どうして営業戦略の型が必要なの?

経営者vs社員の考える営業戦略には戦術の違いがある

営業戦略には三つの型があります。

【農業型】既存顧客 維持型

第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利益追求 = 利
     ↓
第2段階)おしえる = 広報 = Interest(関心)= 理解強化 = 義
     ↓
第3段階)すすめる = 販促 = Desire(欲求)= 利益追求 = 利
     ↓
第4段階)売る = 販売 = Action(行動)= 利益追求 = 利

【林業型】新規顧客 開拓型

第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利益追求 = 利
     ↓
第2段階)すすめる = 販促 = Desire(欲求)= 利益追求 = 利
     ↓
第3段階)売る = 販売 = Action(行動)= 利益追求 = 利

【水産型】新規顧客 開拓型

第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利益追求 = 利
     ↓
第2段階)売る = 販売 = Action(行動)= 利益追求 = 利

の三つです。

どの型にするか決めるのは経営者、あるいは、経営者が全権を託した部門長で、

その型の範疇で、営業チームや、営業マン個人は、戦術を立てます。

戦略 ─ 戦術です。

この戦術が、(経営レベルではなく)現場レベルにおける営業チームや、営業社員にとっての営業 戦 略 になります。

道理で、営業マンが100人いれば、100通りの営業戦略があるのも、頷けます。

営業戦略は経営戦略に必要ない?

その営業戦略の型(農林水産型三つの型)は経営戦略に必要なのでしょうか?

必要ないといってしまえば(笑)、身もふたもありませんが、なきゃ無くてもやっていけます。

がんばって下さい。以上。

で終わってしまっては(笑)、それこそ身もふたもありませんので、先を続けますと、

営業の経験がなくても、商品を売ろうとする時【農業型】【林業型】【水産型】に共通する、

第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利益追求 = 利

から始めることになりますね?具体的には、

・電話でアポイントを申し込む

・飛び込む

・広告を出す

・チラシを撒く

・店舗を開く

・(イレギュラーなところでは)本を出す

です。そうして、商品を知らせて→ すすめて→ 売る【林業型】か、あるいは、

店舗へ集客したり、通販で注文を待ったり、チャネル全体として動く【水産型】になります。


【水産型】は、売りを目的とした営利活動ですから、短期的には売れます。

分かりやすく、新聞広告に限っていえば、最も反応があるのは当日ですから、

「今日、売る」

ために新聞広告を出します。来年に売るためではありませんね?

店舗も、今日、売るために、お店を開けます。

チャネルでいえば、メーカーが知らせて、小売店が販売します。

この仕組みの中に組み込まれた小売店は、個店としての営業戦略を布くことができません。なので、個店としての販促どまりになります。

たとえば、1日900万本を売り上げるヤクル〇製品のうち、半分以上の500万本を売る37,000人のヤクル〇レディ個々が、

スーパーへ卸したり、広告を出したり、販売エリアを決めることはありません。


ヤクル〇レディにできるプロモーションはサンプリング等の販促に限られます。

短期的に売る繰り返しの林業型

【林業型】も、売りを目的とした営利活動ですから、短期的には売れます。

短期的に売れますので、一日でも早く、売上金が入ってきます。

「早い入金 遅い出金」は、商売の鉄則。

早く売り上げるために、

・電話でアポイントを申し込んだり、

・飛び込んだり、

して、商品を知らせ→ すすめて→ 売ります。

これは、新規営業も、既存営業も、同じ。


売れる先のみ売り込む新規営業は当然のこととして、既存客への営業も、早く売上になりそうな既存客から先に売ろうとします。

そうして、既存営業の場合、俗にいう「休眠客」が生まれていきます。

【林業型】は、高度経済成長期に、営業活動の手本のように浸透しましたので、

「売れ」と命じる経営者も、

「売れ」と命じられる営業社員も、

これが営業活動だと思って疑いません(バイアスがかかっています)

いずれにしても、短期的に売れますので、短期的に売る繰り返しになります。

昨日も「売れ」

今日も「売れ」

明日も「売れ」

の繰り返しです。

それが間違っているワケではありません、ほとんどの企業は(一部の大企業を含め)【林業型】や【水産型】を採っています。

何年も、何年も、短期的に売る繰り返し。それが、林業型の営業戦略です。

営業活動は【林業型】から【農業型】へ、緩やかに推移する

既存客を維持するのに向いた【農業型】は、売り先が限られた大企業vs大企業や、

販路が固定している(新規客が増えようのない)業界にとっては当然の型ですが、

そうした特性のない企業の場合、【農業型】や【林業型】という戦略の概念がない限り、

営業活動は、【林業型】から【農業型】へ、ゆるやかに推移します。

それもそのはず、新規営業すれば、お客さまが増えるからです。

お客さまが増えると、忙しくなって、新規営業している場合じゃなくなります。

しかし、既存客のみでは、売上が、頭打ちになります。

いずれ、既存客は、確実に、減ります。

余談ですが、どれくらい減るか?というと、あるBtoCの企業が、4年前のリストを使って、ダイレクトメールを出したところ、25%がニクシー※で 戻ってきたそうです(恐ろしい話です)

※ Nixie
宛先不明で配達できずに差し戻される郵便物のこと

そこで、新規!新規!とばかりに【林業型】を復活させようとしても、時すでに遅し。

既存客からの注文を捌くのに忙しいものですから、新規やってる暇ありません。


やったとしても、売上になる既存客が優先され、新規のほうが片手間になってしまいます。

さはさりながら、中には、しっかり、新規営業を欠かさない営業マンもいます。

こうして、100人の営業マンがいれば100通りの営業戦略(経営戦略から見れば営業戦-術-)になります。

このように、営業戦略(の型)という認識なくして、【林業型】から【農業型】へ推移すると、

たとえ、経営者であっても、もう、組織をコントロールしにくくなります。

【林業型】から【農業型】へ推移すると組織をコントロールしにくくなる


営業戦略の型(農林水産型三つの型)を知らなくても経営できますが、以上のように、営業組織をコントロールしにくくなります。

経営(のうちの人事戦略)は、組織を動かして、最小の投資で、最大の効果をあげることですから、

営業組織を、思うように動かせないとなると、経営者としてはストレスの種にさらされることが、お分かりになるでしょう。

(ストレスの種どころか、現実には、犯罪に近いことも行われていますからね)


もちろん、ご存じなくても、厳しい営業で有名な某社は、徹底的した林業型で、怒鳴って、わめいて、叩いて、組織をコントロールし、売上を伸ばしています。

それはそれで、その企業の自由です(関わり合いたくありませんが)

とはいえ、ほとんどの経営者は、農林水産型の営業戦略を、ご存じありません。

なぜなら、筆者が分析して構築した型だからです。

(ご存じなのは、おそらく、このブログの読者さんか、サイトの訪問者のみでしょう)

【水産型】の戦略で、売れる仕組みを作るも良し。

【林業型】の戦略で、短期的に売る繰り返しも良し。

【農業型】の戦略で、既存客を重視するのも良し。

どの型を破って離れ、どんな営業戦略を立てるも自由です。

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