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司祭館はいまだその魅力を失わず、庭の輝きも以前のまま

今日はフレディ・マーキュリーの誕生日だとか。
45歳。
もういくつもフレディより年上になってしまった。

フレディというかクイーンは、世代でもあるから知っていた。
「ボヘミアン・ラプソディー」も「We will rock you」も「Radio Ga Ga」も有名な曲どころは知っている。

それでも「Ballet for Life」を見たときは、大きな衝撃を受けた。
音楽とダンスと衣装と、渾然一体となったときの破壊力。

ベジャールが好きだ。
ベジャールの振付、ベジャールの演出、ベジャールの立ち居振る舞い、すべてが好きだ。
よくわからないけれど、目から心へ一直線に届く。考える間もなく感じる。
他のモダンバレエ、コンテンポラリーダンスも見たけれど、私はベジャールだけに惹かれる。

ベジャールが見たくて、ベジャールの日本初演を見たくて、「Ballet for Life」を見に行った。
事前情報として、エイズで亡くなったフレディ・マーキュリーとジョルジュ・ドンを追悼する作品であること、衣装担当のジャンニ・ヴェルサーチが公演直後に殺害されたことは知っていた。
でもクイーンは特別好きなバンドではないし、ジョルジュ・ドンも一番好きなダンサーではないし、ヴェルサーチもそれほど好きではなかった。
とにかくベジャールの作品を見たかっただけ。

なにもない舞台上に白い布が置かれている。
雷鳴からクイーンの「It's a beautiful day」のイントロダクションが流れ出し、布の下にいたダンサーが次々と起き上がり始める。
美しさに最初から息をのむ。

「I was born to love you」の愛おしさ。
「A Winter's Tale」の清らかさ。
「ミリオネア・ワルツ」のチャーミングさ。(小林十市くんバージョンが一番!)

終盤、「ボヘミアン・ラプソディー」のオペラ・パートになりスクリーンが降りてくる。
その前で踊るジル・ロマン。(好きなダンサーでは3本の指に入る。独特の間のとり方が好き)
急に曲は打ち切られ、スクリーンにジョルジュ・ドンが映し出される。曲は「ブレイク・フリー」に。この組み合わせが、これしかないというくらいぴったりで、胸がいっぱいになる。
才能があって、名声もあって、おそらくもっと生きたかったであろうふたりの声なき声が聞こえてくるよう。

そして「The Show Must Go On」へ。
逆光に照らし出されたダンサーたち。
鬼気迫るフレディの声と、ダンサーの静謐さ。
自然と涙が出てくる。
この作品を見て以降、この曲を聞くたびにシーンが思い起こされて泣けてくる。

曲が終わり、ダンサーたちは再び白い布を被り、床に横たわる。
輪廻転生。
フレディもジョルジュ・ドンもヴェルサーチも、再生することを感じさせる。

本当に生き返ることがあるのかはわからないけれど、作品を聞いたり、見たりすることで、彼らは何度でも私の前に現れる。生きていた頃の姿のままで。いつまでもそのままの姿で、私の中に生き続ける。



ラストアルバム「Made in Heaven」。
このジャケット写真は、レマン湖のほとりにあるフレディの別荘での一枚だそう。
ヨーロッパ鉄道旅行の際、列車がレマン湖近くを通過するときに「フレディの見た風景を見てる」と感動したなぁ。(同じではない)


ネコ4匹のQOL向上に使用しますので、よろしくお願いしまーす