乾杯予想図
リモート飲みなんて言葉が流行り出したのはごく最近。
外出自粛が起きてからみんなやり始めたことだ。
しかし、ネットにずっと居座ってきた人々はかれこれもう10年以上も前から当たり前のようにやっている。呼び名はリモート飲みではなく、飲み会議なんて呼ばれたりする。通話しながら飲むだけなのだ。
やってることはリモート飲みと変わらないだろう。1つ異なるのは、カメラで顔を表示するかしないか。これも絶対的な定義ではなく、飲み会議でもビデオ通話にすることはあるし、リモート飲みで顔を見せないこともあるだろう。
リモート飲みのように、環境の変化で乾杯の形が変わることもあるが、技術の発展で変わることもある。それが飲み会議だったわけだ。10年も前、パソコンで通話ができるソフトウェアが普及し始めた。それはビジネスにも使われ、また、プライベートにも使われる。飲み会議なんかはプライベートそのものだろう。
電話を介さずに、そのソフトを使うことで会話ができるのだ。電話といえば、私の時はなかったが、もしかしたら、電話で飲み会をしていた人も中にはいたのかもしれない。真相はわからないが、電話は通話料がかかる分、やる人はいなかったのではないかと思う。その分、パソコンからのネット利用は固定費だった、その当初は。それも相まって、いつまでも会話が続けられる状態だったのだ。
これはある意味環境の変化かもしれない。技術の発展ではなく。
先ほどは飲み会議は技術という話をしたが、電話はもっと古くからあったわけだ。技術は存在していたわけだ。しかし、ネットが普及し、料金も固定になり、電話とは違った環境下ができたことで、パソコンで飲み会議をする人が増えたのであろう。
こう考えると、将来、リモート飲みはまだまだ進化をしていく可能性を秘めている。
最近ではVRという技術もある。VRは仮想現実と呼ばれるものだが、説明は省略させていただこう。このVRを利用して、相手と飲み会をすることも可能のだ。ただ、やはり、VRの機器自体が高価というのもあり、世間への普及はまだまだなのだ。
他にはホログラムという技術もある。こちらもそれを用意するためにコストがかかり、普及にはいたっていない。このホログラムは目の前に相手を現実に映し出す。映し出すというよりは召喚するの方が想像がいくだろう。相手を3Dの状態で目の前に召喚することができる。まるで現実で会っているかのようにだ。
それこそ本当の飲み会と変わらないように。
こういった技術はすでに多く存在しているのだ。しかし、先ほどにもあるように、普及していないため、つまり、みんなが持っていないため、なかなか気軽に行うことができない。これも環境の変化で変わっていくのかもしれない。環境の変化には、機器が安価になることも含まれるであろう。それが安価になり、スマホのようにみんなが持つことになれば、新たなリモート飲みも生まれるのだ。
いくら遠方にいようとも、目の前に相手を置いて乾杯ができる。また、ホログラムの先もきっとあり、ホログラムは映像でであるが、目の前に、物質的に相手を召喚できることも可能になってくるかもしれない。そうした時、乾杯は空を切るものでなく、杯を交わすものになってくるのだろう。
テレポートという技術ももしかしたら、できる時代が来るかもしれない。そうなると、今のような移動をしなくても相手と会えるわけだ。
そうなれば、住む場所も自由だ。飲む場所も自由だ。会う場所も自由だ。
山奥で乾杯。山頂で乾杯。
海の上で乾杯。地下で乾杯。
砂漠で乾杯。雲の上で乾杯。
宇宙で乾杯。月で乾杯。
そういう未来予想図を思い描いて今日も美味しくいただきたい。