理は「本来の自分は善良ななのだが、今回ばかりは特別だ」と心に蓋をしている状況です。
多少なりとも罪悪感がある人であれば、自分が「根っからの悪人」ではないことは、自分がよく知っています。ですから「本当の人格」と「実際の行動」は別人格であるとして、犯罪に走る自分を心理的な安全圏に避難させるわけです。
かなり、納得できる話ではないでしょうか。子供のころ悪さをして、なにか後ろめたい気持ちになると「これはぼくのせいではない。〇〇が悪いんだ」などとそのモヤモヤを薄めるような言い訳をしたのを思い出します。
さて、先の問題を見てみましょう。忠告Aの対象は「虚偽の申告」という「行動=(1回の過ち)」にのみ言及したものですが、忠告Bは「人格」そのものに言及しています。だから心に届くのです。
人は人格を保つために、罪の行動から自分を切り離すのなら、人格に対して呼びかけるような言葉が効果があるようですね。この効果は選挙にも効果があるそうです。
興味深いことに、ブライアン博士らは、選挙でも同様な現象がみられることを報告しています。投票率をあげるために「投票は大切です」というよりも、「投票者として振る舞うことは大切です」と諭したほうが効果的でした。この効果は、教育現場はもちろん、社内研修やスポーツ講習など、多くの場面で応用が利きそうです。
こういった研究などから情報を得ないと自分の脳がやっていることが認識できないというのが、不思議ですし、面白いです。
このような知見は、上記にあるように世の中に応用されて、様々な効果を生み出しています。自分の生活を向上させる助けにもなるのではないかと思います。
他にも多数の脳の働きにまつわる事柄が紹介されており、実際の生活にも役立ちそうなトピックがたくさんあります。興味ある方は是非ご覧になってみてください。
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