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言葉とイメージの狭間で

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ヨーロッパ文化史に関する話題を中心的に扱いながら、人間がいかに考え、行動するのか?を、言葉とイメージという2大思考ツールの狭間で考える日々の思考実験場
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2019年3月の記事一覧

キュレーションと創造

いまの時代に必要な創造的なビジネススキルの1つがキュレーションする能力なのではないかと最近思っている。 さまざまな人々のさまざまな創造的な成果や活動を集合させ、それらを組み合わせたものを見せたり、語ったりする。そこから個々の要素それぞれからだけでは生まれない、ストーリーやメッセージを生みだすキュレーション的な創造。 そうした創造的行為が、このさまざまな問題が幾重にも複雑に重なりあった時代における問題解決やムーブメントの創出には必要なのではないかと思うからだ。共創なんて言葉が

面白い仕事をつくる

200本目のnote。 1年と3カ月ほどで到達。まあまあのペースで更新できてるのかなと思う。 さて、1つ前の「知ることと創造と。」といnoteで、僕自身、仕事をする際に大事にしてることは「自分自身で力が湧いてくるような環境を整えること」だと言い、具体的にはどういうことをしているといえば「取り組む仕事を面白いものになるようデザインした上ではじめること」だと書いた。 もうちょっと、そのことについて書いてみたいなと思ったので書く。 200本目にして自己紹介をしてみようと思ったの

知ることと創造と。

創造とは異なる物事同士がこれまでとは違った形で出会うときに生じる。 すくなくとも人間的な意味での創造とはそういうものでないかと思う。 これまで重なりあったことのない2つ以上の物事同士の結合は、出会いの時点ではある意味、キメラ的で、怪物的である。その出会いはなんとも落ち着かないし、不安を募らせる。 こんなものが存在していいのか? 多くの者は疑問を感じるか、無視するかするだろう。 ゆえに、創造はなかなか成就しない。 その落ち着かなさや不安の裡に、新たな意味を読みとることが

目利きとファシリテーション

大正から昭和にかけて活動した、青山二郎という骨董収集鑑定家がいた。 子供の頃から眼力を発揮して、柳宗悦らの日本民藝運動の設立にも関わるが、後に退いた。 青山の元には、小林秀雄、河上徹太郎、中原中也、永井龍男、大岡昇平、白洲正子、宇野千代といった錚々たる文人たちが集まり「青山学院」と呼ばれた。小林秀雄は「僕たちは秀才だが、あいつだけは天才だ」と青山を評したと言われる。 本気であっても面白半分 青山学院に集まった弟子のひとり、白洲正子の孫にあたる白洲信哉は『天才 青山二郎の

まわりからいなくなって

悲哀を感じる。 まわりにあったものが失われたことに気づくとき、そこには悲しみや寂しさが漂うものだ。 そして、多くは勝手に失われるわけではなく、人的行為によっての喪失だから、気付いた時の哀しさは増すばかり……。 マリオ・プラーツの『ローマ百景』は、「私はローマの脈に触れ、その息を心配しながら見つめてきた」プラーツが「ローマに対して私は重病人の枕元に立ち会う動揺した証人の立場にあったことに気づい」て書き綴ったさまざまなコラムを集めた本。何かが失われていく場面、失われた場面に出く

人工物としての自然

風景ははじめからあったわけではない。 そのことに僕らは気づくべきである。それ自体が人工物であるということに。 奇妙に思われるかもしれないが、何世紀もかかってようやく画家たちは気づいたのである、風景は主題の背景として役立つだけでなく、それ自体で主題になりうることに。 こう書くのは『ローマ百景』のマリオ・プラーツ。 風景画の誕生をプラーツは、「この絵画革命は17世紀前半ローマでなされた」とする。 それまでの絵画における風景は、前景の人物たちが織りなす歴史的ドラマのあくまで

ただいま!終わりの記念碑

ただいま。 いま帰ったよ、大好きな文化史‼︎ この半年弱、とあるプロジェクトで構想を練り、そのプロジェクトのクリエイティビティを高めるための会話をするために最低限の知識を得るために、現代哲学から始まり、科学人類学やエコロジー、生物学や宇宙生物学、生態系に関する科学書や意識の進化を扱った本などを読み漁ってきたのは、このnote上でも紹介してきたとおり。 読んだ本はどれも面白く興味深かったのは間違いないし読んで後悔してるなんてことはこれっぽっちもないのだけど、その一方で本当に読

自分のことが制御不能

ほんとダメだなーって思う。 良いと思うことをしようとしても、何かバランスを崩して、選びたくない行動を選択してしまう。 思いが強すぎるときほど、調整に失敗すると気持ちの制御がむずかしくなる。 我ながら本当にダメだなと思う。 信頼してる仲間のことも悩ませるような選択さえしてしまう。 相手を不必要に悩ませるし、あとになって自分も後悔する。 本当に何の言い訳もないほどに、ダメだと思う。なんて自己コントロールが下手なんだろうと悲しくもなる。 より良いものを目指して挫折したなんて