タナイスの2新種(Sato et al. 2023)
私が関わった論文の短い紹介.
”日本の浅海域からタナイスの2新種を発見,報告”
Sato et al. (2023)は,指導学生の佐藤あかりさんが主導したタナイスに関する研究成果です.三重県沖の熊野灘の水深113–185 mより得られた標本と沖縄県備瀬崎の潮間帯から採集された標本の研究を行ったところ,それぞれ名前のついていない種(未記載種)だと判断されたため,前者をChondrochelia sublitoralis (ツツソデタナイス),後者をNeoleptochelia japonica(カギシッポタナイス)という学名で新種記載しました.なお和名である「ツツソデタナイス」は,本種のハサミ状の脚の前腕にみなしうる部分が細長く筒状の袖のように見えたことに因み,「カギシッポタナイス」は短い尾肢で特徴づけられる本種を「かぎしっぽ」と呼ばれる尻尾の短い猫に見立てたものになります.
今回研究を行った2種の含まれるホソツメタナイス科は,特に南日本の浅海域に多産しますがかなり分類の難しいグループであり,研究が進んでいませんでした.今後は名付けた種を用いた発展的な研究展開も期待されます.
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