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勇気と、勇気に似たもの②〜利己と利他〜

リコと、リタは、双子の姉妹だった。
双子の姉妹は、小さなアオムシ🐛なのだった。
葉っぱを食べて、大きくなる途中。
葉っぱのてっぺんで、ふたりは、話す。

アンパンマンと、じこぎせいのせいしん

リタ「わたしは、昨日、アンパンマンを見た」
リコ「へえ」
リタ「アンパンマンは、わたしによく似ている」
リコ「じこぎせいのせいしん、って、やつだね」
リタ「じこぎせいの、せいしん?」
リコ「だって、自分の顔、食わせてるからね、ヤツ。ヤバ」
リタ「でも、ジャムおじさんが、代わりの顔をつくってくれるから」
リコ「ああ、そうね。(葉っぱをむしゃむしゃとやりながら)どうなんだろう。もし、アンパンマンが、ジャムおじさんに、代わりの顔をつくってもらえなかったとしても、アンパンマンは、自分の顔を、お腹を空かせたカバオくんに食わせると思う?」
リタ「それが、じこぎせいのせいしん?」
リコ「それは、じこぎせいのせいしん、だろうね」

(リコは、自分の周りの葉っぱをだいたい食べ尽くしてしまった。ちょっと、体を動かして、移動をしはじめる。リタは、ぼうっとして、穴だらけの葉っぱの縁に佇んでいる)

愛と勇気と、じゅうぶんな数のともだち

リタ「リタは、おそらく、じこぎせいのせいしん、じゃ、ないと思う。アンパンマンは、「自己犠牲」とは一度も言ったことがない。彼が言うのは、「元気」」
リコ「元気ひゃくばい。あと、勇気」
リタ「「勇気」は自分では言わないんじゃない。そうテーマソングで歌ってもらってるだけで」
リコ「「愛と勇気だけが友達さ♪」って、友達2人かよ」
リタ「じゅうぶんな数」
リコ「じゅうぶんな数」

(リコは、別の葉っぱへの移動を完了し、なんとなく、リタをいる方を見上げる。リタは、穴だらけの葉っぱにぶら下がり、なんとなく、ブランコのように、揺れている。)

わたしはわたしのために生きてるし

リタ「なんとなくだけど、リコは、リコを越えないと、リタになれないと思ってるんじゃない?」
リコ「そうかもしれない」
リタ「リタになるのに、リコを捨てる必要はない。おそらく、アンパンマンのように、必要なのは、愛と勇気だけ」
リコ「愛と勇気以外のともだちは、全部切ってるわけだよね、我欲系のともだちは、さようなら。ごめんごめん、やっぱりそういうの、ちょっと。。。たぶん、そういうのをダサいっぽく感じるわたしの感性の方が100倍ダサいんだろうけど、ダサかろうがなんだろうが、わたしはわたしのために生きてるし。そこの本音を言えなくなったら、わたしはもはや、わたしじゃない感じがあるし」

リコでありつつリタでありつつ

リタ「いや、いいと思う。そもそも、リコとリタでケンカになる感じが違うと思う」
リコ「なんとなく、世の中的に、VSモードになってる感じ、あるよね。リコとリタ」
リタ「たぶん、生きていくにはどっちも必要で、たぶん、同時にリコでありつつリタでありつつも、ほんとうは、できるんだと思う」

リコから見えるリタ

リコ「でもなんか、リタの浮世離れ感は半端ねーというか、わたしから見えるリタのキャラ的にそうなってるのかな?リコじゃない人の目には、リタは普通に見えてる?」
リタ「どうなんだろうね」
リコ「リタ、普通だよねー、みたいな感じになったら多分、超、良くて、リコは結局サバイバルがんばってますっていう底辺キャラなところも自覚しつつの這い上がってなんぼのリコリコいえーい!なわけじゃん」
リタ「そうだね」
リコ「「そうだね」って、言わない!」

(間)

リコ「・・・「そうだね」って思ってない時は、「そうだね」って、言わない」
リタ「そうだね」

(間)

リタ「・・・」
リコ「「そうだね」って思ってないのに、「そうだね」って言っちゃうのは、リタがまだリタとして、なんていうのかな、大きくなれてない感じがするな」

リタから見えるリコ

リタ「・・・リコ的な人たちが、社会的に成功していたら、リコ的な人たちが、輝いて見えるかもしれない」
リコ「そういうギラギラしてる世界の中では、リコ的な人もリコ的であることに否定的にならないというか、そもそもリコ的であることが否定的であるなんて、思いつきもしないかもしれない」

リコの利己、リタの利他

リタ「でもリコは、リコ的であることを否定的に語っているね」
リコ「リタといつもセットになっているからだと思うよ。リコがリコだけでいたら、リコはリコの利己に気づかないかも」
リタ「なるほど」
リコ「リタもリタの利他に気づかないかも」
リタ「そうだね」

(間)

リコ「そうだね」

(間)

リタ「・・・読んだ本の話をしてもいいかな?」
リコ「本?」
リタ「『「利他」とは何か』って本を、読んだんだけど」
リコ「リタ、エゴサw」
リタ「エゴサして見つけたw」

(間。2人、笑う。心なしか、アンパンマンの話をはじめた時より、2人はひと回り大きくなっているように見える)

(つづく)




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