味方が増える戦略を布く-7

マーケティングの解釈は 立場によって異なる

中小企業にも通じる現場型のマーケティングは、少なくとも3つ以上あるという検証の途中で前回は終わりました。3つとは、

1)プロモーションのみ切り取って、マーケティングとして伝えること

2)マーケティングという単語を使わないこと

3)マーケティング部門のみならず、その他の従業員や、経営者にもピンとくる
キーワード、および、定義を創造すること

1)の「プロモーションのみ切り取ってマーケティングとして伝えること」

は、広告、広報、販促、営業を掘り下げることがマーケティングであるかのように流布することでしたね?

チラシを撒こう!広告を出そう!ホームページを作ろう!ということですから、

わかりやすく、とっつきやすく、身の丈に合った費用で済みますので、資金力に乏しい中小企業を、

「これがマーケティングですよ~」

と、だますことができます。なぜなら、プロモーションは、最終的に、利益を圧迫する値引き行為だからです。

値引き行為のススメがマーケティングであるかのように、だまされていませんか?

……ということでした。だまされていませんか?(笑)


2)の「マーケティングという単語を使わないこと」

については、マーケティングの定義や理論、分析ツール等が難しいゆえに、

「自分の仕事とはカンケーねー」

と等閑(なおざり)にされてしまうこと。

なるほど、たとえば、定量調査を突き詰めると、統計学の領域へ踏み込まざるを得ませんし、

一見、仕事とは無関係に思える専門用語が、解説なくしてポンポン出てきますので、難しいと感じるのも止むをえません。

そうした枝葉は置いておくにしても、マーケティングの入り口となる定義からして難しいのは確か。

例を挙げると角が立ちそうなので、控えたいところですが、わかりやすく、某協会の定義を引用しますと、

「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である」

だそうです。ご理解なさいました?


この定義の全文を覚えて、その意味するところを、誰かへ伝えられます?

それに対して、質問があったら、解説して、納得させられますか?

学者ではない実務型の筆者にはムリです ヾ)≧∀≦)ムリムリ

ぶっちゃけ、学問ですから。

それもそのはず、マーケティング定義委員会に名を連ねているのは、大学教授ですので、

学殖になるのは致し方ありませんし、大学や学生、大企業、所轄官庁といった関係者には、学究で良いでしょう。大いに研鑽して下さい。

ところが、稼ぐ以外に余裕のない中小企業にとって、仕事の役に立たない学問は、机上の空論に過ぎません。

役に立たなければ、マーケティングの最終段階を担う重要な営業職であっても「自分の仕事に関係ない」のですよ、マーケティングとやら。


そこで、筆者の場合、話す相手の属性によって、理解しやすいように、解釈を変えて、お伝えしているというところで前回は終わりました。

是この通り、自分の仕事とは無関係で、難しそうなマーケティングという単語を聞いただけで、

「何じゃ?そりゃ」「わかりません」「知らなくても仕事に支障ありません」

と、拒否反応を示す人が少なくないのは事実。

なので、一部の中小企業には、マーケティングという単語を使わないに越したことはありません。

では、マーケティングを、日本語訳して伝えるとしたら?

マーケティングを日本語訳するとしたら?

マーケティングの定義は百家争鳴ですので、どのように理解するか?は、受け取る側の自由で、

・学問として修めたければ、学識者から学べばよし、

・私淑するプロがいれば、そのプロに兄事すればよし、

・わかりやすさ優先であれば、このメルマガを読むもよし、

その中に、納得できる定義がなければ、ご自分で作って降心すればいいだけの話です。

つまり、選択肢は沢山あり、どれを選ぶかは自由なのがマーケティングの定義。

マーケティングに、学説としての正解を求めるのならば、前述の定義を暗記し、理解し、講義できるようになればよく、

仕事で使うのであれば、正解はありませんので、どの定義を信じ、どんな結果を出すか?のみ。

まとめますと、どんな定義を誰が唱えようと、誰の定義を信じようと自由です。

結果さえ出せれば。


その定義よりも、難問なのが、単語です。

マーケティングに、こ難しい定義はあれど、一言で表す単語は、ありません。

これじゃ理解されにくいのも当然です。タイトルのない本のように不完全ですからね。

では、マーケティングを和訳するとしたら、どんな単語になるのでしょう?

