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デジタルコミックの料率不平等問題とイーブック株のストップ高

昨日の2021年6月2日、
イーブックの株がストップ高になりましたね。

ここなどの記事によると

https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1328787.html

メディアドゥの売り上げLINEマンガに関わる売り上げの
かなりの部分がイーブックに流れることになる
ということでしょうか。

バックエンド業務に「電子書籍コンテンツの調達、
提供」ってあるので、素直に読めば、
「取次変えちゃうぜ?」って話かと。

これデカいですね。
(パッと見たらメディアドゥの売り上げの
20%くらいの金額?)

どれくらいがメディアドゥを通っているのか
分かりませんが、取次変えるとしたら、
メディアドゥの売り上げ減は
かなりの金額になるのでは。

もしウン十億の売り上げがポンと消えるとなると
イーブックの株がストップ高する一方で
メディアドゥが激下がりしたのも
当然でしょうか。

まあ、デジタルコミックも永遠に右肩上がりという
わけにはいかないでしょうし、
グループ内でやるべーというのは
当然の流れとは思います。

デジタル機構を吸収して以来、
電子取次は、ほぼメディアドゥ一強という感じだったんで、
これを機会にさざ波でもいいので、
少しでも状況が変わって、
料率に変化が起きると(もちろん上がる方向で)
嬉しいんですが…。(期待薄です)

この話、株をやっている人とか、経済ウォッチャー
みたいな人には、株が上がった下がったという話で
終わりでしょうし、ほとんどの人には、ふーんそれで、
みたいな話かと思うんですが、
私のような零細マンガ制作業者からしたら、
過去の色んな恩讐的なあれこれの思いが湧いてきます。

あんまり色々湧いてきて沸いてきて
長ーい下書きになってしまってボロが
出そうだったんで、昔から思っている
デジタルコミックの料率超不平等問題(業界タブーかも
しれませんが)に絞って書きますね。それでも長くて、
ほぼ愚痴というか文句ですが…。
(異論反論などあれば喜んで!)

紙の取次と言えば、デカいのは
ご存じの通りトーハン、ニッパンです。
書籍の取次の料率は老舗・大手と新しい会社、
中小と出版社によって、もちろん差はありますが
出版社が即死するほどの差ではありません。
おおよそ、60~70%の戻し(上もあり)だと思います。

でもデジタルは全然違うんですよ。
これ出版業界内でさえ知らない人が
意外と多いです。

私が思うに、
デジタル関係のコンベンションでは
ほぼ大手の出版社の方(料率の格差に苦しんでいない人)
と配信サイト(料率の格差を語りたくない人)が
登壇者になっていて、話の内容も未来に向けた
明るい話(もちろん皮肉です)が主体なので
料率が話題になることがないのではと。

いくらヒット作を作って売り上げが
ガツンと伸びたとしても、
TLやBL、成年をメインにしている会社が
そういう場所に呼ばれているのを
目にしたことがありません。
デジタルはエロが引っ張ってるって
言われてても明るい場所へは呼ばれません。

大手出版社とデジタルネイティブや小規模の出版社では
えらい料率に差があって、
よくて半分、ひどいところでは(あえて「ひどい」と書きます)、
大手の3分の1の払い戻しです。
(そうでないところもありますが少数です)

条件が悪いと売り上げの70とか80%が
配信サイトの取り分なんですよ。大手はほぼ逆な感じでしょうか。

業界紙で、デジタル料率の平均値が50%くらい
(だったかな)で出てたのを何年か前に
目にしましたが、これ何の意味もありません。

平均値が正確でないのではなくて、
平均値で見ることが間違っているかと。
60%の会社と30%の会社があれば
平均45%ですが、ただの平均です。
30%の会社が受けている悪い待遇
(あえて不平等とは言わないですが)
が全く見えてこないです。

この料率超不平等問題(「超」ですよ)は
ずーっといろんなところで文句言ってるんですが
どこも取り上げてくれません。

私が本格的にデジタルコミックに関わった時点で
(かなり初期、Renta!とイーブックしかない時代から
やっています)
すでにそんな感じの数字でした。
初期に交渉した人たちをマジで一生恨み続けますよ。

だってあり得ないと思いません?
いくらデジタルとは言え、作家を発掘し、
原稿料を払い、作品を生み出す制作サイドの
取り分が、配信サイトの3分の1とか4分の1って。

私は初期の頃、作家に提示した料率より
低い料率を配信側から提示されたことがあって
(足が出る!)引っ繰り返ったことがあります。
今思い出した。

初期の電子書籍はまあ、これからどうなるか
分からない、本当のベンチャーだったんで
それもしょうがなかった面もあるかと思うんですが
今は違いますからね。

ヒットが出て1億入金あったとしたら
(数人のデジタルコミックの会社でも
これくらいの年間入金はある)、
大手なら2億3億になるんですよ。
数人で1年で純利益億の世界です。

それだけあったら作家さんにも
戻せるし(ここ肝心)、
新しい作品もガンガン作れるし…。

ですが、実際にはヒット作を出しても、
作家にも大手ほどには戻せないので
最終的には印税率の高い大手に
作家を取られてしまいます。

それでもみんな頑張ってるんですけど
やっぱり涙することもありますよ。。
たまには旨い寿司でも食いたいですよ。

appleの料率30%高いよ!って世界中で
大騒ぎしてますが、みな等しく苦しんでいるだけ
全然我々よりましです。

もちろん、大手出版社には
強力なコンテンツがあるし、
作品数も多くて、
対取次・配信サイトでは
交渉力が違うというのもわかります。

でも、3分の1とか半分はないでしょう?
と思うわけですよ。

大手に沢山払い戻している分、
TL、BLをメインに作っている
中小や、デジタルネイティブの会社から
がっつり金を巻き上げているとしか
私には思えませんでしたし、
それは違うよ!と、納得のいく、
合理的な説明をしてくれる
人もいませんでした。

段々と言葉が荒くなってきてすいません。

実際、小さい会社にも売り上げの半分を
戻している大手サイトもあるので、
それでやっていけないということは
ないはずです。ないはずです。ないはずです…。

もちろん、これまでこの状況を放置プレイしていた
マゾな側にも問題あるんですけどね。

愚痴疲れしてきました。

この辺でやめときますが
誰かゲームチェンジをしてくれる人いねえすか?


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