新製品開発

アール&ディー

TVCM、タレント、著名人、キャンペーンガール、展示会、イベント……

マーケティングの華はプロモーション戦略のように思われている方々も多いと思うが、実のところ、マーケティングの華は、製品戦略である。

全社にマーケティングが認知されているメーカーにとっては周知の通り、製品戦略の中でも、とくに新製品の開発は花形で、R&D(Research and Developmentリサーチ&ディベロップメント)と呼ばれる。

一方、マーケティングに懐疑的なメーカーにはR&Dがいない。平たくいえば、

「マーケティングぅ?新製品?そんなモン売れんのかよ?ウチは○×屋なんだから○×売ってりゃイーんだよ。売れるかどうかわかりゃしない新製品なんか売らねーぞ。売るんなら自分達で売るんだな。新製品を作った自分達でナ」

という状況。こうしたメーカーに勤めるマーケティング実務家は可哀想という他ないが、諦めずに、ゆっくり、ジワジワと、マーケティングの浸透に努めてほしいと願う。


余談になるが、手っ取り早いのは、密かに新製品を作り、密かに売り、売れた実績を作ることである。それから後に社内へ新製品を発表する。

「売れた」という実績ほど強力な証拠はない。その後の社内の協力を得られるかどうかは(社内の政治が作用するため)別にして、とりあえず、

「会社の経費を無駄遣いしてワケの分らない新製品を作っているらしいぞ」という陰口は躱(かわ)せる。

新製品の売上は小さくても、そうした実績を積み重ねるうちに「売れるものを作る」有り難くも得がたい存在であることが認知されていくであろう。(その経験が、クライアントを通して、筆者にはあるため、自信をもって勧められる)

ローマは一日にして成らない。

製品あってのマーケティング

非メーカーにおける新製品の開発は、売れる商材の発掘であったり、店舗開発であったりする。

知り合いのセールスレップの話では「売れない商品は売れません。そんな商品に付き合っていてはオマンマの食い上げになるので絶対に売りません。売れる商品だけを売るのが儲かる秘訣です。でも、売れる商品は、そんじょそこらに転がっていません」とのこと。要するに、売れる商材の発掘は容易ではないということである。

店舗開発も容易ではない。これには説明を要しないであろう。マクドナルドの創業者である藤田田さんが、第一号店の出店場所として銀座にこだわったことでも分る。


とまれ、売れる商材の発掘にしても小売店にしても、売れる製品あっての商売である。

製品あっての価格であり、流通であり、プロモーション。ということは、製品あってのマーケティングといえよう。製品なくして商売は成り立たない。

よって、新製品を世に誕生させるR&Dは、マーケティングの花形なのである。ジョンソン&ジョンソンやP&Gといった世界的なマーケティング企業に勤める方々なら周知の事実であろう。

では、どうやって新製品(新商品・新サービス)を作ればよいのだろうか?

新製品を作る第一段階

製品戦略は、文字で読むより図で眺めたほうが分りやすかろうと思い、新製品開発や製品戦略に詳しいサイトを紹介しようと検索してみた。

プロモーション(広告・広報・販促・販売)に関するサイトは星の数ほどあったが、不思議と、製品戦略を詳らかにしているサイトを見つけるのは苦労した。

マーケティングのサイトであっても、製品戦略について(図解を用いたりして)大きく取り上げていないのである。

マーケティングの実務家とって、新製品(新商品・新サービス)を作り出す工程は周知と思っていたが、どうやらそうでもないらしい。


新製品の開発は、アイデア商品を発明することではない。

自社の資産を用い、自社の事業領域で、誰の何を、どのように解決する製品を作り出せるかということである。それが新製品を作る第一段階。

余談だが、この段階で登場するのが有名なSWOT分析。がストレンクス-強み-の枠が埋まらずに悩んでいる実務家も多い。

実務家どころか、強みを見つけられずに悩むマーケティング・コンサルタントには失笑せざるを得ない。

強みが見つからなかったら作り出すしかない。

マーケティング・リサーチ

新製品の開発は「誰の、何を、どのように解決するか」から始まるため、誰が、何を、どのように解決したがっているか調査を行う。

マーケティング・リサーチである。これが第二段階。

これには多大な費用がかかる。中堅中小零細企業には無理難題に近い。

またまた余談だが、中小零細企業でも可能な調査方法を、マーケティング実務の中から筆者は開発した。R&SとV2Wである。これなら、何百万円もの調査予算がなくてもリサーチできる。やろうと思えば、方法はある。その意識の問題といっていい。


調査は、オープン・データとクローズ・データに分かれる。オープン・データは、新聞、書籍、調査会社のレポート、官公庁刊行物など、誰でも閲覧できるデータを指す。

いまではインターネットが普及して、デスクトップで調査できるようになった。せっせと図書館や書店へ通っていた一昔前からすれば信じられない環境である。

とはいえ、オープン・データだけでは本格的な調査とはいえない。重要なのはクローズ・データである。クローズド・データとも呼ばれる。

クローズの中でも、アンケート等を用いた定量調査より、聞き取り調査などの定性調査のほうか遥かに難しい。

調査は足で

「足で調査しろ」と言われるように、閉ざされた情報を知っている人に会って訊き集めるのがクローズ・データ。これには千金の値がつくが、一般人ならばまだしも、企業の担当者から聞き取るのは至難の業である。

会いたい人へピンポイントで会うのも難しければ、インタビュアーの経験値や資質に拠るところもある。

例えば、グルインのインタビュアーを経験したことのある人ならば分ると思うが、冒頭に「話してもいい雰囲気」を作り出せなければ本音を引き出すことはできない。
いかにしてインタビュイイーをリラックスさせるかもインタビュアーの手腕である。

それだけに、それなりのインタビュアーへ依頼する定性調査を外注すると高くつく。
よって、リサーチにン十万もン百万も支払えないのであれば、自らの調査力を磨く他ない。

その具体的な方法は、筆者から直接に伝授された方々ならご存知だと思うが、たいして難しくはない。(難しいのは、ピンポイントで、会うことである)


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