AMTUL/アムツール
AIDA(アイーダ)
今を遡(さかのぼ)ること109年前。
伊藤博文や大隈重信が総理大臣だった明治31年(1898年)に、アメリカで販売員をしていたセント・エルモ・ルイスさんは、
人が品物を買う(お金を払う)過程は、
まず知ることから始まり/Attention
興味を持ち/Interest
「欲しい」と思い/Desire
買う(行動する)/Action
というAIDA(アイーダ)原理を唱えた。
要するに、
知らないものは買いようがない
ということであり、
興味がないものは買わない
ということであり、
欲しいと思わなければ買わない
ということである。
とてつもなくシンプルだが、見事に本質を突いており、100年たった今でも全然色あせていない。
マーケティングに携わる者にとっては、伊藤博文の偉業よりも、S・E・ルイスのAIDA原理のほうが、どれだけ仕事に役立つことだろう
AIDA変形モデル
AIDA(アイーダ)原理は、AIDA法則や、AIDAモデルとも言われる。
その変形パターンとして、アイドマ、アイダス、アイドカ、アイドカス、アイサスなどが追随した。
どの変形パターンも、Attention(認知)とInterest(興味)から始まっている。
つまり、100年前から今に至るまで、
知らないものは買いようがない
ということであり、
興味がないものは買わない
というスタート地点は何ら変わっていない。
平たくいえば、今ある商品を売るには、営業力の強化以外にないのである。
※注※押し売りの、押しの強さを強化するという意味ではない
AMTUL(アムツール)
AIDA(アイーダ)原理の他に、AMTUL(アムツール)という法則がある。
A → Awareness /認識率
M → Memory /記憶率
T → Trial use /試用率
U → Usage /リピート率
L → Loyal use /愛用率
T・U・Lが重複している感も否めないが、AIDAと比較してみると、すべて数値化するところが好ましい。
わかりやすくDMを例にとれば、仮に一万通のDMを差し出し、1,000人が開封したとすると、DMターゲットの認知率(開封率)は10%ということになる。
次に、DMに同封されている「今ならお試し期間中キャンペーン」申込ハガキを使って、応募してきた人数を100人とすると、記憶率(応募率)は10%(DMターゲットの1%)になる。
有料・無料にかかわらず、お試しサンプルを使った感想のアンケートを書いてくれたのが80人とすると、試用率は80%(DMターゲットの0.8%)になる。
続く2回目からも有料で注文のあった人数がリピート率となり、(各社の基準は異なるが)優良顧客の域までリピートがあった人数が愛用率となる。
数値化が置き去りにされがちなAIDA(アイーダ)原理に比べAMTUL(アムツール)は、比率を明確にする点で実戦向きといえよう。
数値化
とかく日本の中小企業は「何故その売上目標なのか?」「何故その数値を達成しなければならないのか?」といった、
・数値目標の設定
と
・その理由
に乏しい傾向にある。それがまた、社員のモチベーションを低める原因にもなっている。
(平たくいえば、「こんなに安い給料なのに、何故その売上を達成しなければならないのか?」分らないし、理解させていないということ)
その理由を、経営者が分っていなければ、数値化できない。
数値化できなければ、その理由が伝わらない。
数値化するには理由が要る。数値化できるところは数値化して、
「給料いくら欲しい?年収1000万?ふむ、ならば、これくらいの荒利を稼ごう」
と、労使双方が方向性を共有したいものだし、その数値化は、売上目標や前年比といった戦略面のみならず、DM等の戦術面でも設定しなければならない。
北緯何度、東経何度へ船を進めれば、どんな黄金郷があるか、船長は指し示さなければならないし、乗組員は、その数値通りに船を操縦しなければならないのと同じ。
船長は一人、乗組員は10人でも、同じ船に乗っている者同士なのだから、船の進路が「東西南北」だけで良いはずは無かろう。
これは、経営指針にも通じる。
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