マガジンのカバー画像

ビブリオテーク

178
読んだ本について紹介。紹介するのは、他の人があまり読んでいない本ばかりかと。
運営しているクリエイター

2019年6月の記事一覧

潜在的イメージ/ダリオ・ガンボーニ

「作品にとっての名誉も、作品の評価も、作品の寿命も、すべて私たちの一存で決まる」と女神は言った。 少し前に紹介した20世紀初頭のフランスの作家シャルル・ペギーの『クリオ』の中で、主人公である歴史を司る女神で、ムーサ9柱の1人、クリオの言葉だ。クリオはそのあと、こう続ける。 「たかが評価とも思うかもしれないけど、作品をめぐる評価は、作品が存在することそれ自体に等しいから、決して軽視すべきではない」と。 クリオが言及するのは文学作品のことだけど、文学作品に限らず、美術でも音

クリオ 歴史と異教的魂の対話/シャルル・ペギー

昨年の秋くらいからだろうか。 読む本の雑多性が増している。 面白そうと思えればジャンルなど気にせず読んでいる。特に読んでいる本のなかで紹介されて興味をもった本があれば、その瞬間にamazonで調べて購入することも多い。 残念ながら絶版になってる本も多いのだけど、売っていれば基本的に買う。届いてすぐ読むかは別物だ。 だから、読みはじめるときには、どんなきっかけで買ったのかを忘れてることもしばしば。何かの本で紹介されてて買ったのは覚えてても、それがどの本だったか思い出せない。

シャッフル航法/円城塔

創造力を高めるためのスキル。 そのスキルがちゃんと身についていないまま行う創造的作業は結果に繋がりにくい。 そういうことが往々にして起こってしまうひとつの要因として、創造の道具としての言語の力を僕らが過小評価していることがあるのではないか。 言葉は僕らの考えを縛る。どんな語彙を使えるかで何を考えうるかの範囲は変わってくる。 また、言葉の巧みな組み合わせで、その限界を突破できるかどうかも、言語化のスキルによって随分異なる。 当たり前のことばかりしか考えられないのは、当たり前