見出し画像

「言葉が遅い」子どもにおすすめの絵本15冊

お子さんの言葉の発達が遅れていることでお悩みの方も多いのではないでしょうか?

この記事では、言葉の発達がゆっくりなお子さんに対しておすすめの絵本を厳選してご紹介しています。

私は主に小児分野の言語聴覚士で8年間働いてきましたが、その中で数多くの絵本を読み聞かせしてきました。

これを読めば言語聴覚士が実際に仕事でお子さんに使っている絵本を知ることができますよ。


「言葉が遅い」とは?

「言葉が遅い」ということは、同じ年齢・年代のお子さんに比べて言葉の発達がゆっくりであることを指します。

実は、「言葉が遅い」と一言で言っても原因には色々考えられます。

  • 運動機能の発達の遅れ

  • 聴力障害の可能性

  • 口腔機能の発達の遅れ

  • 知的障害の可能性

  • コミュニケーション面の発達の遅れ

詳しくはこちらの記事にてお話ししています↓

https://note.com/tanaharu_st/n/n9aad9402ea10

この原因の1つだけが当てはまる場合もあれば、複数当てはまる場合もあります。

また、現時点では1つだけしか当てはまらなくても、成長するに従って別の原因も出てくることもあります。

逆に年齢とともに言葉の発達が追いついて遅れが見られなくなることもあります。

いずれにしても、非常に個人差が大きいので他のお子さんとの比較は難しいお悩みであると言えます。


言葉の発達に必要なこと

言葉の発達に必要なこととは、主に5つあると考えています。

  • 耳の聞こえが悪くないかどうか?

  • こちらが言っていることが分かるかどうか?

  • 他の人に対して興味があるかどうか?

  • 真似することが増えているか?

  • 声を出すことが増えているか?


Instagramでは『話し始めに必要なちから5』としてご紹介しています。


こちらも合わせてご覧ください↓

言葉の発達に必要なことはこれだけではありません。

しかし、ベースとしてこの5つは必要不可欠だと言えます。

お子さんにこれらが揃っているか確認できましたか?

もし当てはまらない項目があったら、特にこの記事の続きを読んでみていただきたいです。


言葉の発達を促すトレーニングとしての絵本

親として「言葉の遅れを何とかしたい」という気持ちが出てくるのは当然のことです。

そんなとき、私がおすすめしているのは絵本の読み聞かせです。

絵本を使った言葉の促しはお家で誰でもできるのがメリットです。

ぜひお家でも、言葉の発達を促すお手伝いとしてこれらの絵本が役立つと嬉しいです。


それでは15冊、順番にご紹介していきます!

おすすめ絵本その1 あかちゃんのあそびえほんシリーズ(全14巻)

『あかちゃんのあそびえほん』シリーズの特徴はページを縦に使った大胆な構図です。

見開きいっぱいに1匹の動物や人、時に恐竜(怪獣?)が描かれており、迫力満点。

それぞれがしかけになっているので、ページをめくりながら「いないいないばあ」をしたり食べたり。

『あかちゃん』と銘打っていますが、自分でめくれる年齢になっても自分でパタパタとページを行ったり来たりして絵の変化を楽しめます。

ボードブックなので丈夫なのも嬉しいポイント。

生活習慣が自然と学べる内容なのも良いですよね。

赤ちゃんの出産祝いにセットでプレゼントしても良いかもしれません。

世代を超えて愛されている絵本です。


おすすめ絵本その2 ディズニーしかけミニえほんシリーズ

「親としてはキャラクターはあんまり…」という方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、お子さんの興味を引き出すためであればキャラクターの力も借りて良いと思います。

この『ディズニーしかけミニえほん』シリーズは持ち運べる小さなサイズ感、ボードブックでめくりやすい、しかけが楽しいという三拍子揃った絵本。

「誰がいるかな?」と会話の引き出しも増やせます。

お子さんが必ずしもキャラクター名を知っている必要はありません。

私はキャラクター名を知らないお子さんであれば「ウサギさん」「トラさん」と動物名で読みます。

お子さんが「何だか面白かった、また読みたい」と思えればそれで十分目的は達成です!


