サカナクション・オンラインライブ感想8/15・16
8/15・16と配信されたサカナクションのオンラインライブ。二日ともリアルタイムで見た感想です。
非日常感覚を体験できた素晴らしいオンラインライブでした。
<セットリスト>
前半 ー深海・中層ー
1.グッドバイ
2.マッチとピーナッツ
3.(前略)リキッドルームに
4.ユリイカ
5.ネイティブダンサー
6.ワンダーランド
7.流線
8.茶柱
9.ナイロンの糸
10.ボイル
後半 ー浅瀬ー
MC
11.陽炎
12.モス
13.夜の踊り子
14.アイデンティティ
15.多分、風
16.ルーキー
17.ミュージック
18.新宝島
MC
19.忘れられないの
20.さよならはエモーション
前半は「ミュージッククリップの生演奏」と言うべき映像美、後半は「ヒット曲を中心としたスタジオライブ」という楽しさを味わうことができた。
冒頭は、15日は21:05から、16日は19:10からスタート。
今か今かと待ち構えていたときに、スポンサーである参天製薬の「エヴァンゲリオン」目薬のCMだったのは二日とも同じ。
映像は自販機前で立っている山口一郎の姿を映して始まる。
彼は白一色に身を包んでいる。照明による映像美を追求した今回のライブのためだろう。しかし、スニーカーはナイキ。これはゆずれないらしい。
彼はスマホを手にしていて、それは同じ画面を映している。それを確認してか、彼は歩き出す。まるで、工場のような敷地内を歩く。音はかすかに漏れている。「グッドバイ、世界」というコーラスがする。
ここでファンの予想は裏切られるだろう。834.194ツアーでは、ラスト曲が「グッドバイ」だった。ちがう曲ではないかと僕は思ったが、工場みたいな建物のドアを開けたとき、それは明確に届く。
1曲目のグッドバイは、赤あるいはオレンジを基調にした照明で画面は染まる。
山口一郎だけではなく、メンバー全員が白一色の衣装だ。まるでミュージッククリップのような映像美。だが、当てふりではなく、ライブであることが、耳にはっきりと伝わる。
一日目に比べて二日目になると、山口一郎のアコースティックギターの音がはっきりと聞こえたのだが、これは僕の耳が馴染んだせいだろうか。
2曲目は「マッチとピーナッツ」。このような曲を二番目に持ってくるのはオンラインライブならでは。画面は青色に染まり、様々な映像がフラッシュカットのように重ねられる。
一日目は女性の正面顔がやたらと映った印象があったが、二日目は変わっていたのは僕の気のせいだろうか。
3曲目は「リキッドルーム」。今度は白が基調である。俯瞰的なカメラワークが曲調と合っている。音楽がもたらす心象風景のカメラワークというものを、サカナクションというバンドは相当に意識しているように感じるが、この曲の前奏の空間の広がりと、今回のカメラ映像はとても合っていた。
1曲目は赤、2曲目は青、3曲目は白、とハッキリと色を変えているのが印象的であり、この後、音楽を聴くだけでもこの映像が浮かびそうだ。
4曲目は「ユリイカ」。そうそう、1曲目からMCはなく、山口一郎はしゃべることなく、まるでミュージッククリップのように歌い継がれる。その曲同士の展開も見事で、二日目には次の曲がすぐにひらめいたぐらいだ。
この「ユリイカ」は曲の内容と同じく、東京の街並みと街路樹などの映像が、背景だけでなく前面にも映される。どういう仕組みなのだろう。
そうそう、このオンラインライブ、15日はファンクラブ会員限定、16日は誰でも観ることができたが、それ以外にも16日には歌詞テロップを表示する予定だったらしい。これは、Youtubeで過去ライブを歌詞つきで配信したところ、好評だったからだ。
しかし、16日にインスタライブで、山口一郎とスタッフにより「リハーサルで歌詞テロップをつけてみたが、映像を阻害するのは問題があると判断し、二日目も字幕はなしにする」と発表。これは一日目の映像美に感動した視聴者にとっては納得だっただろう。
僕はまだ、サカナクションを聴き始めて一か月半のニワカなので、歌詞があやふやな部分が多い。特に、この「ユリイカ」は歌詞を理解しきれていないところがあるので、歌詞テロップをつけたほうが、もっと曲を理解できたかもしれないが、それは後でもできること。
また、改めて、この「ユリイカ」は観なおしたいものだ。
5.ネイティブダンサー
ここまで、最新アルバム「834.194」の収録曲ばかりだったが、この曲は3rdの「シンシロ」収録。ただし、曲の導入部は前曲と繋がっていて、ベースラインが変化したあとで、あの印象なピアノが聴こえるという展開。
この曲を観ながら、改めて「白一色にナイキのスニーカーは似合わねえな。でも、山口一郎だから仕方ない」とファンは思ったであろう。
6.ワンダーランド
そして、ノンストップでこの6曲目。おそらく、今回のライブのハイライト曲の一つであろう。
白のギターピックを高く掲げたとき、まるで照明は天使が降臨するかのように神々しく輝き、そのピックがあたかも天使の羽根のように見える。
そして、サビはノイズが音だけでなく画面にも浸食する。一日目に初めて見たときは驚いたものだ。生配信でここまでの演出効果が出せるものかと。
このオンラインライブの反応で多くの人が、この曲がインパクトに残ったというに違いない。
7.流線
ここで、少し間があいてから、この「DocumentaLy」収録曲に。
初日は山口一郎のドアップが印象的だったが、二日目はドラムの江島のドアップもあったと思う。
8.茶柱
