「なんでも見つかる夜に、心だけが見つからない」 東畑開人

誰かの相談を聞く事で、自分とその人の悩みを比較して、客観的な視点が出来る点において、相談事を聞くのは良い。この本も、誰かの相談の中から解決策を提示する、その一連のやり取りを見れて良い。

以下、印象に残った点について
•フライト曰く、人生は働く事•愛する事である。
働くとは目的を達成する事で、愛するとは共にいる事と大別しており、働くとは=「する」、愛するとは=「いる」とまとめられていた。

「する」とは、目的思考型で、目的や目標を達成する為に、何かをし続けること。PDCAを回し続ける事であり、「いる」とは、何もしなくても良い空間。安心して、その場に居る事である。

「いる」が出来ない人は、「する」をやってしまう。「いる」が出来る為には、心の中に拠り所が必要で、何か(過去の嫌な事など)にせき立てられてしまうと、「いる」が出来なくなる。それが違いであるのが、私の解釈である。

人生は、「いる」だけでなく、「する」も必要で、要はバランスが取れているかどうか、必要な時に、必要な状態ができる事が、「いる」と「する」で大事な事だと思っている。私は、反対に、積極的な「する」が出来ていないので、今後は意識的に「する」を取り入れていきたい。例えば、普段、惰性で行なっている生活の中でも、どうすれば快適に過ごせるか?家族や友人と何をすれば楽しいか?日々のPDCAを回していけたら、実になると考えている。

•友人の繋がりの中に、大別して二つ挙げられている。それが、「シェアの繋がり」と「ナイショの繋がり」で、「シェアの繋がり」とは、傷つけ合わない関係、だから、安心できる関係。
「ナイショの繋がり」とは、傷つけ合う関係、互いに言いにくい事をぶつけ合ったり、相手の嫌な部分を指摘する関係、だから、否定や変化があり、安心とは言えない関係、しかし、新しく互いに変化し合い、新しい形で付き合う事が出来る関係である。これは、「ケア」と「セラピー」と似通った部分がある。

私は、人を傷つける事が苦手だ。相手に指摘することも苦手だ。でも、引っ込み思案になり、抑えつけても、身体に毒で、挙げ句の果てに、奪われて、失って終わる事を、大小と見てきた。感じてきた。だからこそ、私は、痛みを感じても、ケア的な関係から、セラピー的な関係を作れる様に、自分や相手と向き合っていきたいと思っている。
ただ、これもバランスである。ナイショの繋がりを少しずつ増やしていく、今まで、飲み込んでいた事を、少しずつ半径の世界に伝えていくのが良いと考えている。例えば、私は〇〇が欲しいと言うこと、身体をそこに持って行くこと、自分の声を優先する事、関わる中で学んでいく事、嫌な事を指摘し合う事である。


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