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求む、雇用主

 私を知る人は意外だと思うだろうが、私は効率的なことが好き。正確には、効率的に仕事をするのが好き。
 今は出社するバイトをしているので、朝、自分のデスクにつく。パソコンの電源を入れ、ノートを開く。今日の日付を入れ、チェックボックスを付けてタスクを書き出す。締切の近いもの、重要度の高いものから書きたいところだが、その並べ替えに頭を悩ませるのは非効率的。わかる範囲で順に書いていく。昨日のページに戻って、やり残しがないか、今日の私へのメモがないか確認。
 忙しいときだと、その頃に誰かやって来る。
「アキさん、今日はどんな感じですか?」
 ひとりのときもあれば、ひとりが去ったあとに次の人から声がかかることもある。そうして依頼された仕事をノートに書き足す。書き足しながら優先順位を付けていく。大したことでなくとも、気づいたことがあればメモをとり、万が一に備える。

 連絡ツールやメールを確認し、作業開始。11時出社で、早ければ11時10分くらいから、遅くとも11時15分には仕事に取りかかる。
 コピーを大量のとってホチキスでとめる。大量のリストを必要な情報だけのリストに作り変える。必要なデータを集める。校閲をする。封入や発送準備。PDFを翻訳。記事内容の確認を依頼するメールを出す。
 とにかく雑務全般が私の担当。なので、仕事が多岐に渡る。
 そうしている間にも声がかかり、仕事が増えることもある。あるいは、よくわからない打ち合わせに呼ばれて同席することもある。
 気づくと13時を過ぎている。休憩時間は45分。1時間だと帰りが遅くなるので、45分で契約した。大体14時に終わるようにしている。
 午後は14時頃から始まり、時短勤務の人たちが帰る17時頃に一度手を止める。トイレに行ったり、ちょっとスマホを確認したり。行きたければトイレにも行く。
 忙しいときはこの時間からまた仕事が入ってくる。それも切羽詰まったやつ。なんとしても19時前には帰りたいので、集中を上げる。

 私の会社での働き方はそんな感じ。
 フリーランスだとポモドーロ・テクニックなんてのを使う人も多い。25分作業して、5分休憩とか。でも会社では、出社してから退社するまでずっと作業しっぱなしの人が多い。社内の大忙し五人集はろくに休憩もとらず、お昼ごはんも食べたり食べなかったりで、トイレにもほとんど行かない。それでいて10時から20時21時はざらだという。
 なんと非効率的! どんなに優秀な人間でも、10時間スイッチ入りっぱなしなんてできるわけがない。
 全体の作業時間を短くする。間に休憩を挟む。その分、また作業時間が減る。それは一見もったいないようだが、効率が上がれば長時間働き続けるよりも作業量は増える。量だけでなく質の向上も図れる。
 会社にとっても残業代を減らせてお得だと思うのだけど。

 私の好きな言葉に「急がば回れ」がある。急ぐのだったら直線ルートを行くのではなく、少々無駄があっても行きやすい道を行くということ。山あり谷あり、舗装されてない直線を行くよりも、きれいに整備された迂回ルートの方が早いこともある。
 私が朝イチ、ノートにタスクを書き出すのは、そういうルートを見つけるためでもある。順序よく、すき間に突っ込めるものは突っ込み、時間が決まっているものはその時間に固定。案件同士が結びついて、一度に合わせて作業できるものが見つかるかもしれない。あっちの案件の経験が、こっちの案件で生かせるかもしれない。
 なまけ者だからこそ、なまける時間を作るために効率的に仕事をする。仕事は好きだけど、仕事よりもなまけてる方が好きだもの。

 こんなに時間の使い方を考えるのは、私がフリーランス(っぽいもの)だからかもしれない。無駄をなくして効率的に仕事をしても、会社員だったら「終わったので帰ります」とは言えないもんね。
 家に帰ってなにをするわけでもない。今はフリーランスの仕事もほとんどとってないし、やりたくてたまらない趣味があるわけでもない。たまにバーに行き、人の話を聞き、思索して、書く。だけ。
 でも、ずっと会社に閉じ込められてるのは嫌だ。飽きても会社で仕事を続けられるこの人たちは、ある意味、精神的にタフだと思う。1日8~9時間、週に5日、38年間もそんなふうにできるなんて!

 作業効率を考えて、雑務をなんでもこなせる人材、欲しい人いませんか?
 3社4社が共同で私を雇ってくれたらなぁ。それぞれの忙しい時期に合わせてスケジューリングし、暇なときも組み合わせて仕事をする。安定して収入になるので私はほくほくだし、複数社で賃金を出すから割安で事業者もにこにこだし、こんないいことないと思うんだけど。



ネコ4匹のQOL向上に使用しますので、よろしくお願いしまーす