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田中一匹星と世界

お久しぶりである。田中1匹である。夏である。暑いである。前回の投稿から2ヶ月ほど空いてしまった。心のどこかで僕の投稿を楽しみにしていてくれた人が、万が一にでもいたならば、本当に申し訳なく思う。しかし、この2ヶ月の間に僕の身の上に起きた出来事があまりにも過酷すぎた為、甚だnoteを書こうという気力が微塵も起こり得なかったのだ。詳細は割愛するが、簡単に言うと失恋である。愛した女に別れを告げられたのだ。詳細は割愛するが。ていうか割愛の愛ってなんなんだよ。軽々しく愛とか言うな。「もういっそ、全てを投げ出してどこか南の方の国に移住してサンバを踊ったりしたい。」そう友に語った一匹であったが、その刹那、「果たして、俺にとって、"全てを投げ出す"とは何だ?」という一つの自問が脳内を駆け巡った。職を自ら投げ出し、愛した女には手放されてしまった惨めな男にとって、他に投げ出せるものがあるとすれば、switch用ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」ゲーム内で、我が島に暮らすお気に入りの住民「ペンタくん」の将来くらいなものである。なんとも空虚な気持ちになった。そんなこんなでしばらくは酒に溺れていた為、何も手につかなかったのである。

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先日、星が綺麗で有名な某キャンプ場にて、ペルセウス座流星群を友達数人と観測した。流星群という言葉の響きはなんとも魅力的だ。青春の青さも感じるし、はたまた少し大人びた印象も受ける。モラトリアムを今なお勇ましく堂々と生き続ける22歳の男にぴったりな言葉だと、そう感じた。その日は少なくとも8つ程の流れ星を見た覚えがある。願い事を3回唱えれば叶うという例のアレだが、大した願い事が咄嗟には思い浮かばなかったため「飯飯飯」と唱えておいた。これでしばらく飯には困らないだろう。それにしても、あんなに素敵な夜はいつぶりだろうか。まだ明るい時間から大自然の中で麦酒を飲み、ギターを弾いて、みんなで寝転がって空に降る星を見た。友人のカンタくんにギターを教えて欲しいと頼まれたので、僕の好きなコード進行を教えてあげると、まだ拙い運指で掠れた音を出して、喜んでいた。まったくかわいいやつである。「ギターが上手くなりますように」と、あの時ちゃんとお願いしたのだろうか。

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最近、スマホのカメラで星を写せるアプリを見つけた。その名も「星撮りくん」。なんという安直なネーミングなんだろうか。でも、あの瞬間の夜空をこうして残せたからよかった。

あの夜には、世界の全てが詰まっていたような気がした。人間のあるべき姿だった。友達がいて本当に良かった。音楽があって本当に良かった。酒があって本当に良かった。目が見えて、耳が聞こえて、匂いを感じれて、触れられて、食べれて、本当に良かった。心からそう思った。いつかみんなが"立派な大人"というものになったとしても、例えば星の降る夜だけは、また戻ろうよ。少し臭いか。少しどころじゃないかも。ひとつ分かった。友情だけは、絶対に投げ出したりしない。やはり僕は南の国でサンバは踊れないよ。

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