タナイスの走光性(Okamoto & Kakui 2023)
私が関わった論文の短い紹介.
”タナイスにおいて初めて実験的に走光性の存在を示した研究”
Okamoto & Kakui (2023) は,指導学生である岡本暢躍さんが主導した研究の成果です.沿岸域で見つかるナミタナイス属のタナイスの2種(エゾナミタナイスとエンピツナミタナイス)が走光性を示すことを実験的に明らかにしました.走光性を持ったタナイスの存在は過去に示唆されていましたが,今回,初めて実験的に明らかにされました.
興味深いことに,同じ属に含まれる(つまり比較的近縁な)2種の間で走光性の向きが異なっていました.海藻の上に棲むエゾナミタナイスは正の走光性,つまり光に寄っていく性質を持ち,泥の中に棲むエンピツナミタナイスは負の走光性,つまり光から離れていく性質を持っていました.