営業戦略の型が三つのみは本当か検証する 後編
AIDAの法則を組み合わせると三通り
AIDAの法則※に照らし合わせると、営業戦略の型は「三つしかありませんよ~」と前編にて述べました。
※ AIDAの法則 = 購入へ至る4段階の心理フロー
Attention(注意)… 知る
↓
Interest(関心)… 興味をもつ
↓
Desire(欲求)… 欲しくなる
↓
Action(行動)… 買う
【組み合わせ1】
Attention(知る)
↓
Interest(興味をもつ)
↓
Desire(欲求)
↓
Action(買う)
【組み合わせ2】
Attention(知る)
↓
Desire(欲求)
↓
Action(買う)
【組み合わせ3】
Attention(知る)
↓
Action(買う)
この(AIDA)3つの組み合わせしかありません。なので、型は三つになります。
その他の組み合わせはありませんし、逆の流れ ※ も有り得ないことを前号で検証しました。
※ 逆の流れ
Action(買う)
↓
Desire(欲しくなる)
↓
Interest(興味をもつ)
↓
Attention(知る)
マーケティングのプロモーションを組み合わせても三通り
AIDAのみならず、マーケティングのプロモーション(告知・広報・販促・販売)に照らし合わせても、3つの組み合わせしかありません。
【組み合わせ1】
告知(知る)
↓
広報(理解する)
↓
販促(欲しくなる)
↓
販売(買う)
【組み合わせ2】
告知(知る)
↓
販促(欲しくなる)
↓
販売(買う)
【組み合わせ3】
告知(知る)
↓
販売(買う)
このマーケティングのプロモーションと、AIDAの法則が、対になっていることを、筆者は発見しました。
告知 = Attention(知る)
↓
広報 = Interest(興味を持つ)
↓
販促 = Desire(欲しくなる)
↓
販売 = Action(買う)
AIDAの法則に照らし合わせることによって広報の位置と目的が定まり、両者は、
・項目数が同じ(最少四項目)で、
・項目の内容も同じで、
・流れも同じ
であることがわかります。
余談ですが、(一部の)広告関係者の間で、よく「広報が先か?広告が先か?」という不毛な(笑)議論が交わされますが、
非営利の政府広報じゃあるまいし、商売は広告が先であることが、この対称でお分かりになるでしょう。
商売は知らせることから始まる(ここに最もコストがかかる)ということです。
営業戦略の型が三つのみは本当
さらに、マーケティングのプロモーションと、AIDAの法則を一致させることで、営業活動は、利益追求活動と、理解強化活動に分けることができます。
【組み合わせ1】の型は、利(売ること)と、義(たとえば挨拶すること)に分かれます。
第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利益追求 = 利
↓
第2段階)おしえる = 広報 = Interest(関心)= 理解強化 = 義
↓
第3段階)すすめる = 販促 = Desire(欲求)= 利益追求 = 利
↓
第4段階)売る = 販売 = Action(行動)= 利益追求 = 利
既存客の維持型ですね。
典型的な理解強化策は、今では禁止する企業も増えつつありますが、接待です。
接待は極端な例かも知れませんが、はがきを送るにしても、ノベルティを進呈するにしても、
理解強化(義)は、利益になるどころか、持ち出しになる営業活動です。
だから(損するから)、既存客限定で、見込み客には、やらない(笑)という仕組み。
【組み合わせ2】の型は、利(売ること)が目的です。
第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利益追求 = 利
↓
第2段階)すすめる = 販促 = Desire(欲求)= 利益追求 = 利
↓
第3段階)売る = 販売 = Action(行動)= 利益追求 = 利
【組み合わせ3】の型も、利(売ること)が目的です。
第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利益追求 = 利
↓
第2段階)売る = 販売 = Action(行動)= 利益追求 = 利
売ることが目的ですから、短期的には、売れます。今月や来月の売上のみ追うのでしたら、この型が最適。
以上、三つの組み合わせしかありません。
これを筆者は、農林水産型の営業戦略と名付けました。
【農業型】
第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利益追求 = 利
↓
第2段階)おしえる = 広報 = Interest(関心)= 理解強化 = 義
↓
第3段階)すすめる = 販促 = Desire(欲求)= 利益追求 = 利
↓
第4段階)売る = 販売 = Action(行動)= 利益追求 = 利
【林業型】
第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利益追求 = 利
↓
第2段階)すすめる = 販促 = Desire(欲求)= 利益追求 = 利
↓
第3段階)売る = 販売 = Action(行動)= 利益追求 = 利
【水産型】
第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利益追求 = 利
↓
第2段階)売る = 販売 = Action(行動)= 利益追求 = 利
営業マンが100人いれば100通りの営業戦略がある
どの型にするか決めるのは、経営者です。
わかりやすくいうと、営業社員が、自腹で、広告費を払うことはありません。
営業戦略は経営戦略に勝ることができませんので、この型の範囲で、営業マンは、戦術を立てることになります。
戦略 ― 戦術です。それが、(経営レベルではなく)現場レベルにおける営業戦略になり、営業マンが100人いれば、100通りの営業戦略になります。
なので、同じ営業部内であっても、数字に違いが現れます。
たとえば(ほぼ実話ながら)パチンコホール業界に狙いを絞って営業し続けた新人営業が、突然、一億円の広告媒体を受注してきたようなものです。
この新人営業には「広告を売るならパチンコホール」という強烈な成功体験がすりこまれたことでしょう。
こうして、彼女にとっての営業戦略は「狙いを絞ること」になるわけです。
それが「正しい」という人もいれば、
「狙いを絞っていては、売れない」
という人もいる(業界や商品もある)でしょう。
このように、営業戦略は、千差万別になっていくわけですが、その基本となる型は、三つしかありません。
それが、農林水産型の営業戦略です。
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