おすすめ絵本その3 ぞうくんのさんぽシリーズ(全2巻)

言わずと知れた名著ですので、ご存知の方も多いと思います。

シンプルな背景に限られたキャラクターと文、繰り返されるストーリーが分かりやすい。

そして1番の魅力は子どもがワクワクする「オチ」にあります。

子ども心に(来るぞ、来るぞ…)と思っていたらやっぱりー!という想像を引き出す展開が待っています。

ちなみに同シリーズでは、こどものとも年中向きで2006年『ぞうくんのあめふりさんぽ』、2010年『ぞうくんのおおかぜさんぽ』、2016年『かめくんのさんぽ』が発売されています。

そして待望の最新刊『ぞうくんのおおゆきさんぽ』が2022年1月のこどものとも年中向きにて発売されました。


これらは月刊誌のため店頭からなくなってしまうとバックナンバーの取り寄せが必要になります。

いつか製本された絵本として書店に並ぶ日が来ると良いですよね。


おすすめ絵本その4 だるまさんシリーズ(全3巻)

発売当初はどうしてそこまで子どもを惹きつけるのか分からなかった『だるまさん』シリーズ。

しかし、乳幼児でも分かりやすい要素がたくさん盛り込まれていることが分かりました。

一音ずつ区切る音の分かりやすさ、横揺れの真似しやすさ、オチのコミカルさ、繰り返される流れ。

個人的におすすめなのは『だるまさんの』で、身体部位を楽しみながら知ることができます。

『だるまさんと』でフルーツの仲間たちが続々出てくるのも、とても可愛いです。


おすすめ絵本その5 これなあに?かたぬきえほんシリーズ

ボードブックで丈夫なのはもちろん、色や形がはっきりしていて、とても見やすいです。

穴あきのページをめくりながら、隠れているものを推理していく絵本です。

ページをめくるたび段々動物や乗り物が増えていく仕組みに。

色名がひらがなと英語で表記されているので、赤ちゃんしかけ絵本としながらももう少し上の年齢にも向けて作っている印象です。

シリーズが続々と発売されているので、集めていくのも楽しそう。


おすすめ絵本その6 くつくつあるけのほんシリーズ (福音館あかちゃんの絵本)(全4巻)

シリーズと言っても内容的には独立している4冊です。

『くつくつあるけ』は登場するのが靴だけなので、注意の方向性が定まりやすいです。

また、オノマトペ(擬音語)もふんだんに使われており、音声模倣も促しやすい作品です。

ーーーーー

赤ちゃんが布に隠れて少しずつ手や足を出していきます。

読みながらお子さんの身体を一緒に触ってみたりして、身体部位の理解にも使える一冊。


ーーーーー

『きゅっきゅっきゅっ』

食べることに興味が出始めたお子さんに。

主人公の赤ちゃんと一緒に動物のぬいぐるみがこぼしたスープを拭いてあげる、という動作模倣を楽しみながら促せます。

ーーーーー

私の言語リハでは最も人気があった絵本かもしれません。

色のコントラストがはっきりしている見やすさもあるかと思います。

お月様の表情の変化から心の動きを知り、挨拶言葉を学ぶきっかけにも。

背表紙のお月様に合わせてアッカンベーを誘って真似するかどうかも、ST的目線で見ていたりします。

カバーもついてくる4冊セットでプレゼントにしても良いかもしれません。


おすすめ絵本その7 がたんごとん がたんごとんシリーズ(福音館あかちゃんの絵本)(全2巻)

オノマトペの軽快さが乗り物好きのお子さんにヒットする作品です。

「乗せてくださーい」と、どんどん汽車に乗ってくる果物や動物たち。

シンプルなストーリーだからこそ、繰り返される先の展開に安心しながら読めるのでしょう。


おすすめ絵本その8 トーマスのいろのえほん (はじめてトーマス)

トーマス好きのお子さんにはこちらの本もおすすめです。

よく色の学習をする際には、お子さんの「好き」に関連して覚えることが早道とお伝えしています。

こちらの本は原色のみで線も太くはっきり描かれているため見やすいだけでなく、ボードブックでめくりやすい作りになっています。

色は緑・青・黒・白・赤を学習することができます。

2002年の本なので書店に並んでいることはほぼないのですが、古本で手に入れることができますよ。


おすすめ絵本その9 このいろなあに (あかちゃんとおかあさんの絵本 7)

『ねないこだれだ』でおなじみのせなけいこさんの作品です。

色への興味を育むきっかけとして、こちらの絵本もよく読み聞かせに使っていました。

子どもにとって身近なものたちが登場して次々とリンクしていくので物語としても楽しい!

