完全言語の探求/ウンベルト・エーコ
言語というものは何にも増して思考の道具であるのだから、言語の完全性、普遍性を問うたヨーロッパにおける試みの歴史を辿るこの一冊が自然とヨーロッパ思想史となるのは当然だと感じたのは、500ページを超えるこの大著『完全言語の探求』を5分の3程度読み終えるか終えないくらいだっただろうか?
とにかく読んでよかったと思える一冊だった。
「ヨーロッパ史の始まりを確定するのに十分なデータはどこに見いだされるのであろうか」とエーコは問う。「政治や軍事にかんする大事件では十分でないとするならば