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「+S 」Spiral Market 大阪(20220313再掲)

好きな雑誌はNON-NOよりOlive、CanCamよりもクロワッサンや暮しの手帖だった。
雑誌に掲載される映画評や書評が好きで、服や靴の流行よりも「ライフスタイル」の発信の新しいところを掴むのが好きだった。だから、F.O.B COOP やスパイラルマーケット、カトルセゾン提供の雑貨には、たいへん憧れたものだ。F.O.B COOP がなんばパークス(より前は旧パルコ 天王寺)にできたときはウキウキしながらお店に行ったし、お店が潰れたときはがっかりした。今住んでる地域の一般的な生活様式に、F.O.B COOP の世界観は「合わない」んだろうと思う。素敵なお皿も花瓶も重いしデカすぎる。当時通販で取り寄せるというのは一般的ではなかったし、現物を写真で確認することのできるECも一般的ではなかった。だからと言って東京に住んで雑貨店に出入りができるようになろうとは将来設計を立てなかった。青山や赤坂に徒歩圏内で住むためには莫大な資金が必要なことがわかっていたので、今住んでる地域に地下鉄やJRでたどり着ける範囲に店舗が展開されるまで待とうと思ったのだ。

こういう地方在住者特有の経緯があるので、スパイラルマーケットが身近な繁華街にやってきたのは、とてもうれしい。
とっくの昔にオンラインストアも運営されていたのだが、人気のあるものは転売ヤーにすぐ買われてしまうので、実店舗がいいなあって思っていたのだ。実店舗でまとまった商品を買い、店員さんと仲良しになり、作家ものの入荷日を教えてもらって、取り置いてもらうということが、できるではないですか。しかも通勤圏内で、ふふふ、うれしいな。

スパイラルマーケットの雑貨を「あらこれいいわね」とひょいと買える経済力がついたのは喜ばしい。しかしながら、少女時代よりも雑貨に関する審美眼が高くなっているので、闇雲に「素敵!欲しい!」とならないところは「人生ままならないな」と思う。この「素敵!」という熱が冷める時間まで計算できてしまうほど、かつてのOlive+anan少女は、大人になってしまった。
特に、夫が「おうちデコレーション」に独自の基準のある人なので、あんまりラディカルな品物を自宅に持ち込むと、いつもの冷徹な目で「どうして買ったの?」と言われてしまうので、気をつけないといけないのだ。

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