オッペンハイマー
概要
原爆の父と呼ばれた学者オッペンハイマーの半生を土台に展開する伝記的映画。とはいえクリストファー・ノーラン独特の技法で構成され、単なる伝記とはちょっと違う味わいも。観劇きっかけ
相方が観に行きたいと行ったので、最初は渋々。前評判で3時間もあるし楽しい映画でないことは知っていたし、この手の内容は見た後に高確率で思考整理の時間を要し、他に何も出来なくなる。良かったところ
長いこともあってかなりの数のキャラクターが出てくるが、オッペンハイマーを含め人物描写は割と細かく、印象的で分かりやすい(とはいえ実在した人たちなので本当にそうだったかは分からんが)。特にアインシュタインがすごく実際っぽい。ロバートダウニーJr.は敵対役ですごく嫌なやつだが、演技が素晴らしい。
音や映像など、物理学を五感で感じられるように試行錯誤した後が見られたのも良かった。自身は理系院卒だが、数学理学が得意ではなく工学系に偏っているので物理学はあまりピンと来ない。文系の人なら尚更だろう。この部分に対するアプローチは素晴らしかった。うーんポイント
長い。とにかく長い。楽しんで見ていた方だと思うが、途中やはり眠たくなる瞬間が来てしまう。「とはいえ全部必要だもんな」と思えない部分も多く、正直もっと削れただろうと感じた。
あとはオッペンハイマーがどうしてあんなにモテるのかその魅力がよく分からなかった。優柔不断過ぎない?
その辺は少し史実とギャップがあるようにも思う。
あとはこの時勢だからというわけではないもののほぼ白人キャストで固めてしまったのも微妙かも。マンハッタン計画には日系やアフリカ系の人も参加していたと聞く。おそらく映画の意図は史実を書き出すことではなく得体の知れない核と人間のエゴ的な愚かさであるように思い、劇中日本に関する描写が薄いのは監督の逃げではなく意図したことだと思うが、とはいえ日本人としてなんだかなぁというモヤモヤ感が残るのは確か。でも山﨑貴監督が言っていたようにそこに応えるには日本人が描いてみるしかないだろう。
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