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Alice In Chains と背中をなぜる(なぜるは方言)

 人からの励ましの言葉。ありがたくも、うざったいもの。
 とりあえず、励ましとけ。前向きな言葉をかけて、背中を押しとけ。甘ったれてるから、ケツ叩いとこ。
 そんな人ばかりではないのだろうけれど。
 本当のどん底にあるとき、出口を見上げてもはるか遠くに小さな明かりが見えるだけ。そんなときに励まされても、前向きな言葉をかけられても、明かりが大きくなることはない。背中を押されても、ケツ叩かれても、一歩進んだところで、明かりまでの遠さに気が狂いそうになる。
 「自分はこうして抜け出した」って、あんたと私の出口までの距離が同じだと思ってんの? 道のデコボコさ加減も、人それぞれだって知らんのか?

 自分だったらと考える。
 私がどん底とはいわないまでも、沈没しているときにするのは、Alice In ChainsやMad Season を聞くこと。
 AIC と同じ空気を吸いたいがためにシアトルに行ったくらい、AICが好き。メインボーカルのレイン・ステイリーの特徴的な声と、グランジだけどヘヴィ・メタル寄りの重々しい音、そして歌詞を含め、陰鬱な曲。
 暗いにもほどがあるってくらい暗い曲を大音量で流しながら、夜中、車で走り続ける。どれだけ聞いても家に帰る気になれず、ああ、このままカーブを曲がれずにスリップして、どこかにぶつかってしまいたいと思った雨の夜。ひたすら真っすぐな道を進み、そろそろ突き当たりだけど、ハンドルこのままアクセル踏み込もうか。
 結局、レインのように堕ちることはなく、私はまだ生きている。

 私より不幸な人がいるから大丈夫とか、どん底を知ってる人がほかにもいるんだとか、別にそんなことを思って救われたわけじゃない。
 自分って哀れだとか、かわいそうな自分とか、どん底の自分に酔ってたわけでもない。
 なんかただ、AICの曲、レインの声が染みただけ。聞いてると、ざわざわした心が静かになっていく気がした。そのときの自分の波長にぴったりと合って、ぽっかり空いた穴が埋まったような感じ。

 自分がそうだから、どん底にある人のことを、私は励まさない。どん底じゃない人の場合は、エールを送ることもあるけど。
 どん底の人、励まして欲しいのかどうなのかわからない人のことは放っておく。自分がかまって欲しくないから。自分がして欲しくないことは、人にしない。
 ただ、よっぽどだなというときは、背中をなでる。
 これ、とても効果的。理由はわからないけれど、経験上、よいらしい。

 あ、私はされたことがないんだけどね。
 もしされたら、私も泣いちゃうのかな…

 なんてことを思い出した。↓ の記事を朝イチに読んで。



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