十年以上、さんざん探しましたが、見つかりません(探してみて下さい)

では、まず、英語に忠実にMarketingを直訳してみましょう。


マーケティングは、market(市場)にingがついて、動名詞(~すること)になり、

・市場に出すこと(市場で売ること)

という意味ですので、直訳すると、

・市場導入(市場取引)

になります。そうすると、

・マーケター = 市場導入 担当者

・マーケティング戦略 = 市場導入 戦略

のように無理なく訳せます。

結論。Marketingを直訳すると、

マーケティング = 市場導入(市場取引)

です。


「これにて、一件落着」(遠山の金さん風に)

と、しめたいところですが、(銭形平次風に)「そうは問屋が卸さねえ」

マーケティング = 市場導入(市場取引)の語弊

市場導入は、マーケティングの現場でも、よく使われます。ただし、

・市場導入の機会

・市場導入の計画

・今年中に市場導入

のように、マーケティングよりも狭義に使われ、市場導入=マーケティングの解釈ではありません。

つまり、マーケティング = 市場導入の和訳は、現場に即していないのです。


次に、市場取引というと、通常、

・東京証券取引所のような、株式、証券、為替などの金融取引市場

や、

・築地の中央卸売市場のような、肉、魚、野菜の卸売り市場

での市場取引を指しますので、マーケティング = 市場取引の和訳は、実用と乖離しています。


最後に、市場導入というと、新製品や新サービスに偏ってしまうこと。

市場導入 = 新商品発売 という捉え方が一般的(試しに検索してみて下さい)

本来であれば、新商品のみならず、既存の主力商品を垂直展開する、あるいは、水平展開するのもマーケティングですが、

(というよりも、そちらのほうが、新商品開発よりも多いハズなのに)

なぜかしら、市場導入というと「新」商品に限られてしまうようです。

ちなみに、垂直展開とは、掘り下げること。水平展開とは、範囲を広げること。

発明家は、チキンラーメンを開発したら、それでお終いです(即席麺とは別の分野へ食指を伸ばします)が、事業家は、

垂直展開(深耕) … ラーメンにとどまらず、袋入り焼そばも開発する

水平展開(応用) … 袋麺にとどまらず、カップヌードルも開発する

こうして、垂直と水平を繰り返し、既存の売れる商品を軸に、ピラミッド型の商品体系を作っていくのがマーケティングです。


以下余談。

基軸の売れる商品があるにもかかわらず、マーケティングを知らないがゆえに、

主力商品のみ製造・販売し、商品体系へ発展させない中小企業が(特に地方に)多いようです。

そういう経営方針なら分かりますが、気づいていない経営者も結構いるようで、

つくづく、もったいない話です。

Marketingに、直訳はあるが、意訳がない

こうして考えると、マーケティング = 市場導入 の日本語訳の意味は正しいとしても、実態に即していません。

残る日本語は、市場化。

調べ尽くしましたが、直訳するとしたら、この三文字あるのみ。

     Marketing = 市場に出すこと(市場で売ること) = 市場化

です。Marketing = 市場化。「マーケティングとは、市場化することである」

そう定義すれば、商品開発も、技術開発も、生産も、在庫も、仕入れも、流通も、営業も、販売も、提携も、

すべて、市場化に含まれ、マーケティングと同様、包括的に解釈できます。

そうとはいえ、原語のMarketingに相応しく、わかったようで、よくわからない訳ですケドね。


わかったようで、よくわからないということは、Marketingの直訳がないのではなく(直訳は市場化)、直感的に理解できる

            意 訳 が な い

ということです。

では、直感的に理解できるMarketingの意訳とは?

意訳ですから、市場(market)の二文字が含まれていなくても構いません。

どのように訳しても構いません。

この難題、一週間だけ、考えてみてませんか?(筆者は 十数年 考えました)

味方が増える戦略を布く-8へ続く

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