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ウミナナフシの模様の種内変異(Shiraki & Kakui 2024)

私が関わった論文の短い紹介.

”ウミナナフシの模様はいつも同じではない”

Shiraki & Kakui (2024) は,指導学生の白木祥貴さんが主導したウミナナフシに関する研究成果です.モヨウウミナナフシ(Mesanthura miyakoensis)が属するMesanthura属は,体の模様が分類上重要視されていましたが,個体発生に伴って模様が変化するのかしないのかという,模様の種内変異に関する情報はありませんでした.本研究ではモヨウウミナナフシのメスとオス(メスからオスに性転換すると考えられている)の様々な段階の生体を観察・模様を調べたところ,オスやごく幼い時期のメスの模様は,それ以外の時期の個体の模様と異なることが明らかとなりました.現在分類に主に用いられているのは,オスやごく幼い時期のメス以外の時期の模様ですが,過去にはオスの模様も用いられたことがあります.本研究結果からは,今後オスの模様を分類に用いるのは避けるべきだと判断されます.

今回のような種内変異の調査は地味な研究ですが,今後より適切な分類を行っていくうえで重要な情報を提供するものです.

図:モヨウウミナナフシの様々な段階の模様;スケールは揃えていない

論文詳細
Shiraki S, Kakui K (2024b) Ontogenetic changes in pigmentation pattern in Mesanthura miyakoensis (Crustacea: Isopoda: Anthuridae). Zoological Science 41: 323–328.

doi: 10.2108/zs230122


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