最後は「おやすみなさい」で終わるので、ストーリーの終わりも理解しやすい構成です。


おすすめ絵本その10 かお かお どんなかお

実は顔の表情だけをシンプルに描いた絵本はそんなに多くありません。

表情の理解が苦手なお子さんにはピッタリな一冊。

読み手も同じ顔をしてみて、お子さんにも促して全員で真似っこしてみることで理解が深まります。

持ち運びにも良いミニえほんもあります。


おすすめ絵本その11 たべたのだあれ (どうぶつあれあれえほん)

こちらは『きんぎょがにげた』でおなじみの五味太郎さんの作品です。

絵の中から動物が食べた食べ物を探し出すゲーム要素の強い絵本です。

ある程度絵本に興味が出てきたお子さんに、ページをじっくり見ることを目的に使っています。

意外な場所に隠れている食べ物を見つけるのは結構難しいので、お子さんの目の動きや注意の向きなどを知ることもできます。


おすすめ絵本その12 かくしたのだあれ (どうぶつあれあれえほん)

こちらも同じシリーズのかくれんぼバージョンです。


隠すページにいる動物たちの数がどんどん増えていくので、難易度も上がっていきます。

見つけたものを指差しで伝える練習にもなるので、絵探しの本は一冊持っていると便利です。


おすすめ絵本その13 ノンタンシリーズ(全23巻)

言わずと知れた作品で、ノンタンという白い子猫のキャラクターが様々なことに遭遇していきます。

ストーリー性があるため、ある程度の長さの読み聞かせを聞いていられるお子さん向きの作品です。

ノンタンが失敗したり上手く行かないことがあったとき、どうしようか…とお子さんと一緒に考えるきっかけ作りにも。

キヨノサチコさんの描くノンタンの天真爛漫な可愛さに、つい何冊も購入して揃えたくなってしまいます。

もう少し内容が易しめでストーリーの短い赤ちゃん版から入るのもオススメです!


おすすめ絵本その14 おはなしパズルえほん―きかんしゃトーマス (きかんしゃトーマスとなかまたち)

絵本と言っても、見開きで左側がお話、右側がパズルになっています(見開き7ページで7種類分)

トーマスが好きなお子さんには、お話を読み聞かせて最後まで聞いていられたらパズルもできる!という2倍楽しめる本です。

パズルは1セット24ピースで、同じくらいのサイズのピースで構成されたやや難易度の高いものです。

ですので、20~30ピースのパズルができるようになってきたお子さん向きです。

裏表紙にパズルの一覧があるので、お子さんにどれをやりたいか聞いて選択してもらう練習にもなります。

本棚に立てて収納するとピースがバラバラになりやすいので、管理の際は横置きで。


おすすめ絵本その15 日本語オノマトペのえほん

こちらは子どもに読み聞かせる絵本というよりは、自分で絵本を読めるお子さんや大人向けの絵本になります。

日本語は世界の中でもオノマトペ(擬音語・擬態語)が多い言語だと言われているそうです。

あなたはどれくらいオノマトペの語彙を持っていますか?

お子さんの言葉を増やすためにも、まずは大人が言葉を知っていなければ…

そんな時、とても可愛い動物たちのイラストとともにオノマトペの語彙を学習していけるのが本書です。

私はたまたま図書館の新刊本で出会い、すぐに手元に置いておきたく購入しました。

ふと、これはどう表現するのだろう?と思ったときに辞書的に開いて使うのも良いかもしれません。


まとめ

多くの絵本を読んできた中で、実際に言語リハで使ってきた絵本を15冊+α選んでみました。

絵本を選ぶ際には、お子さんの興味に合わせながら、ぜひこの記事も参考にされてみてくださいね。

絵本を使って言葉の発達を促すことにより、「言葉が遅い」というお悩みが少しでも解決できればと願っています。


Instagramでは『言語聴覚士が実際に愛用!絵本5選』としてご紹介しています。

こちらも合わせてご覧ください↓

よろしければサポートお願いいたします⸜❤︎⸝‍ 全額教材の開発費用に充てさせていただきます!