お気に召すまま/シェイクスピア
牧歌という理想郷的自然。それほど人工的な夢想はない。
そこは自然の見せかけで彩られてはいても、あまりに人間じみた時のとまった世界である。
『シェイクスピアの生ける芸術』のなかで著書のロザリー・L・コリーは、シェイクスピアの『お気に召すまま』について、こう書いている。
このロマンティック・コメディの大枠の構造は、まさに標準的な牧歌劇の型―― 追放や出奔の後、自然界で休息=再創造(リクリエーション)としての滞在をし、そしてついには、流謫の地から「本来の住処へと」帰還する、それ