この曲は照明のセットが置かれて歌われた。初日は屋上の青い照明をずっと映していたが、二日目はセッティングするところも映されていた。
ライブの注目点として、スタッフのセッティングの手際の良さがあげられるが、チームサカナクションの優秀さは、曲の合間に感じることができた。
9.ナイロンの糸
そして、この曲はまるでレンズのように山口一郎が映されていた。これもまた生配信とは思えない演出である。
10.ボイル
前半最後は、アルバム「サカナクション」収録曲。二番の歌詞をまくしあてたあとのため息は、ライブならではの臨場感。
二番のサビからは、まるで扉が開いたように白い光が現れる。まさに「天使降臨、ふたたび」だった。
こうして10曲が休みなしに歌われたあとで、ようやくMCが始まる。
「みなさん、踊りましょうか?」という山口一郎のMCだが、二日目はしゃべる内容を忘れてしまったのか、カンペ見まくりだったように感じる。
11.陽炎
ここからは後半。「スナックひかり」というセットを舞台にして歌われる。これぞ、ミュージッククリップとライブが入り混じった面白さ。
このスナックひかりにはサインが飾られていて、初日に橋本環奈と川谷絵音は確認。二人ともサカナクションの熱心なファンとしてはおなじみである。二日目に今度こそ全員確認しようと思っていたが、曲に集中していたせいか見落としてしまった。
二番のサビのあとで、スナックひかりからステージにカメラが移動するのだが、二日目には、このときなんと山口一郎が寝そべっていて笑った。
12.モス
ここからは、ライブをさらに濃くしたような演出。特に二番の間奏のあとの「パン!」で、照明が一瞬で切り替わるのが、とんでもなくカッコいいのだ。
Youtubeで、ライブ映像が期間限定公開されているので、改めてチームサカナクションの仕事ぶりを堪能しよう。
13.夜の踊り子
おなじみの二人の舞妓さんが現れて、この曲に。舞妓さんの動きはマネできないが、山口一郎の踊りをマネすることはできる。この人は本当に楽しそうに踊る。僕は歌ったり踊ったりできない環境でこのライブを見たので、動くことはできなかったが、山口一郎のダンスを見るだけでもハッピーになれた。
14.アイデンティティ
初日、二日目とも「みんな、アイデンティティは歌える?」と声かけをして始まる。もちろん、サカナクションのファンで歌えない人がいるはずがない。
15.多分、風
この曲用であろう上着を羽織って歌われた「多分、風」。前半を観たときの「なるほど、このオンラインライブは映像美を楽しむものなんだな」という思いは、もう吹っ飛んでいることだろう。
16.ルーキー
そして、黄色の三角の照明のあと、目もくらむような単純なパターンの音から緑色の空が広がる。あるいは、あれは夜の海なのか。
歌詞カードには記載されていない「ミエナイヨルノツキノカワリニヒッパッテキタアオイキミ」というコーラスが、ライブでは前面に出されている。
また、一番ではギターとベースのダブル太鼓がこの曲の見どころ。
あと、最後のサビの前にライブ名を読み上げるところなど、この曲はライブ映えするんだなあと確認。
17.ミュージック
メンバーが全員サングラスをかけて前に集まり、おもむろにマックブックを起こす。僕は適当にDJスタイルと呼んでいるんだが、あの布陣にはちゃんと名前がついてそう。
で、このタイミングで歌うとなれば「ミュージック」でしかない。
この曲は僕がサカナクションのファンになった思い入れのある曲。初日、二日目とも良かった。この先も何百回以上も聴いていたい。
18.新宝島
こうして、この曲のイントロが始まる。ああ、もうすぐ終わるんだな、とさみしい気持ちになってしまった。
ミュージッククリップと同じく、チアガールが出てくる。
ギターのモッチさんがミュージッククリップと同じ、真面目な無表情でステップを踏んだり、ギターソロではチアガールのボンボンに覆われるところが面白かった。
MC
ライブが開催できない状況で、このようなオンラインライブを開催できるようになった感謝を山口一郎が伝えるMC。
これは初日の「オンラインライブだって面白いよね、モッチ?」と感極まって、モッチさんに無茶ぶりする山口一郎が感動的だった。ファンクラブ限定配信を観た人だけの印象的なシーンだろう。
19.忘れられないの
本編最後という形で、最新シングルが歌われる。
ミュージッククリップと同じ振り付けて、紙吹雪が舞うステージはラストにふさわしい華やかなものだった。
20.さよならはエモーション
スタッフロールが流れながら歌われる曲。もちろん、これも生演奏である。しかし、曲がおわってもスタッフロールは終わらなかった。いかに多くの人がこのオンラインライブに関わったかということだろう。
メンバーがステージから降りて、スタッフたちとハイタッチをしたり声を交わす。これは演出だとしても、見ていたら感動してしまった。
ということで、8/15と8/16と二日間、このオンラインライブを楽しんだ感想である。もともと、僕は8/15分のチケットしか買っていなかったのだが、結局、8/16分も購入してリアルタイムで見た。それだけ感動したということである。
約2時間、全20曲でありながら、展開といい構成といい、二日続けてみても目や耳も飽きることはなかった。
まだ、サカナクションの生ライブを見たことがない僕には、オンラインライブと生ライブの違いを語ることはできない。
ただ、僕は生ライブを見たときのような高揚感と感動を、今回のオンラインライブで感じることができた。
サカナクション、そして、チームサカナクションの皆さんに感謝を。ありがとうございました!